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製品火災と火災報告
                                      G2−06   11’02/12

 1, 火災の報告
   火災報告
   火災報告は、消防組織法
  「第五章 各機関相互間の関係等 
   第四十条  消防庁長官は、都道府県又は市町村に対し、消防庁長官の定める形式及び方法により消防統計及び消防
           情報に関する報告をすることを求めることができる。」 とあることから、消防本部を組織する各市町村を
   通じて、総務省消防庁が、形式と方法を定めて、「報告を求め」る手続きを取っている。
  この条文は、改正前は、
  「第四章 雑則
   第二十二条 市町村長は、消防庁の定める形式又は方法により、消防統計および消防情報をも都道府県知事を通じて、
           消防庁に報告しなければならない。」 となっていた。つまり、中曽根行革の改正前は、消防庁が形式と
   方法を定めれば、報告することを各消防本部が義務づけられていた
  この改正は、消防組織法では、原則的に
  「(市町村の消防と消防庁長官等の管理との関係)
 第三十六条  市町村の消防は、消防庁長官又は都道府県知事の運営管理又は行政管理に服することはない。
  とあることから、市町村事務から派生する国の統計業務への提供を、国の意向だけでむやみに「報告事務を義務づける」
  のは、おかしいとされ、表現が改められ、義務ではなく、市町村は、消防庁からの求めに応じて回答する、形となった。
  建前としては、理に適った法改正と言える。
  実際は、昭和28年12月に出された「火災報告等取扱要領」により、幾度かの改正を経てはいるが、火災報告を継続して
  実施しており、実質的に法文改正で変化したことはない。そのため、一環して火災統計は不変で、世界的にも正確度の
  高い「火災報告」統計が戦後から続いている。
  火災報告要領は、昭和43年11月と、平成6年4月の改正が大きく、手作業的な報告から電算入力に、次いで、電算シス
  テムを含めた現行の精緻な報告要領へと変化した。特に、昭和43年では「火災損害額評価」を取り入れた要領となり、平
  成6年改正では製造責任法を踏まえて、製品火災の把握の必要性から火災種別に「ぼや火災」を入れ、爆発を「火災」の
  定義に取り込んだ。
  なお、報告には、「火災報告取扱要領」以外に「災害報告」「救急事故等報告」、「火災・災害等速報要領」なども出され、
 また、消防白書作成用資料提供として、例えば「トンネル内火災」「RI等火災、事故」など様々な形の報告が要求されてい
 る。 特に、火災・災害等速報で「直接速報」に該当すると、直ちに報告することを求められるが、実態として、小規模消防
 本部では「現場の災害情況」が把握できない中で、TV報道から災害概要を求められることもあり、当務体制の中で、苦労を
 強いられる「報告」となっている。  
 2, 製品火災の報告
  「製品火災の報告」
 製品火災の場合は、平成21年4月14日「製品火災に係わる報告について」の通知により、形式と方法が示された
 通知文[ http://www.fdma.go.jp/html/data/tuchi2104/pdf/210414-kasaihoukoku-yo154-gi16-toku67.pdf ]
 この中で、従来の「電気用品および燃焼機器に係わる火災等事故について」と「自動車の火災等事故に係わる報告につ
 いて」が一本化された。 報告対象は 
@    発火源分類で示される機器類  火災に至る経過分類
 電気 電気こんろ、電気コタツなどの「移動可能な電熱器」
 ・原因が不明

 ・電気的な原因で発熱する

 ・化学的な原因で発熱する

 ・熱的な原因で発火する

 ・火源あるいは着火物が運
 動により接触する。

 ・器具機器の材質や構造の
 不良に基づく
電気フライヤー、電磁調理器などの「固定の電熱器」
テレビ、冷蔵庫などの「電気機器」
燃焼

器具

装置
ガステーブルなどの「都市ガス用移動可能道具」
ガステーブルなどの「LPガス用移動可能道具」
大型こんろ、風呂釜などの「都市ガス用大型設備」
大型こんろ、風呂釜などの「LPガス用大型設備」
石油ストーブなどの「油を燃料とする移動可能道具」
ボイラーなどの「油を燃料とする固定設備」
ローソク、石油ランプなどの「明かり」
アセチレンガス溶接機など「その他燃焼器具類」
七輪こんろなどの「炭などを燃料とする燃焼器具」
まきストーブなどの「まき類を燃料とするの燃焼器具」
石炭こんろなどの「石炭を燃料とする移動可能道具」
石炭ボイラーなどの「石炭を燃料とする固定装置」
    車 両 火 災

 これらの分類に該当し、かつ、
   A 「構造上の不備、欠陥により発生したと判断される場合および特定できない場合
 で、その中でも使用者の使用方法の不良等に起因する火災など、製造者の責任ではない判断される火災は、報告対象
 としない。
  実態としては、@のコード番号に従う条件に該当すれば、ピックアップする。この@だけを考えると火災件数の2〜3割が
 該当してしまい、かなりの件数となる。そこでAの条件により精査されて、「製品火災」に該当するものが抽出される。これ
 らは、通常の「火災報告取扱要領」のようにコンピュータで自動登録、集計、印刷されるものと違い、報告書が「手書き」と
 なっている。つまり、作成された火災調査書類から、端的な文書で箇条書きにして「書き写される」こととなり、かなりの負担
 とはなっている。しかし、「消費者安全法」の理念から言えば、その労務を市町村として求められる必要事項とも言える。
  報告先: 消防研究センター
      
