<免税店に行こう>
最近、旅に行く度に密かに探して集めているものがある。
といっても怪しげなものや、法に触れるものではない。
そういうものはあっても書かない。
それは免税店で手に入るものである。
親孝行な俺は、親孝行ではないが俺は、旅に出るとほぼ毎回父親に土産という
訳で、免税店で変わったボトルに入った酒を買って帰るのが習慣になっていた。
それは決して、1人で旅すると空港での待ち時間が退屈だからではない。
最初にそれを見つけたのは、パリ。
マダガスカルからの帰りに乗換えで寄った時だった。
酒を探して免税店に入った俺は、これは前に買ったとかこれは予算に合わない
とか(ちなみに予算は$150位)あれこれ考えながらうろうろしていた。
「オミヤゲデシュカ?」
そんな時に若干違う日本語で店員さんが話しかけてきた。
事情を説明すると、新作があると言って、俺をある棚に案内した。
んー。
見た事のある人もいると思うが、それは本の形になってる陶器のボトルの
ウィスキー(ブランデー?)だった。
前にナポレオンの絵の描いたものを買った事があったから最初はあまり
気乗りはしなかった。
その酒のパッケージには、ゴッホの絵が3つ載っていた。
ひまわりと自画像?と、夜の風景のやつ。
(絵画通ではないから、絵の名前は知らない。)
その夜の風景の絵が何となく気に入ったので、この絵のをください。
と言ってみた。
店員さんは、パッケージには3種類の絵が描いてあるが、中身は全部ひまわり
1種類だったはずと言って、唐突に在庫の箱を全部開け始めた。
(在庫数推定30ヶ)
全部空けてる間に飛行機は飛び立ってしまうので、2、3ヶ開いたところで、
「ひまわりでいいです。」と言っていた。
日本人は遠慮深い民族。
というより、パッケージだけ3種で、中身はひまわりしかないコンセプトの製品と
解釈した。
日本に帰って父親にそれを渡した後は、そんな事は忘れてしまっていた。
それから約2年後、2回目の韓国仁川国際空港。
今回も何か変わった器の酒、と探していると、何か微妙に見たようなパッケージ
の酒がある。
でも敵もさる者、空白の2年の間に進化を遂げていた。
パッケージの絵が5種類に増えていたのである。
(自画像が消えて、ルノアール?の裸婦像2種と市場の絵)そして、箱も2回り位
大きくなっていた。
これはおもしろいな。
とすかさず店員さんに、
「ひまわり以外のものはありますか?」
と聞いてみた。
正直、絵は増えても中身は全部ひまわりなのかと思っていたのだが、店員さん
の答は、
「お客さん運がいいです。ルノアールの在庫が少しだけ残ってます。
(原文まま)」だった。
買った。
ここから免税店に行く目的が1つ増えた。
最新情報はマレーシア。
クアラルンプールの空港では探す時間がなくて、経由のシンガポールで発見、
すかさず店員に絵柄の確認。
「今は2種類だけあります。」
それはどっちも既に買った絵だった。
妙にくやしかった。
これはもはや俺の海外旅行でのライフワークである。
なので、これからも旅に出るであろう。
出続けるであろう。
それが男のロマン。
でも、際限なく絵が増えてったらやめる。
追記:
2005年8月、金浦空港。
夜景の絵を手に入れた。
絵柄数は変化していなかった。おそらく全部揃えるまで止められない。
しかし帰って来てパッケージを開けてみた時、この夜景がパッケージに
載っている夜景の絵ではない事が判明した。
・・・謎が残った。
追記A:
2006年5月、仁川空港。
免税店に行くと3種類の絵柄があった。持っていた夜景の絵、そしてルノアール
の裸婦が2種類。
おっ、いい感じやん。
しかし俺は全く美術に疎いので、自分が以前に買った裸婦が2種類のどっちか
わからない・・・。
ご婦人のポーズの違いから・・・、覚えてない。
片方はバックが緑色、もう片方が白。
店員さんに以前来た時にあったデザインはどっちか聞いてみる。
「その時には両方とも発売されていました。」と言う。
後に出たのは白い方らしい。
んー、白。
この選択、正しかった。俺の二者選択はいつも外れるのだが、今回は珍しく
正解。・・・俺もうすぐ死ぬ?
ここで店員さんから耳寄り情報。メーカーがメーカーの在庫がなくなり次第、
次の絵を送ってくるらしい。
っつー事は、夜景の絵のメーカー在庫がなくなると、また次の絵が来る?
・・・やっぱキリねー。
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