<ニューヨーカー>

これ、バルバドス、全く関係ありません。

バルバドスへ行く途中、日程の都合ニューヨークで1泊となった。
日本人憧れのニューヨーク?いいや、俺は全然興味ない。
この日はどうしてもここで済ませておかなければならない用事があった。
それは、行くのを取り止めたが既に取ってしまっていたガイアナ行き航空券を キャンセルする事。
<旅の記録>でも一度書いているが、空港の当該航空会社のカウンター係員 は夜にならないと出てこないと言われ、市内にやって来た俺。

何か手段はないものかと、ホテルの部屋でホテル案内をぺらぺらとめくりながら 考えていると、コンシェルジュサービスの欄に「航空券のアレンジもばっちし 承ります!」なんて、アメリカ人だけに自信だけは満々に書かれていた。
それならばと、ホテルのロビーフロアに行ってみた。
どこにいるんだ?コンシェルジュ?歩き回って探したが、それらしいデスクは どこにも置かれていない。

普通コンシェルジュってフロントの近くにデスクがあってそこにいるよね?

でもここのコンシェルジュは違っていた。
フロア中歩き回って、ついに見つけたコンシェルジュの文字。でもそこはチョコ とかガムとか売っている売店だった。
どうやらこのホテルでは、売店の売り子=コンシェルジュらしい。

嫌な予感がした。

でも他に頼るべき人はいないので、売店に入ってみる。
そこにいたのは推定年齢60台のメガネをかけたイギリス紳士風のじいさん。
「何か?」と聞かれたので、この航空券をここでキャンセルできますか?と 聞くと、空港の航空会社のカウンターじゃないとできないと言う。
そうですか。もしかしてこの航空会社の営業所に電話してキャンセルの用件を 言ってもらえますか?と言うと、本人じゃないとキャンセルできないと言う。

おそらく普通のホテルのコンシェルジュなら、電話をして用件を相手に説明して くれて、必要なとこだけ俺に電話を代わって話せと言う位の事はしてくれんじゃ ねーか?
じいさんは俺がそう言おうとしてるのを遮り、「何で空港に行かないんだ?」と 聞く。

現在16:30。航空会社のカウンターに係員が出てくるのが20:00予定なので、 その前にあなたに聞いてみた。と言ったが、全然聞いてなくて「お前は金を 取り返したいのか?取り返したくないのか?」と言う。
取り返したくてお前に聞いてんだよ。と老人愛護の精神が段々薄れてきた。

「行ってお前の金を取り返して来い!!」と突然大声でじいさんが叫んで、 じいさんのとっておきの笑顔を見せながら、右手の親指を立てて突き出してくる。
お前は海兵隊の上官か何かか。俺が「いえっさー!!」と力強く叫ぶのを期待 しているのか?
一度走り出した老人は簡単に止められない。

無理矢理俺の手を引いてフロントまで行って、そこにいたベルボーイに、こいつ が今から空港に行くからタクシーを1台よろしく!なんて燃えている。
だから、今から行ったって誰もいねーんだって。
時間がまだあるので、先に明朝の空港までの車の手配をしてもらってもいい?と 聞いたら、そんなの後でいくらでもやってやるから、早く空港へ行け!とまた上官 から命令される。

はいはい。お前もういいよ。

そしてその夜、タクシーで再度空港に向かった俺。
タクシーの運転手は親切な人で、航空会社のカウンターまでついて来て事情を 説明してくれ、キャンセルは完了した。

帰りに車内からニューヨークの街の夜景を見る事ができたので、タクシー代は かかったがよしとしよう。と自分をポジティブに納得させてホテルに戻った。
そして翌日の空港行きの車の手配をと売店に行ったが、じいさんはもういねー。
売店は閉店。
年寄りは夜が早い。
老いぼれは早く死んでくれ。怒りは頂点にあった。

部屋に戻って自力で空港への交通手段を探して、乗り合いタクシーを自力で 予約した。
今乗って来たタクシーの1/5以下の値段で空港への足が確保できた。

・・・はあ。

全く使えねーのに口だけ達者なのがニューヨーカーの特徴か。
俺はどうやら先天的にニューヨーカーとはリズムが合わないらしい。
この日を境に、俺の嫌いな人達リストに、フランス人・トルコ人と並んでアメリカ人 (ニューヨーカーのみ)を加えた。
ちなみにキャンセルした航空券の代金は1円たりとも返ってきはしなかった。
そんな事予想済みだったのでショックはない。

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