【文学作品(書物)】

    
平家物語 (へいけものがたり)

【成立時期】
   
 鎌倉時代 (1240年ごろ)

【作者・編者など】
   
 不  明

【種別・ジャンル】
    
戦記物語(軍記物語)

【内 容】
   ● 源氏と平氏の争いと平氏がほろんでいく様子を書いた物語。
   ● 平氏の栄華(えいが)、平清盛(たいらのきよもり)の横暴(おうぼう)、
      後白河法皇(ごしらかわほうおう)の平氏打倒(だとう)、源頼朝
      (みなもとのよりとも)の挙兵(きょへい)、源義経(みなもとのよしつね)
      の活躍(かつやく)、壇ノ浦(だんのうら)の戦い、平氏の滅亡(めつぼう)
      などの内容が書かれている。

【特 長など】
   ● 「無常観(むじょうかん)」を中心に書かれている。
     ※ 無常観(むじょうかん)…栄華(えいが)も人生も、世の中のすべての
                      ものは、はかないということ 
   ● 
因果律(いんがりつ)も内容の中にもりこまれている。
     ※ 因果律(いんがりつ)…いっさいのものは何らかの原因から生じた
                     結果であるということ
   ● 和漢混淆文(わかんこんこうぶん)で書かれている。

【備 考】
   ● 平曲(へいきょく)
       琵琶(びわ)を伴奏(ばんそう)にして「平家物語」を語ること。
        琵琶法師(びわほうし)によって、人びとに語られた。


  〈 平家物語の書き出し 〉
      祇園精舎(ぎおんしょうじゃ)の鐘(かね)の声 
      諸行無常(しょぎょうむじょう)の響(ひび)きあり
      沙羅双樹(さらそうじゅ)の花の色
      盛者必衰(じょうしゃひっすい)の理(ことわり)をあらはす
      おごれる人も久しからず
      ただ春の夜の夢のごとし
      たけき者も遂(つい)にはほろびぬ
      ひとえに風の前の塵(ちり)に同じ

   [意 味]
     祇園精舎(ぎおんしょうじゃ)の鐘(かね)の音には、万物(ばんぶつ)は
     流転(るてん)するという響(ひび)きがある。沙羅双樹(さらそうじゅ)の
     花の色は栄える者も必ずおとろえるという心理を表す。いばる者も長くは
     続かない。それは、ちょうど春の夜の夢のようなものだ。勇猛(ゆうもう)
     な者も結局はほろんでしまう。まったく、風の前の塵(ちり)と同じである。



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