(火災災害調査部 原因調査室)に、定められた様式に記載事項を記入して報告することになっている。
  
報告の実態
   下図が総務省消防庁が、通知文に従って示しているフロー図だ。
  「製品火災」とおぼしき火災があると、消防法に基づきその火災調査を実施し、総務省消防庁が、それらをとりまとめて
  「公表」するとともに、消費者庁など関係機関へ情報提供することとなっている。
  (「消費者事故等の通知について」平成22年3月消防総第239号等も同等の趣旨)

  [ 
http://www.fdma.go.jp/html/data/tuchi2203/pdf/220331_jo82.p
df ]
 
公表事例
 
 「平成22年1月〜9月中の製品火災に関する調査結果」(総務省消防庁H.Pの報道ジャンルに掲載)           
 [ http://www.fdma.go.jp/neuter/topics/houdou/2302/230207_1houdou/01_houdoushiryou.pdf ]
 *「総務省消防庁では、平成22年1月〜9月中に発生した自動車等、電気用品及び燃焼機器に係る火災のうち、「製品の
   不具合により発生したと判断される火災」及び「原因を特定できない火災」の製品情報を調査しました。その結果、
   @「製品の不具合により発生したと判断される火災」が95件 (自動車11、電気用品72、燃焼機器12 計95)
   A「原因を特定できない火災」が266件 (自動車158 、電気用品93、 燃焼機器15 計266)
   あることがわかりました。」
   として、製品名と型番等を一覧で公表している。
 つまり、該当対象を捉えて、正確性の高い評価の上で「公表」している。 
3, 消費者庁への報告?
 消費者庁関連
  
  製品火災を単純に、総務省消防庁の通知文から見たが、他の法律として、「消費者安全法」の解説として、
 消費者庁のパンフレットから見ると、図1 のとおり、「保健所・警察、消防等」は、地方公共団体として、当該地方公共団
 体から、消費者事故・重大事故の通知をするケース、と、関係省庁に行うケースの2本のラインがある。 
 図 1 消費者庁のパンフレット=http://www.caa.go.jp/soshiki/pdf/panfu2010.pdf
 表のフロー図にある消費者関連事故の報告は、消防にとって、通常2通りの方法があることになる。
 一つは、子供の遊具による救急事故などで、市町村の担当部局に連絡し、そこから、市町村として「消費者庁」に報告さ
 れるもので、もう一つが、製品火災の火災報告として、関係省庁と表中に記載されている総務省消防庁に報告されるもの
 です。実際は、この2つは、同じ消防署内からの報告なので、結局は「火災関係」は総務省、それ以外の「事故」がらみは
 市町村担当部局にと、分類されて報告され、製品火災の火災報告は、前段の消防庁通知に基づくものとなることから、
 「仕組みの要件に適う」対象が精査されて、報告されることになる。

 次いで、この仕組みの根拠だが、「消費者安全法」には、生命・身体被害を発生させた、または、発生させる恐れのある
 事故で、その要件として、@商品等を提供している中で生じた事故で、A被害があるか又はそのおそれがあり、B商品等
 が消費安全性の面から責任がないと結論されない場合、は該当する。そして、その中でも人身事故に結びつく事案を早期
 に把握して、対策がとれるように「重大事故報告」を義務づけて報告するようにしている。
 その重大事故は、つぎのように定義している。 
 重大事故の定義
 消費者安全法第2条第6号(重大事故等) 政令

(消費者の生命又は身体について被害が発生した事故が重大事故等に該当することとなる要件)
 (1) 消費者の生命又は身体について、次に該当する。
 @ 死亡
 A 負傷又は疾病であって、これらの治療に要する期間が三十日以上であるもの又はこれらが治ったとき
   において内閣府令で定める程度の身体の障害が存するもの
 B 一酸化炭素その他の内閣府令で定める物質による中毒

