5日目
コモドーロリバダビア−リオ・ガジェゴス−エル・カラファテ

結構な火事だったらしい 目が覚めると、部屋のドア下の隙間から本日の新聞が差し込まれていた。
新聞入れられてもスペイン語が全くわからんのだが。
ふと1面を見ると昨日の火事の写真が載っていた。さすがにあんだけ煙出てただけあって、 大きな火事やったようやな。50ヘクタールってどんくらい?聞いてもわからんが東京ドーム 何個分だ?

飛行機の時間までしばらくあるので、コモドーロリバダビアの町を観光。
この町には大きな石油精製所があり、住民の大半がそこの従業員家族、そしてこの町が 近隣で一番の大都市らしい。

天気は快晴、爽やかな気分のなか、町歩き開始。ちょっと買い物でもすっかな。 メインストリートを歩いていると、ふとジッポーライターのショーウィンドーが目に入った。 最近旅をするごとにご当地ジッポーを買い始めた俺、早速店に入ってみる。
んー、化石の森ジッポーとかないかなー。と1つずつ見ていると、氷河の絵が描かれた ジッポーを見付けた。化石の森で氷河のジッポー、微妙に違うような気がするが、 氷河の町で氷河のジッポーを買うと高いかもしれん。っつー事で購入。
ところがここで思わぬ事件が・・・。

特にどうって事ない町 店員のお姉さんにこのライターを下さい。と言ってお姉さんが奥に引っ込む事早や5分。 一向にお姉さんが出て来る気配がない。何やってんだ???
奥をちょっと覗き込むと、お姉さんが何やら作業をしている。
あ。あーーーー。お姉さん、それ買うけど使わずに家に飾んねん。オイル入れたら あかーん。
時既に遅し。お姉さんはたっぷりとオイルを注入していた。
オイル入れっぱなしで置いておくのはきっとライターに良くないので、日本に帰って来て から使っている。

ライターを買って軽快に歩き出す。歩き・・・終わった。コモドーロの町は小さかった。 特に見るべきものもなく、メインストリートも短い田舎町だった。
外国の田舎町という事は日本人が珍しいという事、今回も視線が飛んでくる。 どうでもいいや。暑いー。暑いー。
俺が感じた。というよりもおそらく事実だと思うが、 アルゼンチンはスペイン語圏なのに、食事はイタリアの影響が強いらしい。
牛大国アルゼンチンでは、どこのレストランに行ってもメインは牛ステーキだが、 その他のメニューにスペイン料理はほとんどなく、必ずと言っていい程あるのはピザ とスパゲッティ。

正直このリゾットいまいち 何が言いたいかというと、食事がイタリアの影響を受けているせいか、町中にジェラート屋 が結構たくさん見られるという事。入ってみた。
英語が全く通じない店員だったのでメニューを棒読みするのだが全く通じない。 ので、一番発音が簡単そうだった「リモーん」を注文。
店に座ってゆっくり食い始める。美味いね。値段は日本と食うのと変わらんので感動は 薄いが。

あまり美味いとはいえないリゾットを食って失敗した昼食後、空港に向かう。 コモドーロの空港は近隣で最大の町にも関わらず、観光客が少ない せいか便が少ない。だから空港で働いている職員の数も非常に少ない。
客の数も少ない。テロ対策の荷物検査など違う世界の出来事のようだった。
当たり前か。こんなだだっぴろい草原爆破しても誰も気付かんよな。
ここでオレンジジュースを飲みながら休憩。退屈だが閑散さがよかった。

白いとこミニ油田 飛行機はブエノスアイレス始発だったようで機内は氷河を目指す観光客でいっぱいだった。 目指すはリオ・ガジェゴス、南部パタゴニア入口の町。しかし俺の目的地に行くには かなり回り道・・・。

飛行機が飛び立つと眼下には昨日走った果てしなく広い大平原、あー、やっぱ広いなー、 そんでもって道が少ないなー。
でも、この白く四角くくり貫かれたミニ油田だけが俺を興醒めさせる。

無事にリオ・ガジェゴスの空港に到着し、空港に降り立った。
さあ、バス会社のオフィスに行ってチケットをもらってバスターミナルへ行こう。 ・・・おうっ?バス会社のオフィスが閉まっている・・・。全然日中なんですけど。 俺と同じようにバス会社のオフィスが閉まっている事で困っている人が結構いる。
町にあるらしいバスターミナルのオフィスまで行ってみるか、でも旅行会社の 奴はここにチケットがあるって言ってたもんな。しかもバスの出発時間知らんし、俺。
1時間以上待った。この待ち時間は最悪だった。

