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-62- (2014.10 - 2014.12 ) 


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 (2014/12/28) 
なんで今、「中高年ライダー」の事故死件数が取りざたされる? 

今日NHKでこんなニュースが流れたようです。NHK News Web の記事によると、

「中高年のバイク事故 死者2倍に」
NHK News Web 12月28日 11時18分
 交通事故の死者数が年々減少するなか、40代と50代の中高年でオートバイを
運転中に事故で死亡した人は、10年前の2倍近くに増えていることが分かり
ました。警察庁は、年齢を重ねてから再びオートバイに乗り始める「リターン
ライダー」の増加が背景にあるとみて、対策に当たることにしています。
  警察庁によりますと、去年1年間の交通事故の死者数は全国で4373人と、
13年連続で減少しています。このうち、40代と50代の中高年でオートバイ
を運転していて事故で死亡した人は170人に上り、10年前の平成15年と
比べて2倍近くに増えていることが分かりました。
あれれっ、このニュース、つい数日前の産経の記事そのまんまです。
リターンライダーの“過信” 中高年バイク事故死増加 「若い頃ともう違う」注意を
産経ニュース 2014.12.23 20:35
どうして同じことが報じられるかというと、これは警察庁が発信する情報をそのまま横流ししているためですね。自らの調査報道ではないのに、記事中に「分かりました」という語句を入れるのが特徴で、「分かった」ニュースとも呼びます。そのためか、記事を読むと、数字の扱いがずいぶんと雑な印象を受けます。ザツ、というよりは、都合のいい数字を選んでいるような恣意性を感じてしまいます。40、50代と限定しているものの、バイク事故の死亡者が10年前の2倍とは、いったいバイク事故全体としては何人亡くなっているのかしら?

そう思って統計を捜すと、政府統計のサイトに、警察庁交通局交通企画課作成の「交通事故統計」pdf がありました。その5ページに「状態別死者数の推移(各年11月末)」が過去10年にわたってデータが公表されています。

二輪事故状態別死者数の推移

これを見ると、自動二輪も原付自転車も、ともに乗車中死亡者は10年間ずっと減少傾向を示しています。これは各年11月末の数字ですが、自動二輪乗車中が10年前の625人から411人へ、原付が594人から234人へと、両者とも安定減少を示しています。

では、年齢層別死者数はどうなっているのか。9ページに表があります。なるほど、40〜59歳だけとって見れば10年前の91人から165人へと「倍増」に見えなくもありませんが、では16〜39歳の10年前の462人が186人と激減している背景はなんでしょう。中高年の死亡者倍増の背景がリターンライダーの増加だという論理でいくと、死亡者数の減少はバイクを降りる人を反映した数字ということになりそうです。

事故を減らそうと警察庁が努力していること自体は多いに結構なことではありますが、たかが165人という数字に、新聞やテレビを広報のように利用しなければならない理由があるとは思えません。

いや、ひとつ理由が思いあたります。

先月、国交省が自動二輪車にABS装着を義務づけることにしたとのニュースが報じられました。そのニュースが伝聞形だったので、すぐに国交省の発表文オリジナルを探したのですが、ホームページにはレリースがありませんでした。かわりに検索でヒットしたのは「車両安全対策検討会」での資料「6-1. 二輪車へのアンチロックブレーキシステム(ABS)/コンバインドブレーキシステム(CBS)の装備義務付け」。それによると、「改正時期 平成 27 年1月(予定)」とありますので、どうやら、マスコミへの先流し情報、というところか。

ABSは今でもオプションで選べる機種がほとんどですので、わざわざ義務化するのは唐突とも見えます。おそらく、ヨーロッパで1年半まえに、2016年からABS装着を義務づけているため、それに倣ったものでしょう。ヨーロッパが一大市場である日本のメーカーにしてみれば、どうせなら日本国内向けもABS標準装着にしたいという気持ちもあったでしょうか。HONDAのバイクの価格を見ると、ABS装着のオプションは5万円アップというケースが多く見られます。

二輪事故での死亡者数が減少傾向にあるにもかかわらず、もしもこの5万円をユーザーに強制負担させる口実として「中高年」「リターンライダー」を持ち出してきたのだとしたら、はたして説得力はいかが。



 (2014/12/17) 
衆議院選挙を数字で見ると 

争点も大義もなかった総選挙。結果は予想どおり、投票率の低さと、自公与党勢力の圧勝となって現れました。とはいっても、争点と大義がなかったのは本土だけで、沖縄でははっきりと争点を争って、民意を反映させました。その沖縄の選挙結果について、本土の大手マスコミがほとんど無視していることは、ニュースを受け身で鵜呑みにすることの危うさを教えてくれます。

とくべつマスコミに頼らなくても、選挙は数字の結果でしかないので、得票の明細が公開されれば、だれもが、みずからの関心にしたがって分析やら評価ができるし、いちいち評論家の論評を読む必要もなくなります。

そう思って、選挙結果の全国集計を捜したのですが、まだ見つかりません。でも、東京都の選管はすでにそのサイトで発表していました。それも、今回の選挙結果のみならず、過去の選挙結果もそのまま一覧で掲載しています。それによって、各党の得票数の推移を見ることができます。そのデータから、東京都における比例代表の党別得票数と棄権者数(不投票者数)の推移をグラフで示します。