 (消費安全性を欠く商品等又は役務の使用等が行われた事態が重大事故等に該当することとなる要件)
 (2) 各号のいずれかに該当する。
 @ 商品等の使用等において、物品、施設又は工作物の消費安全性を確保する上で重要な部分に、破損、
    故障、汚染又は変質その他の劣化が生じていたこと。
 A 商品等の使用等において、物品に、毒物又は劇物、又はこれらと同等の物質が含まれ又は付着していたこと。
 B 商品等の使用等において、窒息その他生命、身体に対する著しい危険が生じ、
   又は
火災その他の著しく異常な事態が生じたこと。
 この中では@理由の如何に係らず重篤以上の人身事故を引き起こした。
    A被害はなくても、安全基準不適合で、かつ、重要部品の異常・毒劇物混入、窒息や火災を起こした場合 となる。
 この被害等から見た全体像は、通常、化粧品・食べ物・玩具類など身近な物で、けがや疾病を引き起こした商品等に対
 する対応が考えられる。
 この中のB 「火災その他の著しく異常な事態」が、重大事故とされていることが、製品火災として消防機関と大きくかか
 わってくる。つまり、程度いかに係らず「火災」と見なされれば、重大事故扱いとなる。(平成22年8月「消費者安全法
 に基づく、事故情報通知制度等について」から抜取)。
 この場合の「火災」は、管轄する消防署が「火災と認定した。」ことを解釈要件としている。その仕組みに合わせて、下の消
 費者庁パンフレットに示される「事故等の情報と収集、活用」により、消費者の安全生活に生かされる内容となっている。
 図21 消費者庁のパンフレット=http://www.caa.go.jp/soshiki/pdf/panfu2010.pdf
 ここまでなら、消防機関にとってもわかりやすい。 火災は、関係省庁としての「総務省消防庁」に、「救急等事故」関連な
 ら市町村担当部局を通じて消費者庁に情報が流れ、その中で精査されて、それなりに商品等の安全面に寄与すること
 で情報が活用されるからだ。
 (「消費者安全法に基づく事故情報通知制度等について」平成22年8月消費者庁消費安全課)
 ところが、製品火災については、一方で「重大製品事故」とされることから、その流れは次の経緯をたどる。

  経済産業省関連
 消費者庁 「重大製品事故の公表までのフロー図」 http://www.caa.go.jp/safety/pdf/flow.pdf
  少し見にくいが、製品火災の場合には、上のような情報に関するフローが動く。これは、消費者庁が所管する平成21年
 9月1日施行
「消費者安全法」ではない、略称、[消安法]と言う平成19年5月14日改正施行「消費生活用製品安全法
 が関係するからだ。
 この法律の改正は、当時の新聞報道に、消費者のための法改正として、産業界に与える影響と消費者行政の前進として
 大きく扱われた。この時に、法律の略称を「消安法」とした。おかげで、普通に考えると「消費者安全法」の略称が「消安
 法」と思いやすいが、経産省等では、「消費生活用製品安全法」を指し、消費者安全法を略称「安全法」と呼称し、また、
 総務省等は「消費生活用製品安全法」を「製品安全法」と略している。この法律名の略称呼称は、現場サイドを混乱さ
 せており、担当省庁の担当者が消防等に電話口で話す略称がバラバラで、どこが何を根拠にして、何を言って、要請して
 いるのか、わからなくなっている。( ⇒およそ、総務省行政評価局もこのへんの無意味な法律先行優先権あたりの整理を
 きちっとしたらと思う。)
  さて、この「消費生活用製品安全法」にも「重大製品事故」の定義がある。こちらは、既に数年を経た法律だけに、
 言葉の扱いかたに関して細かい注釈もできているが、当時の新聞(2007'05.05日本経済新聞、'05.21産経新聞)なども、
 改正法律の趣旨が消費者保護の視点として前進した内容ではあるが、「報告や公表の定義」が分かりにくく、運用の中
 で混乱することを予測している。
  その消費生活用製品安全法における「重大製品事故」の定義は、次のように定められている。
消費生活用製品安全法第2条第4項において。
 この法律において「製品事故」とは、消費生活用製品の使用に伴い生じた事故のうち、次のいずれかに該当するもので
 あつて、消費生活用製品の欠陥によつて生じたものでないことが明らかな事故以外のものをいう。

 @  一般消費者の生命又は身体に対する 危害が発生した事故
 A 消費生活用製品が滅失し、又はき損した事故であつて、一般消費者の生命又は身体に対する危害が発生するおそ
  れのあるもの
 消費生活用製品安全法施行令
  政令で定めている要件は、消費者の生命又は身体に対し、次の危害が発生したこと。
  @ 死亡
  A 負傷又は疾病であつて、これらの治療に要する期間が30日以上であるもの又はこれらが治つたとき障害
     が存するもの
  B 一酸化炭素による中毒
  C 火災が発生したこと。
「消費生活用製品安全法のページ」からhttp://www.meti.go.jp/policy/consumer/seian/shouan/index.htm
  このように、製品を主体とすることから、消費者安全法に比べて、表現がストレートで分かりやすく、後発の消費者安全法
 も ほぼ同じスタンスを踏襲している。
 ここで「火災」について説明すると、「
重大製品事故」として捉えているが、法改正当時の解釈では「火災(ぼやは除く
 とされていた。つまり、「火災」は延焼火災のように実態として公共危険に影響が大きかったものを想定していたが、その
 後、「ぼや火災」を除いてしまうと製品単体だけの火災が除かれることに気づいて、急きょ解釈の変更がなされた。現在の解
 釈は、「火災(消防機関が火災と確認したもの)」となっている。
 この辺の解釈変更が、定義の要件としている@死亡からB一酸化炭素中毒のような人身に係わるような直接的判断要因
 と大きく
ことなり、「コードが短絡して燃えた」だけのような様々な「火災」を取り込んでしまうことになった。
 (⇒この点を、後ほど、後述する。)
 そして、製品のメーカ等は、その届出を、「・・消費生活用製品の製造事業者又は輸入事業者は、その製造又は輸人
   に係る消費生活用製品について重大製品事故が生じたことを知ったときは、知ったときから10日以内に、当該消費生
 活用製品の名称及び型式、事故の内容並びに当該消費生活用製品を製造し、又は輸入した数量及び販売した数量を主
 務大臣に報告しなければなりません(消費生活用製品安全法第35条)」となっている。
 ここで、現在は、後発の「消費者安全法」制定により、部分的な読み替え(消費者関連3法のポイントから)がなされ、重大
 事故報告は、消費者庁に、重大事故以外は経産省の関連のNITEに報告することとなっている。
 その仕組みが、次のパンフレット図だ。
 
