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アメリカの火災調査

  アメリカは、一応、UAS(アメリカ合衆国)に限っています。

  F2−06  アメリカの消防隊員の“殉職” 
  ⇒この資料提供は、M消防のましも氏です。 

NFPAリポート
                   消防隊員の殉職2007
                        Rita F. Fahy博士、Paul LeBlanc, Joseph L. Molis

概要

 2007年、米国では当務中の消防隊員が総計で102名殉職した。これは2006年の89名を大幅に上回る
 ものである。しかし長期的にみると年間の当務中の殉職
100に回帰しているようである。
 表
11977年から2007年までの消防隊員の死者数を示している。ただし、世界貿易センターでの340
 を除いている。

 2007年に殉職した102名のうち53名はボランティアの消防隊員で、42名はプロの消防隊員で、4名は
 州の国土管理機関の職員、
1名は連邦の国土管理機関の職員、1名は連邦の国土管理機関の請負い
 
業者、
1名は企業の自衛消防隊員であった。これは1989年以降では1年間での最大のプロの消防隊員
 の殉職者数である。(
2001年の世界貿易センターでの殉職を除いている。)過去10年以上に渡って、プロ
 の殉職者数の平均は約
10名であった。

 2007年、複数の殉職者を出した事故が7件あった
 −最も悲惨な事故では
9名の消防隊員が殉職した。South Carolina州のCharlstonで発生した事故は字
 幕解説付きで放送された。複数の死者を出した他の
6件の事故での死者数は2名であった。2名は火災
 出場途上のタンカー(水槽船)の衝突事故で、
2名はガス爆発で、8名は4件の建物火災に従事中に死亡
 した。

 この報告では、殉職した隊員の任務、致命傷の原因と性質、隊員の年齢をチェックした。分析では放火と
 交通事故がクローズ・アップされた。
10年間の分析での交通事故の傾向が示されている。終わりに、
 調査は消防隊員の安全における重要な問題と懸念を提起した個々の事故を示した。

1  殉職者数(1977年―2000年)

殉職者

殉職者

1977

157

1993

79

1978

173

1994

105

1979

125

1995

98

  1980

138

1996

96

1981

136

1997

99

 1982

128

1998

91

1983

113

1999

112

1984

119

2000

103

1985

128

2001

103

1986

119

2002

97

1987

132

2003

106

1988

136

2004

105

1989

118

2005

87

1990

108

2006

89

1991

108

2007

102

1992

75

関係資料
1 NFPAの殉職者に関するファイルは継続して更新される。
2 このリポートでは“自動車関連の事故”は自動車事故を示す。これは航空機、ボートを含む。更に、殉職に自動車が
支配的役割を果たした、自動車からの落下、自動車による衝突などの事故を含む。

 もしま氏の記載記事


日本

米国

人口*(万人)

12,693

28,142

2000

8(2)

103

2001

11(8)

103

2002

13(6)

97

2003

15(9)

106

2004

13(4)

105

2005

不詳

87

2006

5#

89

2007

4#

102

  *2000年国勢調査 ()内は団員 #は消防職員のみ
  筆者注:米国のボランティア消防職員は消防本部を構え、かつての多摩地区の消防団より消防職員に近く、
  小規模の汲み上げ式油田の火災を消すこともある。プロの消防職員が非番で地元のボランティア消防職員を
  務める例もある。

  全文は数ページありますので、PDF{NFPA 消防隊員の殉職}を見て下さい。

 


 F2−05   ニューヨーク消防局の組織図
  ⇒この資料提供は、M消防のましも氏です。

     ニューヨーク消防局の組織図です。


 ★ たいへん大きな組織です。
   地区は5つの区に分かれています。

 消防局長は、私服で、市長が選任します。そのため、内局は私服職員です。
 消防長は、制服職員で、その下に制服組の職員が従事する。

   だ、そうです。ま、日本の防衛省と同じ仕組みですネ。(たぶん、労働権の違いからかも?)
  このExcel図のコピーが見にくい場合は、ここをクリックして「ニューヨーク消防局PDF」を見て下さい。
  


