<これも声にならない叫び>

これ、マレーシア、関係ありません。
マレーシアから日本へ戻る途中の経由地、シンガポールでの話。

3人で行ったマレーシア旅行、日本到着は月曜日早朝。
SとKは月曜有休、でも俺は出発した金曜日の有休だけが精一杯で月曜日は 空港から会社へ直行で出社というスケジュールだった。

なのでシンガポールでの待ち時間ですべき事はスーツに着替える事だった。
日本に着いて、はるかの車内で着替えればいいやん。と思うかもしれんが、 早朝の為、はるかでなく、普通電車2回乗換でないと会社の始まる時間に間に 合わない時刻表。

出発したクアラルンプールで全く余裕のなかった俺達は(詳細は<旅の記録> で)大空腹状態で、かつ俺は免税店でいつもの酒を探したかったのだが、 シンガポールでの待合時間は1時間弱、着替えにもたついたら何もできない。
あせっていた。

飛行機を降りて空港に入ると一目散にトイレに駆け込んで服を着替え始めた。
そのトイレには親切な事に普段は壁に収納されている、バネ式の小さな テーブルがあった。
そのテーブルを引き出して、そこに荷物を置き、扉に付いているフックに服を かけ、着替え始める。
でもあせっていて動作が空回りして、なかなか服が着替えられない。
トイレでスーツから私服に着替えるのは結構楽なのに、逆は難しいんだよ。

時間が迫る。
それでも何とかスーツを着て、そろそろ着替え完了。という時に靴も履き替え なければならない事に気が付いた。
よく考えたら、靴ぐらいなら日本に着いてからでも余裕で履き替えられるのだが、 普段は必要もないところで冷静なくせに、その時はそんな事を考えられる状態 じゃなかった。
それでカバンの中を靴を求めてがさがさひっくり返す。ないないないないよー。
必死の捜索(汗だく)の末にカバンの最深部に靴を発見して、やったー。と靴を 引き出したら、カバンのバランスが崩れたらしく、テーブルがばいーんと壁に 収納されて、カバンがトイレの床に落ちた。

普通のトイレで床にカバンを落としたら、うわぁー、汚ねー。となるところだが、
ここはシンガポール、トイレの床は清潔だった。
それは問題なかったのだが、カバンが落ちた時にがしゃん。という音がした ような気がしたのが非常に気になる。ガラス製品は持っていなかったはずだが。
よっこいしょとカバンを持ち上げると、その下には・・・。

!!!!!!ぅぅぅぅううううぁぁぁあああ!

カメラを入れていたリュックが、重いカバンの下敷きになっていた。
あの「がしゃん」はカメラ・・・。
その瞬間、何もかもがよくなった俺は、トイレの床の上に全部荷物を降ろして 整理し始めていた。
本当にどうでもよくなって、会社に行くのを止めようかと思った位だった。
荷物を整理し終わってカメラをケースから取り出す。

あああ、間違いなく壊れてるね。2代目の俺の旅行友達は俺が殺してしまった。
汗だくで精神が壊れたまま、トイレを後にした俺が向かったのは何故か免税店。
俺が集めている酒のボトル(<免税店に行こう>参照)が見付かれば、 精神的に満たされて、気持ちが落ち着くと思ったのだ。
だが、免税店天国シンガポールにはその酒はなかった。

そしたら次は空腹を満たせば落ち着くはずだと、空港内のハンバーガーショップ 「POPEYE'S」に向かった。
この店、韓国のチェーン店じゃなかったか。しかし店に着いた時には食ってたら 飛行機に乗り遅れる時間になってしまっていたので、持ち帰りにした。
でも空腹が満たされていないので、怒っている。
SとKはのんびり過ごしたんだろうな、チクショーと思ってゲートに着くとSとKが いて、何も食う時間なかったろ?とサンドイッチを買っていてくれた。

えっ?
彼らにそんな優しさがあるなんて思ってもみなかった(ごめん、大変失礼。)よ。
もう10年の付き合いになるのだが、初めて知った。

そして飛行機乗り込んだ俺達3人、私服私服スーツのおかしな取り合わせだった のか、フライトアテンダントのお姉さんも俺達がグループとだとは思わなかったの だろう。
何故か俺にだけ、後ろの2人掛けの席が空いていますが、移られますか?と 聞いてくれた。
KとSは何でこいつだけに聞く?ってな顔をしていた。

席を移る時に、そんじゃ。と俺がSとKに声をかけたのを見たそのお姉さんは こいつら、ツレ同士だったの?ってな顔をしていた。
人の優しさって弱ってる時には身にしみるよなー。と再認識する出来事だった。
優しさが身にしみて泣きそうになった(嘘)。

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頼んではいけない