<お熱いのがお好き?>

ガラパゴスから戻ってきて、エクアドル本土観光に出た俺とパブロ。
初めて赤道の上を歩いて不思議な感動を覚え、車の中ではパブロと色んな話 をして充実していた。

夕方、1日の日程が終わってホテルに向かう俺にパブロに今夜民族舞踊を見に 行かない?と誘われた。
オプショナルツアーか?と思ったけど、夜のキトの街を見れるチャンスでもあった から、いくら位か聞いてみた。 いくらか忘れたけど、思ったより安かったからOKとした。

ホテルに戻って晩飯食って、シャワーを浴び終えてTVを見始めた頃、パブロが 再度ホテルまで迎えに来てくれた。
「あの・・・、」
パブロが珍しく口ごもってる。
何だろう?さっきの金額でも間違えてたのかな?
「何?」
「僕の彼女も一緒に連れてっていいかな?」
お、車の中で聞かされてたパブロがベタ惚れの彼女ね、名前は忘れたけど。
「いいよ。」
と言うと、携帯で電話をかけてる。

・・・何かおかしい。スペイン語は全くわからんが、どうやら彼女は渋ってる様子。
そりゃそうだよ、見ず知らずの日本人と出かけるなんて嫌だよなー。
でも結局パブロに押し切られたらしく、パブロは彼女と待ち合わせた場所へ。
ちょっと予想とは違って、キャリアウーマン風の彼女で、名前は忘れたがカワイイ 娘だった。
パブロの彼女だからもっと純朴そうな娘かと思ってた。
でも、はにかんだ様子で挨拶をしてくれた。
パブロが彼女にしゃべらせようと色々話すけど、彼女はあまり喋らない。

そんな不思議な雰囲気で車は劇場に到着。
パブロに先程言われた金額を払う。
・・・チケットの金額そのまま?しかも大人1人分。
これはオプショナルツアーではなく、パブロの私的なお誘いだったのである。
疑ってごめんな。でもパブロ、普通はそうじゃないよな?

という事ならばと、民族舞踊上演中は2人とは離れた席に座る事とする。
きれいな民族衣装と独特な踊りを十分楽しんだ後、パブロが飲みに行こうと 言うので、泊まっていたホテルの近くのバーへ行く事にする。
パブロ達がいなかったら、こんなとこ1人じゃ歩けねー。
という物騒な雰囲気漂う道を通って、そのバーへ。

こんなとこ1人じゃ来れねー。という位、地元の見るからにグレてそうな若者達が わらわら集ってる。
1杯ずつ飲んで、彼女とも話しやすくなって来たのだが、パブロはどうやら酒に 弱いらしく、既に顔が真っ赤になっていた。
そして、彼女にべたべたし始める。

あーあ。パブロちゃん、明らかに彼女嫌がってるから、人前でべたべたするの。
手を触ってたのが、腰に手を回して肩に手を回して、エスカレートしてくよ。
パブロ、見た目は若いけど、やっぱしおやじだな。そしてラテン系。
しかもカラオケで、知らんけどおそらく現地ではベタなラブソングなんだろうなって 曲を熱唱。

俺はパブロの素が見れて楽しかったのだが、彼女が怒り出しそうなのと、 俺の方を興味深そうに見てる危ないガキ達の態度が気に入らないので、さあ 帰りましょう。

パブロがトイレに入ってる間に彼女と密談を交わして、全く酔ってないのに、俺が すごく眠いからって事で、その夜はお開き。
帰りの車の中で、絶対ケンカしてるだろうな。と思って翌朝聞いてみたら大正解。
彼女は激怒りでした。
でも最後に空港に見送りに来てくれたから、すぐに仲直りしたんだよね?
彼女の顔が若干引きつり気味で、パブロと手をつなぐのも拒んでたのが気になった。

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パブロと僕
僕はスチュワード