<世界の親父から3>

たらったったらたーららー(だから、世界の車窓から風)
カリブ海の南東に浮かぶ島国バルバドス。
この国にもホモがいました。

またか。とお思いでしょうが、今回ばかりは俺の不注意じゃないと思うけどなー。

バルバドスの首都ブリッジタウンからバスで2時間近くかかる風車を見に行った 帰り、俺はバス停で町に戻るバスを待っていた。
バス停には陽射しを避けるものが一切なく1時間半待ったが、行先の違うバスが 2台来ただけ。
時刻表などない。
行先が違っていてもバスに乗るべきだった。
体感温度35度以上、しかも空には雲一つない状態の俺に正常な判断は 難しかったのだよ、諸君。

そんな俺の前に、不意に1台の車が止まった。
「どこまで行くの?」
ポールの件があったので、車に乗っているのが男1人だったら絶対無視した。
でも、車に乗っていたのは男女2人連れだったのである。
「ブリッジタウンまで帰りたくてバスを待ってる。」
と言うと、男の方が乗って行きなよ。と言う。
カップルの車だから危なくない。という判断の元、陽射しを避けて速攻で車に 乗り込んだ。

運転席の男と助手席の女は、いかにも恋人同士です。と俺には見える雰囲気で 色々話している。
英語が早口で全く聞き取れなかったが、今思えば実は2人の乙女の会話だった のかもしれん。
でも男らしー口調だったんだがなー。

そんな俺に意外な現実が降りかかった。
途中の小さな町で女が降りてしまったのだ。
・・・あれ?
男が助手席に移るように言って、めでたくポールの時と同じシチュエーション。
助手席に座り、俺の大事な部分の上にはリュック。
その時はただ漠然とデジャブに囚われていたのだが、デジャブは終わらない。
その男は年齢38歳、身長約180cm、推定体重100kg超の黒人。
武蔵丸に似た感じなので、ムサシンとしておこう。
(今回も名前は確認していない。)

ムサシンと色々話をしている中で、
「結婚してるの?」
これはナンパするホモの絶対必要質問なのか?
嫌な予感が着々と進行していく。
ところが今回はちょっと違いました。

何故なら暑い国のホモはホット&オープン。
結婚してないと返事すると、いきなり「You have big one?」という質問。
最初はそっち系の質問だとわからなくて、金を持ってるかという質問だと思い、 ひょっとして金を盗られるのか?と思っていた。
それで、何も答えずにいるとムサシンがきっちりはっきり俺の股間を指差して、 「You have big one?」え?それ?またっすかー!!

それも英語がわからないフリをして聞き流していると、ムサシンは自分の股間を 指差して、「Mine is big.」と言って両手で長さを示してみせる。
これには別の意味で驚いた。いや、だって車のハンドルとほぼ同じ長さだよ。
見た事ないし、見たくもないけど、黒人ってそんなか!?そんななのか?!
そして、手で筒を作りそれを口元に持っていき、舌を出しながらムサシンは ここではちょっと書けなさそうな要望を吐き出した・・・。

でももう心臓がばくばく言い過ぎていて、俺にそれをしたいのかされたいのか 聞き取れなかった。別にどっちにしたって絶対嫌だが。
今まで無事に逃げ切って来たけど、今回はやばいかもしれーん!!
もう無我夢中で、した事ない、された事ない、したくもない、されたくもない、 と何回も何回も言い続けました。
周りは見渡す限りのサトウキビ畑、人の気配すらない。
ムサシンに本気でかかって来られたら、絶対勝てないのも間違いない。

「助けて下さーい!!」

そして俺の頭の中では平井堅が「よーらぶふぉーえーばー」と歌ってる。

結論:助かりました。

ムサシンも見た目と違い、無理強いするタイプではなかった。
ただし「見るだけ見せてくれない?」と俺の隠された部位を指差す。
最悪、見せれば勘弁してもらえるのなら。と一瞬思ったけど、見せる事によって ムサシンの情熱に火が点いても困るので、それも丁重にかつ執拗にお断り。
気分を害したのか途中のバス停で降ろされたけど、こんなに命拾い感を 味わった事は今までの人生になかったかもしれない。
もう絶対知らない人の車には乗らねーっ!!と心に誓った。(当たり前)

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ニューヨーカー