雑草の世界へ

チガヤ

チガヤ (Imperata cylindrica (L.) P. Beauv.)

2008年4月30日。日当たりのよい草原や岡に群生する多年草。ちょうどこの季節、穂を出し、花を咲かせている。今は葯の色によって穂全体が赤褐色に見えるが、実が成熟すると銀色の綿毛が光輝く様子が美しい。ユーラシアの温帯と熱帯に広く原生し、北米に帰化している。英語では、cogonまたはblady grassという。なお、チガヤについては、「浅茅と茅花」という小文の中でも述べた(「思いつくまま7」)。

カラスムギ (Avena fatua L.)

5月3日。道ばたや畑のへりに群生するイネ科植物。栽培種のオートムギ(Avena sativa L. エンバク)に似るが、カラスムギでは、一つの小穂から2本の長いのぎ(芒)が突き出しているのに対し、オートムギは小穂にのぎがないか、または1本ののぎが突き出している。また、カラスムギは、穀粒が成熟すると、小穂ごと地面に脱落するが、オートムギでは小穂は脱落しにくい。カラスムギは、ヨーロッパ、西アジア、北アフリカを原産とし、わが国には有史以前に帰化したらしい(長田武正 日本イネ科植物図譜 平凡社)。

カラスムギ
トボシガラ

トボシガラ (Festuca parvigluma Steud.)

5月8日。林の中やへりによく見かけるイネ科の多年生雑草。叢生するが、茎も葉もほそく、高さ50〜60センチのなんとなく弱々しい植物である。一本の茎に数本の枝がつき、それぞれの枝につく小穂は2〜5個程度しかなく、同属のウシノケグサと比べるとあまりにも貧弱である。それでも根はしっかりと張っているらしい。外見よりはずっと丈夫な植物なのであろう。日本、中国、インド北部に分布する。

ヤクナガイヌムギ (Bromus carinatus Hook. et Arn.)

5月10日。道ばたに普通に見られるイネ科の多年草。急に増えてきたようである。イヌムギによく似ているが、葯の長さは4〜5ミリメートルあり、小穂が開いて葯が垂れるので、ヤクナガイヌムギと考えられる(長田武正 増補イネ科植物図譜 平凡社)。北米原産。

ヤクナガイヌムギ
カニツリグサ

カニツリグサ (Trisetum bifidum (Thunb.) Ohwi)

5月11日。道ばたによく見られる50センチ前後のやさしそうなイネ科植物である。こども達がこの植物の穂先でカニを釣ったというのが名の由来らしい。今では振り向きもされない雑草だが、昔は親しみのある植物だったのかも知れない。日本と朝鮮半島、中国、台湾に分布する。

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