グラフは見れば一目瞭然で、なにも言い足すことがないほどです。何を読み取るかは、政治がどうあって欲しいかという関心のあり方によって、ひとりひとり異なります。

比例区の数字を使ったのは、もちろん理由があります。東京都の小選挙区では25区中、自民党が23、公明党が1、民主が1議席を占めました。これだけみれば、自民党が圧倒的支持を受けた印象を持ちます。けれど、自民党候補者は自民単独ではなくて、公明党との事実上の統一候補です。小選挙区での自民公明の得票数合計 2,649,760 は、比例区での自公の得票数合計 2,548,113 と符合します。

この東京と沖縄の選挙結果が、今回の総選挙を象徴しているように思います。



 (2014/11/13) 
5センチ径のゴジラロックをわずか12分で切断 

No.5'222 ZEPHYRχ さんはリターンライダーの方で、被害にあったのは「コツコツ貯めたお金でようやく買った愛車」でした。その犯行をとらえた監視カメラの映像を以下のようにお知らせいただきました。

お早う御座います。
早速のご対応、本当に有難う御座います。
私の愛車を含め、みなさんの愛機が1台でも多く見つかるといいですね。

昨晩、一応の警察による現場検証が行われ、マンションカメラの映像を確認した
際の報告がありました。当方が装着していた約5センチ径のゴジラロックわずか
12分で破壊されたそうで、直結後に乗車して逃走したとの事でした。

室内保管以外、手立ては無いのかも知れませんね。

兎に角、私も微力ながら掲載リストに該当する車輌を見かけましたら情報アップ
させて頂きます。

最後にこの様なサイトを運営されている管理人様にお礼申し上げます。



 (2014/11/5) 
「バイク市場復活の兆し」キャンペーンの裏事情 その3 ― 潜在需要と購買者動向 

連載その1の図1、2は日本自動車工業会による出荷台数の統計をもとにしていました。これは、とうぜんですが、日本メーカーについての統計です。いっぽう、全国軽自動車協会連合会のホームページには軽二輪、小型二輪の国内販売台数の統計が掲載されています。出荷統計といくらか時間的なズレはありますが、傾向は同じことが見て取れます。しかも、これは業界としての統計なので、輸入車、外車なども含んでいます。このうち、251cc以上の小型二輪の国内販売台数の推移を図5に示します。

これから見て取れるのは、国内市場での日本メーカーの苦戦と輸入車の善戦です。ハーレーのデータはアニュアルレポートの数字を借用していますが、ピーク時の年間販売1万5千台から落ちてはいるものの、1万台を維持している堅調ぶりが目立ちます。

251cc以上の小型二輪の新車販売台数に、軽二輪の新車・中古車の販売台数、さらに原付2種の国内末端販売店向け出荷台数(日本自動車工業会の統計)を加えたものが図6です。縦軸のスケールが短いために増減が図5に比べると視覚的に緩やかになっていることを考慮にいれてください。

小型二輪および原付2種の中古車の販売データがありませんので、じっさいの市場規模は想像するしかありませんが、新車・中古車トータルで80万台の前後というところでしょうか。

図7は自動二輪免許の新規取得者数の推移を示します。これは述べ人数で、普通二輪を取得してすぐに大型二輪をとるケースもあるでしょうから、実際の頭数は少し減るかも知れません。それでも、二輪免許を取得する人のほとんどは、バイクを買う目的で教習所に通うと見られますので、毎年30万台弱の新規バイク需要が生まれていることになります。

とくに、大型免許の取得者数が毎年9万人と安定しています。教習所で実技の教習と試験ができるようになった97年以前、限定解除試験の合格者数はわずか3万でした。 それがいっきに9万に跳ね上がったまま、その数字は安定したままです。

大型バイクの安定した需要と、日本車に比べて安定している輸入車の販売。これはなにを意味するのか? (次回最終回へづづく)



 (2014/10/3) 
監視カメラがとらえた犯行の手口 

当サイトは開設当初から、被害者の方々がお寄せ下さる被害状況から、窃盗グループの犯行手口を割り出して来ました。その結果、バイク窃盗については、その盗み出す犯行から、転売、輸出まで、ほぼ全容が解明できています。二輪窃盗件数が激減したのも、ひとつには、ライダーが防犯対策をとった結果でもあります。

ところがその反面、窃盗件数が減った結果として、こうした過去の貴重な代償から得られた経験や情報が、リターンライダーの方や、新規ライダーに伝わりきれていない現状があります。

かつては犯行の手口は状況証拠から解明することが多かったのですが、今では防犯カメラが普及しているので、その想像どおりの犯行の一部始終が映像に収まるようになりました。以下は、マンションの駐輪場で被害にあわれた No.5'215 DUCATI Streetfighter-S さんからの情報です。念入りの防犯対策をされていましたが、集合住宅のバイクは常に窃盗グループのターゲットです。

9月30日AM3時ごろの30〜40分程度。4〜5人の窃盗団。敷地外の一か所からの
侵入ではなく、バラバラに敷地へ侵入、見張り役が居て、新聞配達などの外部侵入者
の警戒もしていたようです。
駐輪場から近接道路まで敷地内駐車場経由で100m以上あります。前輪に台車、あとは
担ぎ上げで移動しているようです。




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