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火災調査官制度


 「火災調査官」の制度?その1 ⇒火災調査に資格が必要か?  H1-06   06.09.08 

今年(2006')から 「予防職員資格」が、全国試験制度として 成立した。
勉強して、受験料を支払って、多くの職員が 受験し、合格率が6割程度?だった。
 しかし、これからの「予防行政」の推進には、必要不可欠と思う。
そこで、火災調査にも、このような試験が 近い将来には できることになると思う。

 アメリカ合衆国では、Fire Investigator の資格試験がNFPAで実施されている。
 もっとも、USAには、ニューヨーク市立大学など数校に「消防学科」があるように、必ずしも
 消防職員にならない多くの人が 消防関係業務に携わっている。
  このことから、保険会社等の調査員として働くために この試験を受ける人もいる。
 その中で、消防職員は、少ない試験会場目指して、全米から受験しに来る。

 日本の消防大学校の「火災調査課程」は、そのUSAの試験項目を十分カバーしている。
 そのことを予測して、疑似裁判や燃焼家屋現場調査などの科目も取り入れている。
 ただ、USAほどには、「放火=Arson」に対して、教育時間をかけてはいない。
 USAの消防大学校で使用する「Arson」のテキストは、電話帳なみのボリュームがあり、
 日本では、内容的に必要か どうか 考えてしまう。

 しかし、USAほどには、調査員が裁判に立つ機会は、少ないので、ギリギリの所 
 議論の分かれる ところです。
  年間、日本では全国で火災調査で調査員として、裁判にでているのは たぶん
  20〜40人 と思う。刑事事件でも、証人に立っているケースもあるが、大部分は、民事、
 それも借家(アパート)の火災にともなう明け渡し訴訟が多いように見える。 
 それを考えると 「資格」の制度的に見た役割は、どのように考えればよいか? と考える。
 
 予防職員は、それ自体が法の執行官として「技術と知識」に基づく行為が 相手方に実態上
 強制している部分が多くある。ことからも、知識と技術の「技量」は、役割として、
 資格に求められる。
 しかし、火災調査では、民事面から見て、火災原因・損害の判定であり、立場が著しく異なる。
 まあ、判定者でしかない。 「判定」ゆえに、その任務の重要性を 認めるのか。それとも 
 裁判以外の個別の調査員の技量を斟酌する要件を 広く火災予防に求めるのか。
  になると思う。

 まあ、でも 今の社会では 試験制度による「資格」も 火災調査に必要とは 思うよ!
 制度として、定着すれば、日本でも、それだけの話かも知れない




 「火災調査官」制度 その2 ⇒ 世界的な資格との関連    
H1-07   06.09.17

 
先日、「予防技術検定」の試験通知が来てました。
 ガンバッテ受験してください。 どのみち 必要なことなのですから。
 と言う事で、再度 「調査官」について。
 
 調査でなくても、資格と言うより職能身分みたいな感覚で「防災技術者」
 と言うのがあります。
 主として、建築学会での中から欧米で実質的な制度となっている「防災技術者」
 を日本でも定着させようとの運動です。建築関係の人が、防火と設備に関係して、広げている
 話です。その中で、少し。ほんの少し、「火災調査」についても、取り上げられています。
 
 こう言った、制度の中で 広がっていくことも 火災調査として必要かな とも思いますが、
 実質的にこれらの制度が、消防や警察の火災調査・捜査の領域に オーバーラップするのは
 まだまだ みたいな所もありますが。一つの考えとして。
 
 NPO法人日本防火技術者協会(http://www.jafpe.or.jp/news/jafpe009.pdf) 
 SFPE (Social Positoin of Fire Protection Engineers)

 また、これらの事業展開とかなり 重複する形で、勉強になるのが
 現在 東京理科大学 火災研究所の活動です。
 それは、COE「先導的建築火災安全工学研究の推進拠点」として 活動されています。
  (http://www.rs.noda.tus.ac.jp/coe-fire/index.html
  理科大の(Fire Science and Technology)での活動は、将来 火災調査で
  シュミレーションが利用されるようになってくると、親近感が増すかも。
  この講演等、少し、値段が高いですが、まあ 先行投資のつもりで、聞かれては!

 USAでは、火災の現場調査で、出火箇所の判定時の補強として これらが
 利用されていることが 小説。パトリシア・コーンウェル著「検視官」シリーズの中で
 その模様が表現されています(「業火」?)。


「火災調査官」制度  その3 ⇒ 裁判制度との関連   H1-08  06'10/09
 
火災調査官の制度は、遠い将来の話しかな?  と思っていましたが。

 もうすぐ、裁判制度が変わり、裁判官と裁判員による「刑事裁判」が生まれます。
 この中では、「従来よりも、公判中心主義、口頭主義、直接主義が一層重視
 される。」こととなります。 (最高検 裁判員制度等実施準備検討会 試案)
   詳しくは ⇒検察庁H.P 「お知らせ」の「裁判員裁判の下における捜査・公判
           の在り方に関する試案」


 この中身からは、捜査段階からの証拠主義などと合わせて鑑定の重視など
 も検討課題となっています。
 そのような裁判制度の変化の中では、「火災」は消防職員に聞くと言った
 第三者的な鑑定要素が裁判員の心証形成上有利に扱われることが、十分
 考えられます。

 
となると、USAと似たような制度的な仕組みが必要かも。
 USAでも、例えば、ミズーリ州では、州内の全米放火調査協会(IAAI)による
 協会の認定(調査課程の修了、資格審査、認定試験)により、消防・警察・保険員に
 認定しているもの。オレゴン州の認定制度(FSAB)は州の委員会が認定し、1〜3ランク
 に分かれるもの。イリノイ州のシカゴでは市がファイアーマーシャルとして、職指定している
 もの、など、さまざまであるが、いずれにしても、裁判の制度的な仕組みの中で、
 資格的な意味づけがなされている。

 東京消防庁では、署ごとに、「主任調査員」を職指定的な制度として、昭和57年から
 実施し、警視庁の火災犯罪担当者も、消防署の主任調査員を、それなりに、認めている。
 このシステムを平成10年の国の通知で、全国的な在り方にしょうとしたが、
 なかなかうまくは、進んでいない。

 それよりも、数年先にできる「裁判制度の変革」に合わせて、裁判上、
 火災事件の原因鑑定の、ある意味、専門分野的な意味づけとして、「制度」を
 構築すべき時ではないかと思える。

 裁判員制度では、捜査官とは別の立場の人が、口頭主義・直接主義の中で、
 事件関係者として、より多くより広範囲に、そしてより迅速に、証人台に立つことになる。 
  このため、「火災調査官」としての資格制度の有無は、当然、消防機関に問われる
 べき制度となる。 「火災事件を扱うのに、消防機関として、そんなあたりまえのことも
 定めていないのか。」となるのではないか、と危惧される。 
 

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