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A1-21 07.09.01
扇風機と言っても、このように、大きく2つのタイプがある。 @左側が、だいたいメーカ製の据え置き型「扇風機」で、 タイマー・ワイヤレスリモコンなどが付いたもの。 A右側が、弱小メーカ又は外国製の手軽な「ファン」と 呼ばれるもの。安価。 @もメーカ製だが、製造地は外国が多い。 今でも、扇風機の特徴で、羽根が「4枚は東芝製」。他メーカは、だいたい3枚。 |
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@Aの違いは、モータの構造。 そのため、「火災」の発生機構 も異なります。 |
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Aのモータ。 「くま取り型」と呼ばれる。 磁石に巻かれた捲線に くまとりコイルの位相のズレ により、回転子を回す。 大きな力や強弱などの複雑 な動きができないが、構造 的に強い。 |
@のモータ 最も一般的な「誘導モータ」 モータは主捲線と補助捲線 、回転子で構成され、構造 的は強い。回転数は、補助 捲線からリード線を出して、 その巻き数による力で制御 している。位相をズラすのに コンデンサーを持っている。 |
モータは代表的なものは @の「誘導モータ」と Aの軽易な「くま取り」モータ そして、B「整流子モータ」 Bは掃除機・ドリルや電車 車両など、高速回転と制御 しやすさで利用される。 特徴は、整流子モータは、 「火花」がでる。@Aは、運転 中に「火花がでない」ことである 可燃性ベーパがあっても、 換気扇などの誘導モータは それ自体は発火源とならない。 |
Aこの手は、取付け部の 内部配線に損傷がある と短絡出火する。 社告品は「ドウシャン製」 |
@写真 赤いリード線につながる茶色 い長方形の箱のようなものが コンデンサ。フイルムコンデンサ (MFコンデンソサ) 他の黄色線は強弱用リード線 |
話題の扇風機火災 扇風機本体の焼損は、そんなに強く 見られない時もあるが、床面から この箇所を中心に延焼している。 延焼火災となるのは、モータ部が脱落する。 モータのカバーが燃えて、脱落し、床面で 燃え広がる。 [鑑識・通電証明] 昔の製品は、スイッチ部が金属製なので、 押しバネから、入り切りを確認するが、 現在は、シーケンス回路制御なので、 モータ部付近の内部配線の「短絡痕」による。 扇風機の台座等から、メーカごとに違うので、 型式等の判明を調査する。 |
モータ部の焼損 この火災写真は、モータ部のコンデンサが、 昔の金属管入りの物(MPコンデンサ) である。 現在は、上写真@のモータのように 金属管のない、フィルムコンデンサである。 [見分] コンデンサ、内部配線、モータの捲線など 順に見分する。 特に、強い焼損が見られないことがあるが 層間短絡、配線間短絡痕、コンデンサ外 表面は、注意深く、観察すると、異常が 見られる。 |
コンデンサの絶縁劣化 金属管の外表面のわずかな 異常に気付いたら、写真撮影後 金属管をニッパーで破って、内部 の巻き紙(紙製、フィルム製など) の焼損が著しいのが特徴。 さらに、カッター等で縦割りす ると、絶縁部の劣化抜けの跡が 見られることもある。 |
この「扇風機の火災」。 ☆ 出火機構は、モータの層間短絡と、コンデンサの絶縁劣化が主たる火災原因となっている。 昭和43年までは、モータのカバーは金属製であったが、以後、プラスチック製に変わり、そのため コンデンサから出火すると、カバーに「火」が着くため、これが溶融落下して、延焼火災の要因と なっている。 ☆安全装置として、コンデンサの捲線に過熱時遮断用の温度ヒューズを昭和45年頃から、 電流ヒューズも昭和47年頃から、メーカとして、組み込んでいる。 さらに、金属管は入っている金属化紙コンデンサ(MP型)に比べて、温度変化等に対する絶縁 性能に優れた金属化プラスチックフィルムコンデンサ(MF型。Metalled Plastic Film Capacitor)を 昭和51年頃から取り入れている。 このため、このような安全対策のほどこされていない、安価な@くま取り型モータの扇風機が、現下 の課題となっている。 ☆ 扇風機の特徴として、ギヤにより、「首を振る」構造部が、モータ本体と直結していることがある。 もともと、誘導モータは「安定性の高い」の製品で、換気扇などもまったく同じ構造原理であるが、 扇風機は、この首振り部があるため、このギヤ部のきしみ、磨耗などが、過負荷運転の原因と なって、影響する。 ☆ では、どのくらいの製品が、出火しやすいのか? 少し古いが、1995年〜1999年の東京の扇風機火災で購入年が判明している物では、 24件中、3年以内が6件(25%)<16年以上が8件(33%)であった。 古いから、と言う、ことは必ずしも言えず、テレビや冷暖房機のほうが、古いほうの割合が高い。 |