<頼んではいけない>

結婚披露宴にスピーチ。
これは必要かつ絶対な条件である。

日本の披露宴では、会社ではえらそうなのにこういう場面では全くふがいない 新郎新婦の職場の上司とか、ウケを狙い過ぎてすべりまくりの新郎の幼なじみ、 おねでたい席なのに何故か泣いてしまう新婦の友達などが、スピーチ担当として よく登場するが、この披露宴に出て来たのは今までの常識を覆すスピーチ男 だった。

彼はおそらく新婦の職場の同僚だった。
名前はややこしくて覚えてない。
何だかバズーカ砲を思い描かせる名前だったように記憶している。
披露宴が開始してしばらく経ち、新郎の友人(日本人)の司会者がその男を紹介 して、ステージに出て来るように促した。
しーん、誰も出て来る様子がない・・・。

まあ、三々五々集まって来るような人達だから遅刻しているのかな?
実際、新婦の職場の同僚らしい男に司会者が尋ねると、まだ会場に来ていない と言う。
そして、彼のスピーチはプログラムの一番最後にまわされた。
披露宴のプログラムがその場で変更されるという経験も初めてだったので、 非常に驚いたのだが、その彼のスピーチが再度巡ってきた時にとんでもなく 驚かされた。

呼ばれてステージに出て来たのは、先程「彼はまだ会場に着いてないよ。」と ヌケヌケと言っていた男だったのである。
そして彼は「話す事を考えていなかったので、後にしてもらいました。」などと 言いながら、スピーチを始めたのである。
そんな彼の話した内容はというと、・・・全く覚えてねー。

まず聞く気にならないし、もう披露宴は後半であちこちで結構できあがってる 人達がいてその人達を見てる方が面白かったし、そして彼の話に彼の同僚達も あんましウケてなかった。
最初こそお義理で笑ってたが、彼のウケ狙いは見事にすべっていたようだった。
プラス会場の3、4割は元々誰の話も聞いてやしねえ。

世の中には色々な人間がいる。
話す内容を当日考えるところまでは許そう。
が、それで披露宴の段取りを変えさせるような人には、例えどれだけ親しくても スピーチを頼んではダメなのではないだろうか。
重要なのは君がしゃべる事じゃなくて、新郎新婦のお祝いをする事だもんね。
後で司会者の人達と話したが、とても怒っていた。
当たり前だよなー。

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耳を疑う日
これも声にならない叫び