アギト劇場版『PROJECT G4』
■ あらすじ

厳重に警備された超能力開発研究所。そこをアンノウン、フォルミカ・ペデス軍団が襲撃、所員・警備員、そして、研究所に収容されていた少年少女達が次々と殺されていた。通報を受けて出動した氷川誠が装着するG3-Xが到着した時には既に殆どが殺されており、ペデス軍団もその多くがその場を去っていた。残っていたペデスと戦いこれを倒すG3-X。
その様子を冷静に見つめる視線があったことに、誠は気づいてはいない・・・。

G3チームに自衛隊陸軍一等陸佐・深海理沙が研修生として配属されたのは、それから暫く経ってからのことだった。だが、深海には全く別の目的があった。
翌日、深海がやってこないのを訝るG3チームは、深海が研修を止めたことを知らされる。
物語は、そこから更に2ヶ月が経過したところから展開される。

研究所の生き残り、紗綾香とレイは、頼る身内も既に亡くし、流浪の生活を続けていた。ある夜、あまりの空腹に耐え兼ねた二人は無銭飲食を働き、からがらに逃げおおせるが離れ離れになってしまう。
そして二人はそれぞれ、葦原涼、津上翔一・風谷真魚と出会うことに。

翔一・真魚と出会った紗綾香は、真魚が色々手を尽くしても自分のことを話そうとはしない。紗綾香は突然、ペデスに襲われるイメージを感じ取り逃げ出す。真魚が追うが、二人の前にペデスが立ちはだかる。遅れてきた翔一・アギトが二人を逃がし戦うが、ペデスはどんどん数を増す。通報を受けて出撃したG3-Xが合流しても数が一向に減らない。
その時、上空に飛来したヘリから降り立った一人の戦士。
G3-Xに似たその戦士はペデスの大群を一掃する。
その背後に着陸したヘリから降り立ったのは、深海理沙であった。

小沢は深海が、自ら封印したG4システムの設計図を盗み出したことを知る。深海に詰め寄る小沢だが、深海は全く動じる気配がない。二人の思想は全く接点がなかった。
同じ頃、G4装着員・水城史郎と出会った誠は、「死を背負うことで信じ難い力を得られる」と語る水城に共感を覚えつつも、どこか漠然と受け入れ難いものを感じていた。

紗綾香はその能力でレイを見つけ出し、再会を果たす。だがその二人の前に、研究所の責任者でもある深海理沙が立ちはだかる。だが深海は、紗綾香を追ってきた真魚がつけていた、紗綾香のブレスレットが放つ輝きを見、妖しい笑みを浮かべ、真魚を拉致する。
真魚の悲鳴を聞き駆けつけた翔一だったが、そこでは紗綾香とレイが拉致されようとしていた。二人を助け出した翔一だったが、真魚は連れ去られてしまった。

誠と小沢を頼る翔一だったが、深海がその事実を否定する以上、警察としては手が出せない。小沢は深海と直接会おうとするが、深海は小沢を無視していた。施設の密室、深海の目の前には、道具の様に扱われている真魚の痛々しい姿があった。

一旦その場を退いた小沢達はその夜、施設に潜入しようとする。だがそれは深海に察知され、G4が出撃してくる。G3-Xで出撃する誠、そしてアギトに変身する翔一だが、真魚の予知能力を取り込んだG4の前に倒れてしまう。

施設の中で気づく誠は、真魚にまで死を背負うことを受け入れさせようとする水城に激昂するが、深海は哄笑し、誠が甘い考えであると侮蔑する。丁度その時、施設にペデスの大群が襲撃してくる。水城にG4で出撃するよう指示を出す深海。

施設が襲撃を受けた丁度その頃、翔一もアギトとなってペデス達と戦っていた。レイの報せを受けた涼も施設の中に突入し、ギルスとなって戦う。
G4は真魚の能力も手伝って、ペデス達を次々と葬っていった。しかし突然G4は体勢を崩す。真魚の意識が強くなり、G4システムとの連携が崩れたのだ。復旧を急がせる深海の前にペデス達が乱入、研究員達を殺害する。深海も傷を負い気絶する。真魚の危機は、誠のG3-Xが救った。

ギルスは地下にいた。そこでペデス達の長・レギアと遭遇し、右腕を失い倒れる。レギアはそのまま行動隊長・エクエスに加勢すべくギルスに背を向けて地上へと向かう。
エクエスに苦戦していたアギトは、新たな力・バーニングフォームでエクエスを圧倒しつつあったが、レギアが合流したことで窮地に立たされることに。
真魚を助けようと施設に乗り込んできた紗綾香は、その真魚を連れて脱出を急いでいた。だが真魚は翔一の危機を感じ、翔一に呼びかける。それを感じ取った翔一・アギトは、更に新しい力・シャイニングフォームへと変身を遂げる。
同じ頃ギルスも再び立ち上がる。凄まじい雄叫びと共にその姿は新たな力を得、エクシードギルスとなりエクエスを捕らえ、これを一撃で倒す。一方のアギトもレギアを圧倒し、ライダーキックで止めを刺す。