  つまり、前半(消費者庁)に示した「消費者庁」関連のパンフレットには、消費者庁と国民生活センターが、すべての事故
 情報収集から調査までを担うような仕組みで示されていたが、「製品の安全」に係ると、消費生活用製品安全法が機能して、
 10日以内の報告やら、重大製品事故以外の報告などと関連し、NITE (独)製品評価技術基盤機構がクローズアップされ
 る仕組みとなる。
 さらに、NITEの事故情報収集制度では、[消防、警察等]も製造等事業者と横並びで、任意通知をするような立場
 描かれている。この表を見ると、およそ、総務省消防庁や消防研究センターと消防機関との関係は、製品火災においては無縁
 のような仕組みで描かれる。消防組織法などは、経産省・NITEの前では“歯牙にもかからない”存在らしい。 
 さらに会議等で示される、下図の、NITEによる図式には、火災発生段階から消防機関が「相互に協力関係」にあるような図が
 示される。
 このように、見ていくと、消防現場サイドでは、製品火災の原因調査で果たすべき役割が、消費者安全法により、消防組織法
 を飛び越して、変化してきているようにさえ考えてしまう。
 「製品火災」であるものは、重大製品事故であるとし担当省庁(消防庁)を経由して「消費者庁に報告すべき」としていながら、
 重大事故以外を扱うNITEが、消防機関と事故調査で連携することが前提のような仕組みが出来上がりつつあるのに
 気づく。
 下の表は、さらに、
総務省行政評価局が平成23年2月「 製品の安全対策に関する行政評価・監視結果報告書」の資料の
 一部である。消防機関がNITEに「情報提供しなかったことが、・・・火災原因の究明が遅れた。」と表現されている。
 一体、この行政評価局の言う「原因究明」とは何なのか? 何を根拠として原因究明がなしえなかったと言っているのか? 
 これが消防庁と同じ総務省内の部局である?と言うことは、消防庁(消防長官以下幹部)了解の上での表現なのかな?。
総務省行政評価局 「製品の安全対策に関する行政評価・監視結果報告書」
http://www.soumu.go.jp/main_content/000098431.pdf
▼ この総務省行政評価については、別に「火災調査探偵団」Brogで、コメントを3件掲載した。
 
 要約すると。
 もともと、製造メーカ等に対して「報告義務を課していた」消費生活用品製品安全法において、その実効性の内実が
 得難いことから、関係省庁・市町村等に対して報告要請をする仕組みの消費者安全法を、似たような法律言葉の
 略称や重大事故などを良いことに混合させて、適用していることにある。 (悪のりした総務省行政評価局などは、
 市町村行政のあり方さえ無視して、「機構の原因究明が遅れた」と言いつつ、実質的文面は「市町村消防機関の火災
 調査権」に意見具申する形となっている。)
 本来別の法律建てになって、その指導権限も異なるはずのものを、混乱して使用することにより、
 「製品火災=重大製品事故 ⇒ 重大事故となり、消費者安全法(?)で捉えて、⇒ 重大製品事故調査に関与する 
 NITEに情報を速やかに提供する。」 フローとしている。
 消費者安全法であれば、消費者庁パンフレットに示すとおり、関係行政機関からの報告を待つ形となるが、消費生活
 用品製品安全法の仕組みをオーバーラップさせることで、警察・消防・保健所の行政機関の業務に「経済産業省
 の地方出先機関や外郭組織」を関与させて、拡大する仕組みとなっている。 (ごりっぱ・・・)

