3日目
板門店
まずは朝食。時間がないので明洞にある粥専門店へ。
正直前回の1人分が罰ゲームかと思う程大量だった粥を想像したが、今回はまともだった。 俺の好きなテンジャン味噌の入ったテンジャン粥はちょっと味噌おじやみたいな感じで美味かった。 黄之さんと青子が頼んだ青菜と鶏の粥も少しもらったが、先に味の濃い粥を食ってたのでよく味が わからんかった。

今日は板門店ツアーに参加する。緊張していた。ゆってもまだ韓国と北朝鮮は戦時下に近い状態。 何があるかはわからない。しかも初めて韓国に行ったトラ山とは違って、今回は韓国と北朝鮮のまん真ん中、 映画でもおなじみの板門店。ツアー会社のHPを読んで注意事項は事前に確認した。
服装も制限があるので今回の旅にジーンズは履いて来ていない。それは黄之さん・青子も一緒。

ここ写真撮ってよかった? 迎えの人が来て、最寄のホテルからバスに乗る。
トラ山の時はバスの中は自由席だったが、今回は指定席。そんな辺りからも違いが感じられる。
ん?ジーンズのお兄ちゃんいるやーん。噂ではジーンズの人間は変なズボンを上から履かせられるか、 ツアーを断られると聞いていたが、全くそんな事ないやんけー。俺の心配を返せ。
バスがソウル市街を出ると、左手にはずっと川が続く。その川沿いには途切れる事なく鉄条網が 張り巡らされていて、時折韓国兵が駐在する詰所がある。以前にも見た景色ではあるのだが、 何となく違って見えた。緩んだ緊張感が戻って来た。
そうする内に、その川の向こうに北朝鮮の大地が見え隠れしてくる。2、3年前に見た時は わかりやすい位に韓国の山は青々としていて、北朝鮮の山は地肌がむき出しだったが、今回は 向こう側の山にも緑が見受けられた。こっちから見えるとこだけ何か植えたんかな。

バスは途中休憩を挟んだ。少し雨が降っていた。板門店では傘は禁止なので土砂降りでも傘は 差せない。夏やけどびしょ濡れはやだよー。
そして近くの村の食堂で食事。ここでのメニューはプルコギ。団体客をすっぽり飲み込む程の 食堂なので味は大した事ないだろう。と思っていたが、予想外に美味かった。本当ならもりもり 食いたかったが、現地でトイレに行きたくなって周りに迷惑をかけたくないので控えめに済ませた。
本当に緊張してたんやって、この日は。

左北朝鮮・右韓国 車は程なく統一大橋という橋のたもとにある非武装地帯の入口の検問に到着。
ここからは写真を撮っていい所、いけない所はその都度ガイドの指示を仰がなければならない。 聞き漏らさないようにしないと日本に帰れなくなるかもしれん。ガイドにも念を押された。
そこを過ぎてしばらく行くといよいよ板門店に到着。ここで板門店内専用のバスに乗り換えて また走り出す。ここでも席は指定席。しばらく走って板門店で一番有名で映画の舞台にもなった 中心部に到着した。
ここでは2列縦隊にきっちりと並んで隊列を乱す事は許されない。かつ 手を挙げたり手を振ったりというジェスチャーも、監視場所から見ている北朝鮮の軍人達に対する 威嚇と取られかねないので禁止。ここだけが唯一至近距離で両国が向き合っている場所という 事がよくわかる。当然走ってもいけない。撃たれるぞっ。

北朝鮮遠景 2列縦隊はそのまま、板門店中心部を見渡せる展望台に上がっていく。 そこから見えるのは、映画「JSA」で観た(あれはセットだが)建物群、そして左写真の北朝鮮。 何十mもの鉄塔の上に何十mもの大きな国旗が掲げられている。これは韓国版もある。
後方に 見える「宣伝村」と呼ばれる街並み。豪華な建物が並んでいるが、韓国への見せつけの為だけなので 実際に人は住んでいないらしい。裏は張りぼてという噂もあるらしい。それは無理があると思うが。
こんなにはっきりと向こうが見渡せるのはこの時期珍しいらしい。今回は俺の雨男ぶりより、黄之さんの 脳天気(失礼)、いや晴れ男が勝ったようだ。っつーか、最近俺も雨を呼んでない。歳とって 能力が落ちたのだろう。

北朝鮮側迎賓館 北朝鮮の建物。当初は2階建てだったのだが、韓国側が3階建てだったのを見て、上に1フロア 足したらしい。準戦時中っつーのはそういうところに相手への対抗心が出るのか。それぐらいで 済んでいる間はマシか。
北朝鮮側から板門店見学ツアーに参加するとこの建物の上から展望するらしい。場所的には そっちの方がよく見えそうだった。北朝鮮側の板門店ツアーにも参加したいという気がした。
とふと見ると、建物の中から人影が。こちらの動きを監視する為に韓国ツアーの参加者が来た時は、 必ず1人は出て来るそうだ。参加者の熱い視線が注がれ、皆我先にと彼を撮り始める。 彼はそれを双眼鏡で確認しているのに、嫌がる様子も臆する様子もない。ひょっとして撮られる事に 最近喜びとか感じちゃってる?

