<僕はスチュワード>

これ、エクアドル、全く関係ありません。

俺のある行動によって、今回は空港での乗り継ぎだけでアメリカに降り立つはず のなかった日程に変更があり、俺はヒューストンの町にいた。
ホテルは航空会社がとってくれた超豪華ホテル、最上階なので部屋の屋根が3角形。
ヒューストンの中心からは少し外れていて、しかも航空会社に対する、というより、 そこの日本人従業員のおやじへの怒りが止まらなくて、すっかり探究心を失って いた俺は、ホテルに隣接していたアメリカ的な大ショッピングセンターに買物に 出かけた。

そこで徐々に怒りを抑えつつ、徐々に頭を冷やしつつ、NIKEやCD屋などを うろついていた。
だが流行に疎く、洋楽もあんまし聴かない俺の落ち着く先はいつも本屋。
この頃はハリウッド映画好きだったので、映画雑誌をぱらぱらめくったり、好きな 外国人作家の小説に英語でチャレンジしてみようかなど無謀な事を考えながら 広い店内をくまなく歩き回ってた。

果ての果ての料理本コーナーまで回り尽くしてしまい、スーパーマーケットで何か 食い物でも買って帰ろうかと思って店の入口近くまで戻った時、ちょっと気になる 表紙の雑誌を発見した。

日本で売ってるものはマニアック度が高く、手が伸びなかった飛行機の雑誌。
俺は飛行機が好きである。
毎回の旅行で空港で時間がある時は、出発便の時刻表を見て、見た事のない 航空会社の便があれば、ゲートまで見に行ったりする程度には。
特集は英国航空が尾翼に世界中のデザイナーの作品を採用した特集。
座席配置等のマニアックな事項はあまり載っていなくて、かつ行った事ない国の 見た事ない飛行機の写真がいっぱい載ってた。
値段も600円位。

これは買いだね。とその雑誌と絵葉書を何枚かつかんでレジへ。
レジには微妙に頭の軽そうな高校生位のギャル。
「ハイ。」
と声をかけ、雑誌を差し出す。
「ハーイ。・・・あなたスチュワード?」
「は?」
いきなりである。

でも、何故か「Yes」と言っていた。
「どこの航空会社?」
「○○○○○○○航空さ。」
乗って来て乗って帰る航空会社をちゃんと答える。
「こっちに住んでるの?」
「いや。日本からこっちに飛んで来たのさ。」
「じゃあ、日本の友達にお土産?」
「そうなのさ。」
「そう。○○ドルね。」

そんなに高いか?と思いながら、とりあえず言われた額を払って店を出た。
何で唐突にスチュワード?滅多に売れない雑誌だからか?
それとも、スチュワード御用達雑誌No1か?
疑問に思いながら、スーパーマーケットで食料を買ってホテルに帰って、謎が解けた。

早速ゆっくり見ようと袋を開けると、何故かその航空雑誌が2冊入ってる。
・・・何で?

1冊袋から出してみると、さっきの感じより薄くなった気がする。って事は、 ・・・最初に手に取った時に2冊取っていた事に気が付かなかったらしい。
それで「お土産?」か。
と1人で納得してたのだが、どうしても1つ腑に落ちないのは何故彼女は 「パイロット」でなく「スチュワード」?
パイロットとスチュワードの違いは何か?
・・・ひょっとして。
巷でよく言われるのは、スチュワードにはホモが多い。
ひょ、ひょっとして。

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