 最近の出来事
 さて、火災後の物件鑑識をした際に、現場で、どんなことが発生しているか?
 昨年(2010年)頃から、消費者安全法の施行(2009'09)の影響により、メーカとしては、地方自治体の消防機関も重大事故
 の報告が義務づけられたと思っているフシが見え隠れする。
 そのため、、現場サイドで、製品のメーカさんが、
 「これは、火災と認定されますよネ。なら、消費者庁への報告は、消防署さんがやってもらえますか。それとも内がやるべき
 ですか。」と尋ねるくる。
 (消防)「貴社の製品からの火災だから、立ち会ってももらっているのですよ。火災を知ったことをどのように報告するかは、
 貴社の立場としてやってもらうことです。」「消防は、原因調査の判定をしたうえで、該当要件に従って、しかるべき報告を
 上げています。」となる。
 この会話が、さまざまな事案で、さまざまな場面で繰り広げられている。
 製造メーカとしては、消費生活用製品安全法の読み替えにより、消費者安全法も適用された中で、消費者庁に報告する
 するのであれば、「知った日から10日以内」の報告義務がある中で、報告しても、建物用途・家族構成など聞かれると困る
 ので、消費者安全法で第一義的に求められている「市町村の消防機関が報告すれば、良いのではないか」と思う。
 ごくあたり前の発想だ。 で、消防としては、メーカさんが義務づけらている消費生活用製品安全法の「お鉢」を押しつけら
 れようとしている。 ←この仕組みは、従前の総務省行政評価局の発想と同じ。
4,製品火災の報告の課題
 (1) 「火災」原因を安易に考えた⇒ツケ
 
 現在、ネットで公表されている「消費経済審議会・製品安全部会・製品事故判定第三者委員会」の議事録がある。
経済産業省> 消費経済審議会> 製品事故判定第三者委員会[ http://www.meti.go.jp/committee/gizi_0000002.html ]
 すでに、19年から毎年度5回〜6回の委員会があり、この内容が公表されている。
 そして、毎回のように「火災」で手こずっている。
 例えば
 
事例A 「・・・ライターを置いておいたら、破裂音がして、落下して周辺部が焼損した。」
 が議論されている。 「・・・何で、こうなるのか・・」と言われ、「・・異物のはさみこみ、残火などは確認できない・・」と答
 えている。まるで、まやかしのような問答が続く。
 ★ 原因的には、ライターの残火が原因となった火災事例は昔のことで、今は皆無だ。それに、破裂音して、落下、焼損
 したと報告している。 つまり、原因は、他に熱源がそばにあって、その輻射熱でライターが「破裂し」その時に、熱源によ
 り着火した。ライターのガスだけを着火させると、カセットボンベのような大規模なガス爆発と異なり、小規模のファイヤー
 ボールで終焉する。その時にわずかに手近の物が何か燃えただけ、と推測される。つまり、なんでもない「ぼや火災」だ。
 自分で「カセットコンロガスボンベ」の爆発と「100円ライターそのものを燃やして、ガス爆発」を実験した経験があると、
 別段とるに足らない火災現場であることは自明だ。しかし、良くわからない関係者同士で、問答が続く。
 事例B 「・・・ノートパソコン  当該製品及び周辺が焼損する火災が発生した。・・」 その報告には、メーカの調査事項
 として、 ○液晶パネル背面とキーボード表面の焼損、内部基板に異常は認められない。 ○バッテリーパック内のセル
 表面は焼けているが、セル内部に異物混入や短絡痕は認められなかった。
 〇事故原因は、不明であるが、当該製品からの出火ではないと考えられる。(消防は不明としている。)
 が議論された。「ノートパソコンを使用していると背部は熱くなるが」と問われている。
 この問いに、パソコン冷却用ファンで温かい風が出るが「物を燃やすことはない」とごく当たり前の回答となっている。
 そして、火災が、消防で製品からではないと打ち消しているのに、「・・・入手可能なら現場周辺の情報も入手する・・・」よ
 うに言われている。
 ★ この火災は、様々な経緯があって発生した。つまり、家庭内事情などが微妙に関係しているからこそ「最終原因を
 不明」とし、その上で、「製品からではない」と、消防では打ち消している火災だ。そのような複雑な問題が火災現場では、
 常に付きまとう、この中で消防が「判定」している。それを、「現場周辺の情報として、家族関係や火元建物周辺の供述」
 も必要なのかと考える。
 ⇒ このように、「製品火災」として、天ぷら油火災からグリル火災、雷の火災、果ては放火の疑いのある不明火災まで、
 火災の内容を斟酌しないで、火災をすべて取り上げたことは(消費生活用製品安全法で)、何とも奇妙なことだ。
 東京消防の火災統計だけでも、国の通知文による「製品を発火源とする火災」は、平成21年で電気関係590件、燃焼機
 器関係885件もある。つまり、約1,400件もある。一つの火災調査には、火災の端緒から係わる火災調査員数名が図面か
 ら供述、さらに見分調書などを作成し原因判定まで約1ケ月かかって仕上げている。これを、全国の火災すべてで、この
 消防法の「火災調査」の仕組みを知らないで、メーカからの報告により、電話だけでな解明しょうとする「考え方」のバカ
 バカしさに、唖然とする。そして「火災」のほとんどは、天ぷら油火災や電気ストーブの接炎火災など使用上の要因だ。
 また、平成21年の火災5,598件の中には、事後聞知火災と言われるものだけでも1,376件も入っている。つまり、公共危険
 はなく、保険金等の関係で通報されるものだ。 だからこそ、消防庁の通知文に従って、製品火災と認められる対象を詳
 細に精査し提出し、問合せにも答えられるようにしている。 
  本来、「消費者安全法」での情報フローでは、「製品と関係しない火災」は、消防庁を経由するフィルター(スクーリング)
 が機能
して、取り除かれる仕組づくりが出来ている。 にもかかわらず、「消費生活用品製品安全法」の不確かな(依怙地
 な)解釈により、10日報告に追われたメーカがゴミのような「火災」をたれ流して、
 「・・審議案件が多すぎる。」「・・お互いわからないことを前提で機論している。」そして、わからない時は「・・行為者が認知
 症?で・・・」と担当者と委員の「掛け合い問答・・」が続くことなる。
 「製品火災」と言う、うず高く積まれたゴミの中で呻吟する消費者行政の姿が、何ともうら寂しく見える。
 そもそも「火災」と言う言葉から、即「公共危険」と捉えたロジックの罠(わな)にかかったためだ。
 全国で約6万件以上もの火災で「製品」が関与する対象だけでも1万件にはのぼるだろう。消防機関の火災調査のスクー
 リングなしに、メーカのぶん投げるだけの「報告」をよりどころに、わずか4行の顛末文章で、「理解し、わかったつもり」に
 なるのもたいへんなことだと思う。
 改正・消費生活用製品安全法の施行時、識者から「報告や公表の曖昧さ」が指摘されていながら、そのままに、今度は
 消費者安全法にオーバーラップさせたことが、ますます、混乱することとなってしまった。
 この「・・・製品事故判定第三者委員会」の委員の先生と事務局担当者が、今後とも「火災」についての見事な
珍問答
 が繰り広げられるのを、毎回楽しみして、議事録を読むことが続きそうだ。
 (・・そのうち、議事録公表前の整理で、大幅に訂正されるようになると思うが。・・・)
 さらに、総務省行政評価局は、領域全体の仕組み上の欠陥を無視したまま、もっともらしい「製品の安全対策に関する
 行政評価・監視結果報告」
書を作成し、その実効性を確保できないことを予想して、「製品事故調査パンク」の見出しで
 新聞提供(朝日新聞2010年12月30日)と手の込んだ、対応をしている。
 (2) 製品火災の事故調査と個人情報
 