 F2-04 アメリカ合衆国の2006年の火災統計 
 翻訳は、M消防のましも氏です。
   
          2006年中の米国火災の概要
    Michael J. Karter, Jr. 2006年中の米国火災被害、NFPA、火災分析・研究部より
 
概  要
 米国の消防本部はおよそ1,642,500件の火災に出場した。
 これらの火災で3,245名の民間人が死亡し、16,400名が負傷した。
 そして財産の直接被害は113億7百万ドルだった。2006年では162分毎に 民間人1名が死亡し、
 32分毎に1名が負傷した。住宅火災では2,580名が死亡し、焼死者の80%を占める。
 火災通報は緊急通報全体の7%である。9%は誤報であり、62%は救急要請等である。
    *緊急通報は警察への通報を含む

火災件数
  ・ 1,642,500件の火災に公設消防本部が出場した。対前年比で2.5%の増加である。
  ・建物火災は524,000件で2.5%の増加である。
  ・建物火災のうち412,500件又は79%が住宅で発生した。
  ・車両火災は278,000件で、4.1%の減少である。
  ・840,500の火災が屋外の財産で発生した。
  ・これらの火災発生頻度は何を意味するか? 
   19秒毎に米国のどこかで消防本部が火災に出場している。60秒ごとに建物火災が発生し、
   特に住宅火災は76秒毎に発生している。
   車両火災は113秒毎に発生し、屋外の財産では38秒毎に火災が発生している。

民間人の焼死
  ・2006年には3,245名が死亡した。11.7%の減少である。
  ・焼死者の約80%は住宅で発生している。
  ・2,580名が住宅で死亡した。14.9%の減少である。
  ・445名が交通車両火災で死亡した。
  ・住宅以外の建物火災で死亡したのは85名だった。
  ・全国的には、162分毎に民間人が焼死している。
 
未だに住宅火災の死者が2,580名で死者全体の8割を占めることから、住宅を目標とした火災安全
 対策は今でも死者数を低減する鍵である。
 5つの主要な対策は:
 第1に、火災予防対策及び火災発生時の死傷者発生防止策についての火災安全教育の普及であ
 る。焼死者火災の共通原因は常に火災安全教育に使用し続けるべきである。
 第2に、より多くの人々が煙感知器を使用し、維持し、避難計画を策定し実施すべきである。
 第3に、住宅用スプリンクラーの使用をより広範囲に普及させるべきである。
 第4に、住宅製品の火災安全化を追求すべきである。子供の火遊び対策ライターの基準は着火力
  を弱めた(いわゆる“火災安全”)タバコの要件と同様の好例である。タバコからの着火により高い
  抵抗を示す家具及びマットレスの覆いの普及は既に多くの成功を収め、これからも続くであろう変
  化の好例である。
 第5に、危険の高いグループである若年者、高齢者、貧困者に対する特別の火災安全策を実施する
 必要がある。

民間人の火災による負傷
  ・2006年には16,400名が火災で負傷した。8.5%の減少である。この概算は負傷が消防本部へ
    の報告に依存しているため低めである。
  ・負傷者のうち12,925名は住宅で発生した。その他の建物では1,425名の負傷者が発生した。
  ・全国的には32分毎に火災による負傷者が発生している。

財産被害
  ・2006年の火災で約113億7百万ドルの財産被害が発生した。対前年比6.0%の増加である。
  ・建物火災の被害は96億3千6百万ドルであった。
  ・住宅の被害は69億9千万ドルであった


