「旦那様、お城の馬車がきました。なんでもお嬢様を迎えに来たとか・・・」
アイリーン「私を?いったい何事かしら・・・」
役人「ともかく、あなたを即刻お連れするようにとの御命令で・・・ささ、早く」
アイリーンは迎えの馬車に乗り、城へと向かった。
国王「おお!アイリーン、よく来たぞ。立派に成長したものだ。ダイナー殿がお前を引き取った時は、ほんの小さな子供であったが。余も年を取るはずだ」
アイリーン「王様、御機嫌うるわしゅうございます・・・」
国王「うむ、まことに余の機嫌はうるわしいぞ。あの勇者ダイナーの子がこのように立派になって今、余の前におるのだからな」
アイリーン「父も王様によしなに伝えてくれと申しておりました」
国王「今日は大事な用があって来てもらった。実はそなたにこの国の将軍になってもらいたいのじゃ」
アイリーン「え・・・・・・?!」
クルーガー将軍「驚くにはあたるまい。君は少女時代から輝く武勲をあげてきた。わしもそろそろ引退時、アイリーンのような立派な若者が将軍になってくれれば安心だ」
アイリーン「でも私はまだ18になったばかりの若輩者、とてもそのような重責には堪えられません」
クルーガー将軍「謙虚なところも父上似だな。だが、君以外に適任者はいない。自信を持ちたまえ」
国王「アイリーン、不安ならしばらく将軍の下で実務を学び、ころあいを見て任官すればよい。余も将軍もそなたが将軍となる日を心待ちにしておるぞ」
こうしてアイリーン・ダイナーは王国の将軍となるべく、城に入って軍務の勉強を始めた・・・ |
Good |
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都の将軍に任命されたアイリーン。その武勇は折り紙つきだが、ただ勇猛なだけでは良い将軍とは言えない。大勢の兵士を指揮するには、優れた知恵も必要である。 その点、アイリーンの頭脳は学者も一目置く聡明さで、一度学んだ知識は決して忘れることがなかった。アイリーンの将軍就任以来、戦争はほとんど起こらなかった。 勇者ダイナーの娘が成長して、素晴らしい名将になった」との評判が、戦わずして敵を威圧していたからである。 戦わずして勝つことが兵法の極意とすれば、アイリーンこそ真の名将であろう・・・ 「そんな、名将なんてとんでもありません。父の教えを守って来ただけなのに」 |
Normal |
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都の将軍に任命されたアイリーン。その武勇は折り紙つきだが、ただ勇猛なだけでは良い将軍とは言えない。大勢の兵士を指揮するには、優れた知恵も必要である。 その点、アイリーンは決して強いばかりでなく、臨機応変の智略を使うだけの聡明さも持っていた。 アイリーンは「知勇兼備の名将」と讃えられたが、そんな評判に慢心することもなく、忠実に任務をこなし、王の信頼を得た。 「私はただ父の教えを守っているだけです」 |
Bad |
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都の将軍に任命されたアイリーン。その武勇は折り紙つきだが、ただ勇猛なだけでは良い将軍とは言えない。大勢の兵士を指揮するには、優れた知恵も必要である。 その点、アイリーンは武勇一途の人間で、大勢の兵を指揮するより、自分自身が先頭に立って戦うことを好んだ。 王はアイリーンの勇敢さを喜んだが、父・ダイナーはしばしば「将軍たる者が命を粗末にしてはならない」と諭した。数年後、北方の異民族と国境をめぐって紛争が起こった時、 アイリーンは先頭切って戦い勇戦したが、流れ矢を受けて負傷。若くして将軍職を引退した。父の心配が的中したのである・・・ 「私みたいなのを匹夫の勇と言うのね・・・お父さんごめんなさい」 |