「旦那様、お城の馬車がきました。なんでもお嬢様を迎えに来たとか・・・」
アイリーン「私を?いったい何事かしら・・・」
役人「ともかく、あなたを即刻お連れするようにとの御命令で・・・ささ、早く」
アイリーンは迎えの馬車に乗り、城へと向かった。
国王「おお!アイリーン、よく来たぞ。立派に成長したものだ。ダイナー殿がお前を引き取った時は、ほんの小さな子供であったが。余も年を取るはずだ」
アイリーン「王様、御機嫌うるわしゅうございます・・・」
国王「うむ、まことに余の機嫌はうるわしいぞ。あの勇者ダイナーの子がこのように立派になって今、余の前におるのだからな」
アイリーン「父も王様によしなに伝えてくれと申しておりました」
国王「今日は大事な用があって来てもらった。司教殿・・・」
大司教「今日そなたを呼んだのは他でもない。そなたは信仰篤き者ゆえ、聖職に就くのがふさわしい。わしの後継者となって、この国の司教をつとめてはくれぬか?」
アイリーン「え・・・・・・?!」
国王「「そなたの父上がこの国を救って以来、わしは王様とともにこの国の信仰を立て直す努力をしてきた。
今わしは年老いたが、幸いにもダイナー殿の子が信仰篤く成長してくれた」
「・・・そ、そんな急に・・・」
国王「ぜひ引き受けてくれ。わしももう長くはない・・・しかしそなたが立派な司教となる日まで、心を尽くして指導しよう」
アイリーン「本当に私などに司教様の後継者など勤まるのでしょうか」
大司教「そなた以外には考えられん・・・・・・」
国王「よし、これで決まった!アイリーン、そなたが立派な司教になる日を楽しみにしておるぞ!」
こうしてアイリーン・ダイナーは王国の司教となるべく、城に入って勉強を始めた・・・ |
Good |
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人の上に立つ者に最も必要とされる資質は、モラルの高さである。 宗教界の頂点に立つ司教ならなおさらだが、アイリーンはその資格充分であった。アイリーンは信仰の深さと清廉な行いで、重臣たちや国民の尊敬の的となった。 司教アイリーンの影響を受け、国民は神を敬い、正を愛し、邪を憎んだので、国は大いに栄えた。 後世アイリーンの名は「最も神に近い大司教」として、末永く人々の記憶に残った。 「神は常に人の心と共にある・・・これは私が父から教えられたこと。この思いを一生大切にするわ」 |
Normal |
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人の上に立つ者に最も必要とされる資質は、モラルの高さである。 宗教界の頂点に立つ司教ならなおさらだが、アイリーンはその資格充分であった。勇者の娘ということもあって、司教としての人気は上々で、国民によく慕われた。 司教に人気があれば、国民もよく神を敬う。王国は神の庇護を受け、安定したものになった。 後世アイリーンの名は「王国最初の女性司教」として、末永く語り継がれたのである。 「私の様な未熟者が司教の務めを果たせたのも、神の御加護があってこそ。これからも父の教えを守って頑張ります」 |
Bad |
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人の上に立つ者に最も必要とされる資質は、モラルの高さである。 宗教界の頂点に立つ司教ならなおさらだが、アイリーンにはその資質が欠けていたようだ。 勇者の娘ということもあって、最初司教アイリーンの人気は上々だったが、やがてその特権を振りかざした欲深い行動が目立つようになった。 アイリーンのモラルは一般の人に比べて特に低くはなかったかもしれない。しかし、司教には人一倍の清廉さが求められる。 結局、アイリーンは多くの牧師や僧侶の批判を受け、王も彼女の任を解かざるを得なかった。以後、王国で女性が司教に任命されることはなかった・・・・・・ 「せっかく司教にまでなったのに・・・でも仕方ないわね。私は人の上に立つような人間じゃないもの。これからはお父さんとつつましく暮らそうかしら・・・」 |