北朝鮮からこんにちは ご希望に応えて、ちょいボケ気味だがアップにしました。北朝鮮第1村人?発見。 彼は姿を現しているが、姿の見えない監視者が他にも何人もいるらしい。
展望台から降りると、そのまま2列縦隊で国境線の上に建つ何とか会議場へ。 ここでは韓国の軍人さんが立っていて、彼より後には行ってはいけないと言われる。撃たれちゃうよ。 ここで軍人と記念撮影のコーナー。皆ここでも我先にといつでも銃を抜けるように腕を軽く上げてる 軍人の隣りで笑顔で撮影している。ごめん、俺絶対嫌だ。この軍人の任務にはそれも織り込み 済まれてるのはわかるが、準とはいえ戦地にいる軍人の隣で笑って写真なんて撮れんよ。
青子も同意見で俺らは我関せずで行こうと思ったのだが、黄之さんはあまり気にしないらしい。 写真撮ったるから並べよ。と言う。無理無理無理無理。半ばキレ気味に断った。
その後夫婦が写真を撮ったかは定かではない。

ゲスト必携 でもここに配置される軍人は前の経験からして、絶対英語と日本語が理解できる人が配置されている。 つまり俺らのやり取りも聞こえていればまるっぽ理解されている。 いい歳こいた大人達が写真を撮る撮らないでケンカになっているのもわかっている。ちょっと 恥ずかしい。

その後、もう1ヶ所見晴らしのいい監視台から北朝鮮を見渡す。眼下には国境を現す看板が立っている。 そこには地雷がありますよ。とも書いているらしい。真夏なのに寒くなった。
とりあえず黄之さんの胸を借りて泣く。いやいや、胸を借りてゲストの身分を表す入域許可証を撮影する。 これは北朝鮮の監視員に見せる為によく見える位置に付けなさい。と指示された。

その後、土産物屋で自由時間。この辺だけ普通の1日ツアーと変わりない。変わっているのは置いてある 商品達だけ。ここで売っているのはほとんどが板門店グッズ。俺はここで板門店Tシャツを2枚と板門店 ジッポーを購入した。ここは免税らしく酒も売っていた。

板門店ツアーを無事に終え、一旦ホテルに戻って来た俺達。最後の晩餐を何にするかは一波乱の様相を 呈していた。黄之さんがサムゲタンを食いたいのはわかっている。わかってるんだが、サムゲタンはー。 青子もサムゲタンには乗り気ではなかった。今宵は鶏を食したい。これは3人の共通意見なのだが、 サムゲタンはー。俺は件のプルタクにはもうそんなに魅力を感じていなかったが、サムゲタン・・・。 とりあえず明洞以外の繁華街には行っていなかったので、目先を変える為、学生街の梨大から新村まで ぷらっと歩きながら何か美味そうなものを探す事とした。

美味そうな店は色々とあるのだが、心の琴線に触れるものがなく、新村の中心部までやって来た俺達は 地雷を踏んでしまった。
通りに突如現れたのはサムゲタン屋。黄之さんが入ろうやー。と言うが、とりあえず候補って事でと 逃げる。サムゲタンは嫌や。とはっきり告げる青子、はっきりとは言えないが拒みたい俺、そして 今まで俺らに譲ってきたので希望を通したい黄之さん、空腹も手伝って雰囲気が少し険悪になってきた。
今思うと日本でこんな食物の事でケンカする事はまずないから、貴重な体験。って事で。

炎のタッカルビ そんな3人が最終的に無理矢理手を打ったのはタッカルビ屋。すみません、黄之さん。だってさっきの サムゲタン屋はいかにも専門店で他のメニューなさそうやったんやもーん。

ここで気まずさを解消するにはどうしたらいいかなー。その心配は現れたこの店の店長らしき若い男に よって払拭された(と俺は思った。)。
日本語のできるお調子もん風の店長。お調子もんの店長が手際よく、タッカルビを混ぜて焼いて、 そしてカメラの準備してねー。と指示をして3、2、1で鍋の上の具材達は炎に包まれた。 周りの客達は、何こんなもん写真に撮ってるムニカ?と不思議そうな顔をしていた。
ここでミニ情報。現地ではタッカルビにスパゲッティを入れるのが流行っているらしい。 なかなか合ってたよ。

そして帰りにまたコンビニに寄り道。俺が2回目に韓国に来た時に気に入った飲むヨーグルトと 最後の栗アイス、そしてもちろん焼酎を買って部屋でまたミニ宴会。


旅の記録目次へ

韓国Aへ

韓国Cへ