 「製品火災」と言う言葉で、「死亡・重篤の人身事故」と「火災」とを同列とした発想は、火災件数そのもののボリューム
 を見誤ったばかりか、火災が持つ「行為者の関与」を軽視したことにある。
 1) この「製品火災」のボリュームの対策として、[扇風機・換気扇・エアコン・洗濯機・ブラウン管テレビ(5品目)の家電
  製品の長期使用による経年劣化が原因の製品事故]と言うジャンルを作った。とりあえず、主な生活用電気製品の
  5品目に入れば、「製品火災」の詳細な原因究明や対策から逃れて、民事賠償案件として処理できることになる。この
  5品目を選んだことは件数の上からも優れて政策的と言える。そのうえ「長期使用期間」は5〜10年程度なので、
  商品買い換えサイクルからも都合が良い。
  まことしやかな、問題解決策だ。しかし、例えば、この端緒となった「扇風機からの火災」を見ると、消防が新聞に広報
  を始めたのは、1990年(平成7年)7月24日(東京タイム等)で、昭和60年からの6年間42件の「扇風機火災」があり、
  回転の悪い扇風機の使用に際しての注意を呼びかけた。その後、同年8月3日 日本電気工業会が「購入後15年」の
  扇風機の点検を各新聞社(日経、読売等8月4日付け)を通して、公報した。既に、この時点で、メーカにとっても、自社
  製品で“マークすべき機種”が特定されていながら、当時の対応として、リコールのような経産省の指導によらない業
  界対応を取っている。その、なごりを20年経って、成熟させたと言える。将来は、5品目を少しつづ増やしていけば、
  使用している使用者側にも一端の責任があるようになる。
  火災に該当するメーカが、リコールをしなくて回収できる仕組みが 「経年劣化」として正当化される。本来は、「製品火災」
  として、特定の機種に特徴的な火災が、ある一定の時機に発生したとしても、経年劣化の言葉で葬り去られることとなる。
  火災原因調査では、何で・どこに、問題があるのかを捉えその原因を究明するのが、筋道で、結果として導かれた答え
  が「経年劣化」であるのなら理解できると思うが、5品目の経年劣化は、そのままで終結してしまうおそれがある。
  しかし、ここで、困った課題も抱えている、実際のところは「燃焼器具製品からの火災」が多い。製品メーカは、東京ガス、
  大阪ガス、地域のガス供給会社の指導のもとで動いており、供給会社の推奨シールがないと設置できない地域もある。
  その意味で、供給会社の指示どおり動く習性であったが、パロマのガス湯沸かし器の裁判では、その見通しの甘さが
  大きな失策となって製造物の責任を負うはめになった。今後は、この難儀な課題が横たわる。つまり、家電メーカのよう
  に直接関係でなく、メーカとの間に供給会社と言う準公共機関のような会社やLPG販売会社などがあるだけに、スムー
  ズに行かない面がある。 今の所、「製品火災の報告」も家電系にまとを絞っているが、実態としては「報告の遅れ」は
  ガス系が顕在化することが予想され、そのうちNITEが苦手とする様々なガス系「燃焼器具火災」に手こずることになる。
  なぜなら、燃焼器具になれば、なおさら、「個人の使用方法」が曖昧であり、かつ、重要となるからだ。
 
