「旦那様、お城の馬車がきました。なんでもお嬢様を迎えに来たとか・・・」
アイリーン「私を?いったい何事かしら・・・」
役人「ともかく、あなたを即刻お連れするようにとの御命令で・・・ささ、早く」
アイリーンは迎えの馬車に乗り、城へと向かった。
国王「おお!アイリーン、よく来たぞ。立派に成長したものだ。ダイナー殿がお前を引き取った時は、ほんの小さな子供であったが。余も年を取るはずだ」
アイリーン「王様、御機嫌うるわしゅうございます・・・」
国王「うむ、まことに余の機嫌はうるわしいぞ。あの勇者ダイナーの子がこのように立派になって今、余の前におるのだからな」
アイリーン「父も王様によしなに伝えてくれと申しておりました」
国王「今日そなたを呼んだのは他でもない。余はもう老いて引退時じゃが、王子は未だ未熟者で国を譲るにも心許ない。そこでアイリーン、お前に王位を譲ろうと思うのじゃ」
アイリーン「え・・・?!」
大臣「なんと!王様、それでは王子様があまりにも!それはなりませぬぞ!!」
王妃「大臣、よいのです。これは私たちもよく話し合って決めたこと・・・」
国王「余もこの国もダイナー殿がいなければ、とうに滅びておった。そなたに譲るのなら王位など惜しくもないわ。ぜひ引き受けてくれい」
アイリーン「しかし、私に国王など勤まりましょうか」
国王「それは心配ない。なにしろ余にさえ勤まったのだからな、はっはっは」
王妃「では決まりですね。皆の者、これよりアイリーンが新しき国王です。いっそうの忠義を頼みますよ」
国王「めでたいのう。これで王子がそなたの婿になれば言うことなしじゃが・・・」
こうしてアイリーン・ダイナーは国王から王位を譲り受け、王国の新しい女王となった・・・ |
Good |
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統治者として人の上に立つものに、最も必要とされる資質はモラルの高さである。 その点、アイリーンは申し分のない女王であった。国民はこぞってアイリーンを見習い、重臣たちも力の限り補佐したので、王国は豊かで平和な国となった。 アイリーンの名は後世「理想の君主像」として末永く讃えられることとなる。 「この国の素晴らしさは全て、家来たちや国民の努力の賜物。皆に感謝します。そして誰よりお父様、ほんとうにありがとう」 |
Normal |
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統治者として人の上に立つものに、最も必要とされる資質はモラルの高さである。 その点、アイリーンはまず合格点であったと言えよう。勇者の娘ということもあって国民の受けも良く、重臣たちもよく協力してくれたので、アイリーンの治世は安定したものになった。 アイリーンの名は「王国最初の女王」として末永く人々の記憶に残った。 「私の様な未熟者が女王の務めを果たせたのも、家来たちや国民の助けがあってこそ。感謝します。そして誰よりお父様、ほんとうにありがとう」 |
Bad |
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統治者として人の上に立つものに、最も必要とされる資質はモラルの高さである。 その点、アイリーンにはその資質が欠けていたかもしれない。 女王の行動には常に国民の目が集まる。一般人なら許される小さなわがままも、女王がやればたちまち批判の種になるのだ。 父が勇者という事もあり、周囲の期待の大きさが、かえって負担となったのかもしれない。結局アイリーンは数年で王位を返上し、先王の息子に王座を譲った。 この後、王国では王族以外の者を王とせず、女王は置かれないことになった・・・ 「せっかく女王になったのに残念だわ・・・でも、ここまでやれたのはお父さんのおかげ。感謝してるのよ・・・」 |