バス会社のオフィスが開くと人が殺到する。俺もその列に並んで待つ事、また30分。 ・・・はあ。お姉ちゃんが1人いるだけなのだが、このお姉ちゃん英語ができない。
空港のオフィスにいるスタッフのくせに英語ができないだと、このバカ野郎。 内心かなりムカツキながらもそれは顔に出さずにこの女と交渉を続ける。
バスターミナルにいるスタッフに電話をかけ、色々と話した後、俺に電話を替われと 言う。このスタッフは英語ができたので用件を言う。と、チケットはあるから大丈夫。 彼女にチケットを作ってもらってくれ。と言う。
よかった。電話を再度その女に替わってまた話した。
が、この女が俺にチケットを発券する気配がない。
どうなるんだよ、俺。バスターミナルまで行けば解決するか。そう思い始めた時に 後ろから声をかけられた。

振り向くと推定50歳代の女性、あれ?名前が出て来ない、誰やったっけ? とにかく女性が英語で俺にどうしたの?と話しかけてきた。
俺が説明するとその女性は係員の女の人にスペイン語で聞いてくれた。
するとその女は、俺がバスターミナルのスタッフと話をした事で解決したと思い、 そのスタッフが女に喋った事を聞いていなかったらしい。
この女をリストラしろ。
再度バスターミナルに電話をかけさせた。結局チケットはバスターミナルで発券して ここまで持って来てくれる事になった。というか、エル・カラファテ行きのバスは 町のバスターミナル発空港経由だったので、バスが来たら運転手からチケットを もらって乗れ。っつー事になった。

この夕焼けしゅき この女性に礼を言って、話し始める。この女性はアメリカの大学教授でアルゼンチンに トレッキングに来たという事だった。
日本にもほぼ毎年学会で来るという話だが、何の学会かはよくわからんかった。 日本が好きだと言ってくれた。俺はアメリカが好きだとはよう言わんが。
色々話した後に彼女が俺に一言こう言った。
「私が今まで会った日本人の中であなたは一番英語の発音がきれいね。」 ・・・!!!おうおううっ!
これは嬉しい。めっちゃお世辞だったとしても。そして彼女の知り合った日本人が ひょっとしたら3人以下だったかもしれんとしても。 そして発音がきれいなのと英語が上手な事は違うとしても。

すっかりいい気分。そして外も日が暮れ始めていい感じに・・・、ってもう夜9時 近いやん。何でこんな時間にこんなに明るいんだ?
この瞬間、初めて俺は自分が緯度が高い場所に来ている事を実感した。日が完全に 沈むのは夜11時頃、日が上るのは朝5時。パタゴニアの夏は短いが、夏の1日は 長い。
風の強さは化石の森と変わらんが、温度は全然違っていた。イグアス、コモドーロ と来て、また全然違う気候になっていた。アルゼンチンはでかい。

それから1時間程待ったところでバスが来た。無事にチケットをもらい、バスに 乗れた。やっと今日1日分のストレスが和らいだ。
窓の外には赤くてでかい太陽、・・・ん?太陽じゃねー、月だ。すげー、赤い月。 ばかばか写真撮ったが、バスの揺れと周りの暗さでうまく撮れなかった。
辺りが真っ暗になってきた頃に映画の上映が始まった。「マダガスカル」。
マダガスカル、あのマダガスカルだよな。懐かしいなー。彼の地に行った時の事を 思い出しながら観た。んー、そこそこ面白かったか。でもこれをアメリカ人が 作ったと思うと意味なくムカつく。

1本目の映画が終わった頃、休憩に入る。喫煙する為に外に出た。寒いー。
この旅で初めて寒いと思った。でも日焼けした俺には心地よかった。

休憩が終わって再出発した後、2本目の映画が始まった。「Shall We Dance?」。 んー。全く興味ないが、他に選択肢はない。最初から最後までうっかり観てしまった。
感想:ジェニファー・ロペスは絶対肉食。

映画が終わった頃、ぴったりエル・カラファテの町に到着。
真っ暗ななか町に着いて、俺は一体ここからどうすりゃいいんだ?と思っていたが、ホテルの 人が迎えに来てくれていてあっさりホテルに到着した。


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