 2) 火災が持つ、行為者の関与についての仕組みづくりは、見いだせないでいる。
  火災は、その原因に内包させている人の関与は、今のところ、解決策が見いだせないため、その他の事故原因とひっ
  くるめて「事故調査権」を課題としている。
  つまり、当該行政機関から、個人情報の提供又は事故調査を単独でする、と言うものだ。火災を調査する際に最も
  神経を使うのが、「火災そのものが個人情報」となってしまっていることだ。いわんや、関係者から任意に聞き出す
  供述内容は、氏名、年齢、職業など様々な個人情報を扱う。そして、その原因も損害も個人情報となっており、個人
  情報保護法に基づく情報管理の徹底とその守秘責任を要請され、その管理手続きに従っている。逆に、その意味で、
  個人情報開示請求手続きにより、関係者に火災調査書類で渡すことも可能となった(ホームページの「火災調査結果の
  公表」)。
  昔と違い、今の国産の製品は、あきらかな劣悪な製品はほとんどなく、その意味で製品本体からの火災は、一部の
  電気的な要因を除くとほとんどなくなっている。つまり、多くが使用者側の取扱い不注意、思い違い、誤った使用方法
  などに起因している。となると、その「行為者の行為」をつまびらかにする作業が、原因究明上不可欠となってしまう。
  反面、製品に起因すると予想される事案は、時間をかけて綿密に究明のプロセスを経ないと原因の判定に至らなくな
  る。今の重大事故報告では、メーカが、事故情報を得て10日で結論らしい「答え」をだすのは、難しく、結果「JIS○○
  で、再度試験したが再現性が見当たらず、支障ない。」とのコメントで終わってしまっている。
  現在、消費者庁・事故調査機関検討会(ネットで会議資料公開)では、「事故調査権」の議論がなされている。
  事故調査機関の検討会⇒  消費者庁>安全>消費安全課  http://www.caa.go.jp/safety/index5.html
  事故調査は、実は「使用者が行った行為」をどこまで掘り下げて正しい供述を得るのか、と言うことに尽きる。しかし、
  この検討の場での議論は、そのような現場的発想の視点は、あまり聞かれない。犯罪捜査との競合や供述者の免責
  問題、消費者推進事務との兼ね合いなど大きいテーマが扱われる。 刑事事件の被害者や交通事故被害者などと
  異なり、製品事故のほとんどは、消費者のチマチマした事故の調査であり、被害者が実行者であることの方が多い。
   ゆえに、市民目線の「一井の人の錯誤に」どこまで、食い込むのかの議論がないと、「独立性、専門性、中立性」に
  あげられる“事故原因調査官”と言っても、結局は、どこかの役所の通過ポストの一つになってしまうのではと思え
  る。関係者の供述に食い込むことなく、と言って、製品に欠陥があるとも言えず、過去の事例に出てきた幾つかのそ
  れらしい原因を列挙して、究明した姿勢で終始するのでは、と思える。
  それは、なぜか。 事故調査における「調査員の人づくり」が議論されていないからだ。例えば、消防の火災調査員
  であれば、都道府県の消防学校で、火災調査員としての教育課程が「火災調査課程」として70時間(約3週間)を定
  め、その研修を課している。さらに、専門官として、消防大学校では「火災調査科」で255時間(37日間)の教育を、
  泊り込みで行っている。火災実験や模擬裁判などの演習も行い、USAのATFの「火災調査課程」とそん色のない
  授業カリキュラムとなっている。事故や事件などの現場であれば、あるほど「人を育てる」ことの意味が重要な要素
  となる。それは、警察の刑事捜査部門をではさらに徹底している。航空機事故調査委員であっても、調査員は航空
  自衛官の実科教習教官などを対象として入れ替わる。鉄道事故調査においては、その教育養成システムがないこ
  とから、福知山線事故のように、事前に内部資料を融通させた経緯がある。つまり、人を育てるシステムのない所に
  は、専門性も中立性も独立性も、さらにはモラルさえ育たないことになる。一般人を相手にすればするほど、その
  調査は、法律的な課題以上に「調査員の教育・研修」の度合いが必要となるが、消費者庁での議論は、「立派な鎧
  を作るが、武者は関係ない」ように見られる。たぶん、結末は、都道府県の消費者相談窓口の人が調査員となり、
  NITE・国センの現場すら知らない職員が教育するのかな、と思う・・・・・。
  