施設内ではG3-XとG4がペデス軍団を一掃していた。だがG4システムは水城の命を蝕みつつあった。離脱を促す誠に水城は、「どっちが正しいか、ここで決着をつけるか!」とG3-Xに挑みかかる。
このままでは水城はG4の負荷で死んでしまう、水城を助けようとする誠は逆に窮地に追い込まれる。その時小沢の激が飛ぶ。「G3-Xとしてではなく、氷川誠として戦いなさい!」
その激で何かを吹っ切った誠は、G3-X頭部ユニットを外しG4と戦い始める。それをモニターで見ていた、意識を取り戻した深海はその無謀さを嘲弄していた。しかし深海の前にペデス達が現れ、その姿を覆い隠す・・・。

G4の中の水城は確実に衰弱していった。何度も離脱させようとする誠だったが、水城は遂に最期までそれを聞き入れることはなかった。
力なく倒れ行くG4、それは、水城の死を意味していた。誠はその場に力なく腰を落とす。
この戦いは一体、何だったのだ・・・。
やり場のない怒りと哀しみが誠を苛む。
その誠の目の前で、G4が立ち上がろうとしていた。耳障りな機械音と非人間的な動き・・・。既にもう何人もの戦士、そして水城の命をも奪いながらも、G4はまだ戦おうというのか。まだ水城のような人間を欲しているのか。
「もういい!もういいだろう!」
誠の激情が一発の銃弾となってG4を撃つ。
倒れるG4、それを前にしながらも、誠の中には達成感といったものは沸き上がってはこなかった。

紗綾香とレイは引き取ってくれる家庭が現れ、新しい生活を送ることとなった。
真魚も怪我は負ったものの回復は順調、ピアノの練習に余念が無い。
だが、開花し始めた予知能力は、真魚に思わぬビジョンを見せる。
ピアノの旋律が途絶える。そこに、翔一が伴奏にやってくる。真魚は気を取り直し、翔一と二人で演奏を続ける。
「大丈夫だよね。翔一クンなら、また未来を変えてくれるよね・・・」

■総評

子供が楽しめない
っていうベタな評価は放っておくとして(死)。

主人公格が三人もいると、やっぱり注意力が散漫しちゃうんだろうなぁ。翔一・涼・誠がそれぞれ主人公らしく活躍している分、それぞれに割ける時間が少なくなっちゃうんだよね。特に今回は誠が主役のストーリーだからねぇ。
おまけに子供向けという制約・時間制限で見せたかったシーンを泣く泣く削り落とさざるを得なかった製作者の心中を慮ると・・・
いや。
こいつらぜってー「ディレクターズカット版」出す計画立ててるぞ。
だって公式サイトであれだげ未練がましく訴えておけば、ファンが黙ってないもん。それも計算の内。それで、「ご要望にお応えして」なんてカッコいいけど、今から工作してるのが既にバレバレ。
でも見たいよなぁ(←結局踊らされるタイプ)

じゃなくって・・・。
なんだかんだ言ってもアクションシーンが一番の目玉で子供たちは来てるんだから、今回の劇場版はその意味では見所満載?
アギトはバーニングフォーム・シャイニングフォーム、シャイニングカリバーや新ライダーキックと「これでもか!」というくらいに力が入ってましたし、ギルスなんかは腕まで斬られたのに復活して仰々しい変身まで見せられて雄叫びも満載、G3-Xも冒頭から最後まで大活躍。
でも正直、G3-XとG4との関係をどう位置づけるかで子供たちが悩んでたみたいなとこがあります。
単純に「悪い奴」と決め付けて見られないこのもどかしさが、ちょっとマイナスに転じたのかもしれませんね。そうなんだよ、「善悪」の判断なんて、そう簡単に決め付けられることじゃないんだよね。ってなこと感じてくれればそこそこオッケーなのかも。

劇場版そのものは、やはり「外伝」的な印象。実際そういう風に作ったみたいだからそう感じて当然なんでしょうけどね。
TV本編とTVスペシャル、そして劇場版と3つの「シャイニングフォーム登場」、そしてTV本編と劇場版との2つの「エクシードギルス登場」が、それぞれがパラレルであることを如実に物語ってますもん。
これを連作というのは、ちょっと無理がある気がします。特にスペシャルとTV本編ってね。だから、一つの短編、エピソードだと思って観れば・・・いいんじゃないかな?ってとこ。

最後に、いろいろ気に入らなかったところがあった人も、良かったと思う人も、それはそれでいいと思いますよ。でも、それは人に強制できるものじゃないってこと。自分が観た感想は、自分にしかわからない。次に観る時はその感想すら変わってきます。だから誰をどうだなんていうことはできません。
ただ、そうしたみんなが「仮面ライダーアギト」という作品を好きだといって応援しているってことは、間違いのない事実だと思います。だって、そう思ってないのにお金出して観にいく人なんて、子供にせがまれて嫌々いくおとーさんおかーさんくらいでしょ(笑)。
キライなら観ないよ。
だから、劇場版が面白くなかったっていう人を頭ごなしに嫌ったりしないで欲しいし、面白かったという人を鼻で笑ったりしないで欲しい(なんか個人的で身近な問題らしいです)
折角みんな、「仮面ライダーアギト」が好きなんだから。
・・・。
ふぃ、いいたいことはそんだけです。後はTV本編をみんなが楽しめればいいかな。こればっかりは東映さんにお願いするしかないですね。
丑満つ時わら人形持って神社の境内にいきましょう(行くな馬鹿者)

■ で。

登場人物別に、それぞれ感想を書いてみました。というか、どちらかというとそっちの方がメインです(笑)
誠/警視総監/水城
翔一/涼/北條
真魚/レイ・紗綾香/理沙


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