セイヨウタンポポ (Taraxacum officinale Weber)2008年4月15日。タンポポの中では最も普通になってしまったセイヨウタンポポ。ヨーロッパ原産で、世界中に広がっている。日本へは明治以来各地に広がったらしい(北村四郎選集I 保育社)。総苞の外片が開花時にそり返えるので、他のタンポポと容易に区別できる。受精による生殖のほか、単為生殖で種子をつくり、また一年中花をつけるので、その繁殖の能力は圧倒的である。異なる環境に適応する能力も優れているに違いない。遺伝子のレベルでは、他のタンポポとどう違うのだろうか。英語名はcommon dandelion. |
|
ノミノツヅリ (Arenaria serpyllifolia (L.) var. tenuior Mert. et Koch)4月17日。昨年は「道草の時間」で、ノミノツヅリのスケッチを載せたが、ここには写真を載せる。ノミノツヅリは越年性雑草で、道ばたに多い。何となくノミノフスマに似ているが、ノミノフスマはハコベ属の植物であるのに対して、ノミノツヅリはノミノツヅリ属の植物である。ハコベ属は花弁に切込みがあるのに対し、ノミノツヅリ属は全縁の花弁をもつ。また、ノミノフスマは田のへりや湿った畑に生え、ノミノツヅリは道ばたのような乾いた場所を好む。日本を含むアジア、ヨーロッパに原産し、世界中に帰化している。 |
|
トキワハゼ (Mazus japonicus (Thunb.) O. Kuntse)4月18日。道ばたや庭のような比較的乾いたところに多いが、田のへりのような湿ったところにも生えるごく普通の雑草である。花はムラサキサギゴケによく似ているが、やや小さく、色はうすい。ムラサキサギゴケは走出枝(ランナー)を出して増えるが、トキワハゼは走出枝を出さない。また前者の花期は4〜5月だが、後者は4月から10月頃まで花を咲かせる。トキワハゼは日本全土のほか、朝鮮半島、中国、台湾、インドに分布する。ムラサキサギゴケやトキワハゼなどサギゴケ属の植物は従来ゴマノハグサ科に入っていたが、最近はハエドクソウ科に入れられている。 |
|
スギナ (Equisetum arvense L.)4月21日。先日までツクシばかりが見えていた場所は、はやくもスギナが繁茂している。スギナはトクサ科の羊歯植物で、昨年、「道草の時間」の中で述べたように、スギナは地下茎とツクシの上部の胞子嚢の中でつくられる胞子によって増殖する。スギナは畑に生えると防除の困難な害草になる。とくに酸性土壌では繁茂しやすい。畑では石灰を施すことにより、スギナの発生を或る程度抑えることができる。北半球に広く分布しており、英語では field horsetailとよばれている。horsetailはトクサのこと。 |
|
ナガミヒナゲシ (Papaver dubium L.)4月24日。ナガミヒナゲシは地中海地方原産のケシ科植物。この数年間に都市部中心に急速に広がった。このあたりにも毎年増え続けている。イギリスの植物の図鑑にもこの植物が載っているが、かつて滞在イギリスでは、この植物を見た記憶がない。しかし、真っ赤なヒナゲシ (Papaver rhoeas L.) が野原にたくさん咲いていたのがなつかしく思い出される。日本では、ヒナゲシは、園芸植物としてよく栽培され、また栽培しやすい植物だが、野生化しているのをほとんど見たことがない。ナガミヒナゲシの方が日本の気候に順応しているのはちょっと不思議である。 |