  5, 消防機関の現場の対応要領
 昨今、「製品事故の扱い」も違ってきている。
  三菱、パナソニック、東芝などの家電メーカは、ホームページ上で積極的に事故情報を公表している。「製品の事故」に伴
 う対応は、@法的責任とA道義的責任がある。法的責任は、別途弁護士を立てて争うにしても、道義的責任はメーカに
 とっては従来からは大変頭の痛い問題ではあったが、今のように自ら率先して「公表する」姿勢の中では少なくとも「道
 義的責任」の一部は宥恕(ゆうじょ)されてしまうことになる。その意味では、この仕組みは、すべての製造メーカ又は業界
 団体に広がって、結局は、「事故情報の収集分析」などと大仰に言う公的機関の立場も「言っている本人」ほどには、誰
 も見向きしないシステムになってしまうことも考えられる。
三菱電機の「消費生活用製品安全法に基づく事故報告について」 のネットページ
http://www.mitsubishielectric.co.jp/shoan/
  今後、情報と言われるものが「公開」が前提として動いていくと、明確な線引きの中でわかりやすくなっていくものと
  思う。しかし、現下では、消防機関が扱う「火災調査情報」は、消防法に基づき守秘義務を課せられている。その上で、
  これらの火災調査結果(図面、供述等を含め)を公表する場合は、個人情報保護により、市町村条例の制約に従うこと
  となる。
  つまり、情報の提供は、弁護士会の照会を含め、慎重な対応をとる姿勢が原則とされている。反面、現在の総務省消
  防庁の通知に基づく「火災等事故報告書」の書式に定める事項は、既に火災報告取扱要領の火災報告の当該ページ
  が「公開文書」とされた解釈もあることから、この様式であれば、「○○市から報告された、○○年○月○日○時頃
  119番覚知された、火災等事故報告書」の開示請求手続きでは、消防庁としての非開示理由が見当たらないので、
  たぶん「開示」されると思われる。つまり、「特定される火災」情報の 開示=公開 となり、「特定の火災原因」に係る
  情報が、今、現在、公開されることが前提として扱われている。消防庁の「製品火災に関する調査結果」では数字だけ
  公表しているが、実は、すべての個々の報告が開示されることも近い将来に起こり得る。
  あまり、このあたりを詰めてはないようだが。
  消費者安全法と言えども、個人情報の公表を促し、公表したことの免責を認めてはおらず、個人情報の流出に伴う
 「慰謝料の請求」問題が生じた場合は、個人情報の末端収集機関たる“個別の市町村”が対象となる。その意味では、
 いかなる場合も、情報の発端となる機関が「守秘義務」として扱うのが一般的解釈だ。そして、個人情報保護法により、
 消防機関としては開示=公表はできない、となる。 消費者庁等からの要請に際して、前向きに考えると、直接公表では
 なく、間接公表の手段として「消防庁」を経由してもらうものが、ベターと思える。
  つまり、消防組織法に則り、通知で報告の形式と方法を定めていることから、それに準拠する限りは「守秘義務対象」
 とはならならず、通知に従うことが必要と思える。この“ページの始め”に消防組織法の条文としたのは、個人情報のあ
 り方を考えて、なお、市町村の消防機関は、義務として報告しているのではなく、「国との相互の共同の目的を果たす
 連携として報告している」と言う理解の上で、個人情報の管理を踏まえて、情報提供する、と言う主体的な意味で取り
 上げた。 その意味では、良く見られる、通知の中で仰々しく「消防組織法第37条に基づく助言」とかの表現であるな
 ら、統計事務の基本的な責任の所在も明確にしなければならなくなるのでは思う。 相互の連携として、情報を提供し
 うるが、個人情報保護との関係では、その責任は当該消防本部にあると言うのが、「原則」と言える。つまり、NITEや
 弁護士会等に「情報」を提供することは、当該消防本部にとって、必要であると思えば、そのようにすれば良い。
 ただし、その責任は、消防庁にはなく、当該情報提供した消防本部が個別に負うべきものとなる。
 原則として言えることは、「製品火災に係わる」と否とに係わらず、火災情報を本様式の記載により、消防庁以外の
 機関に渡すことは、様式のモザイク効果で、個別の火災を特定しうることとなり、慎重な対応が求められるものと考える。
  @「製品火災に該当した時は、消防庁通知に従って、その範囲内で消防庁に報告する。」その様式の記載内容を
  どのように他に提供して公表するかは、消防庁の責任で行うこととなる。
  A「その他の省庁、機関、団体に対しては、消防庁へのアドレスを紹介する。」
  B 製品火災で、原因究明に不安を思えた時は、遠慮なく、消防研究センター火災原因調査室に問い合わせ、鑑識等
   を実施する。
 将来は、消防研究センターとの中間的存在として、「違反是正アドバイザー」「消防団員確保アドバイザー」などのよう
 な各消防本部の人的資源を有効活用する制度設計がなされるものと思うし、また、全国消防技術者会議等のさらなる
 有効活用の検討と京都市・仙台市に配置された「火災調査鑑識車」の利用促進策も進められるものと思う。

 長い文章に付き合って、いただき、ありがとうございました。印刷して、読まないと、分かりにくく、論旨に飛躍と思い込み
  があるかと思いますが、
  また、後日、訂正します。 2011年2月26日
                    
 < 火災原因調査 <