放火
  ・2006年には31,000件の放火建物火災が発生した。1.6%の減少で大きな意味がある。
  ・放火による建物火災で305名の民間人が死亡した。3.2%の減少である。
  ・放火による建物火災の被害は7億5千5百万ドルで、13.7%と大きな増加だった。
  ・放火による車両火災は20,500件で、対前年比2.4%の減少であった。被害額は1億3千4百万ドル
   で、対前年比18.6%の増加であった。
 全文は、PDFで示します。 2006年中の米国火災被害

                         
 F2-01   ニューヨーク市の火災調査

 {自治体国際化協会のホームページ} にあります。「ニューヨーク市の火災調査

F2-02  UASの火災調査制度・ その1  「火災調査官の資格」      07,03/03

  「パストラミサンド」
 これだけで半分です。
 これ1個ペロリと食べる
 食欲が「消防士」に
 必要とか?
執筆は、Musashi氏です。
Musashi氏は、USAの各市とATFについて造詣のある調査官です。

★比較すると面白い米国の火災調査官資格について
 米国では、官民様々な火災調査官資格があります。
 最も有名なものは、米国司法省の一局であるATF(アルコール・タバコ・銃火器
 爆発物取締局)が認めたCFI(公認火災調査官:
Certified Fire 
 
Investigator
)で、2年間の間に所定の研修・現場調査・試験・レポートを
 クリアした調査官です。
 現在、全米で
85名しか存在しないそうで、このメンバーを中心に、NRT
 (国家火災調査隊 :
National Response Team)が構成されます。
 これは、国家資格というより「職」に近い感じです。
 
 民間では、火災調査官協会(NAFI:
National Association of Fire
 
 Investigators)が、所定の研修・事例研究・筆記試験などの修了者に
 対して認める。
 @火災と爆発調査官(CFEI:
Certified Fire and Explosion
 
 Investigator
 A火災調査教官(CFII:
Certified Fire Investigation Instructor
 B車両火災調査官(CVFI:
Certified Vehicle Fire Investigators
 があります。
 この協会は、世界に約
5,000人の会員を持つ非営利団体で、NFPA
 
(米国防火協会)の基準コードづくりなどにも関わり、日本でいう「鑑定
 事務所」を営む方が会長です。
 年会費は$
50程度とのことで、会員は、消防・警察をはじめ、ATF
 
CIA、民間企業の技術者・危機管理担当、弁護士など様々のようです。
 米国では、こういった資格が、火災に関連した事業(商業)活動に不可欠
 であると同時に、投資に見合う大きな市場も存在しているので、意欲の
 ある方はトライしてみるのもいいかもしれません!!。

 ★このほか、国際放火調査官協会(IAAI)が認めた公認調査官
 (CFI)、州の一例としては、カルフォルニア州放火調査官協議会
 公認のCFIなど、米国内では様々な公認調査官が活躍しています。             

 F2-03  USAの火災調査制度・その2  「火災保険と消防」        07,03/03
 執筆は、Musashi氏です。 Musashi氏は、USAの各市とATFについて造詣のある調査官です。

 ☆ 米国では、火災の後始末も公営の消防機関とは関係なく、自己責任です。

  行政機関が関与(調査)するのは、
    @犯罪性のある火災
    A死傷者の発生した火災
    B損害額の大きな火災
    C特異な現象がみられる火災などの火災原因究明が中心です。
   日本では当たり前の、行政機関が発行する「り災証明」も存在せず、又その使いみち
    (税金やゴミ処理経費の減免、公的なお見舞いなど)もないようです。
   あくまで、各自が火災保険に加入して、損害を補填するのが当然といった発想です。

 ☆ 火災の後は、保険会社が火災原因と損害状況を調査し、火元者と保険会社、火元者と類焼者、
 製品に関わる火災であれば、火元者とメーカー、保険会社とメーカー間などで解決すべき問題として
 処理されるのが普通です。
 元々、米国で火災調査を最初に始めたのが保険会社であった歴史的な経緯もあって、先ほどの@〜C
 の火災を除いては消防機関の関わり方も割り切っていると言った、印象が強いです

                                           by:Musashi

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