<関西弁で言え>

関西弁であるものの名前を言うと、ミャンマーの人達にばっちこ通じるという話。

最初にそれを見たのは、ヤンゴンの寺の中の売店街だった。
ちょっと見、これが売り物だとは思わなかった。
その売店の横に無造作に置かれていたのは、丸太と鉄板。
しかもごろごろと何セットも置かれている。
何に使うのか全く理解不明ながら、漠然と鉄板の上に丸太を載せて割って薪に するのかと思っていた。

それを確かめる機会があったのは、バガンだったと思う(記憶が定かでないなら 書くな。との噂あり。)。
前出のミンミンと大きな寺院を訪れた時だった・・・だろう。
そこの売店にも丸太&鉄板セットがごろごろ置いてあって、ミンミンに、あれ何? と聞いたところ、何故か自分の顔を指差す。
・・・ん?丸太+鉄板=ミンミン?ミンミンは木製?

全くわからん。

あれは君?と訳のわからん質問をしてみると、もう1回ミンミンは自分を指差す。
よく見ると、ミンミンは自分を指差している訳ではなかった。
彼女は自分の頬の辺りを指差していたのである。
ここで初めて解説するが、ミャンマーの女性は皆、顔の一部又は全体に小麦粉 を塗っている。
ように見える。

顔に「明らかに何らかの粉末を水で溶いたものです。」というものを塗っているの である。
ミンミンは頬にしか塗っていなかったので、バカボン系だなとは思っていた。
それは化粧ではなく、日焼け止め。

そうか。この日焼け止めは何かの樹液でできていて、鉄板を使ってあーしたり こーしたりすると日焼け止めの材料ができるのか。
納得。

その後、旅の記録に登場しているS君・Nさん・Nさんと食事の約束をして、彼ら のホテルに迎えに行った時に、その日焼け止めの話が出た。
S君が俺に言った。
「ミャンマー女性をバカボンにする日焼け止めの名前聞きました?(超訳)」
S君の方が年下なので敬語を使ってくれる。
そういえば、ミンミンに名前は聞かなかったなと思っていると、Nさん達がそれに 続くように、「あの日焼け止め、「タナカ」って言うんですよ。」
Nさん達も年下なので敬語を使ってくれる。
田中?何で人名やねん。

俺がイマイチ信じていない様子なので、宿の主人にも聞いてくれた。
「そう。タナカ。」
そして宿の主人は、あるプラスチックの容器を持って来てくれた。
「This Is タナカ.」

タナカは人名だから、HeかSheでしょう。
違和感あった。

ビルマ文字?っていうのか、ビルマ語の文字は俺には理解不能なので本当に そう記載されているのかわからん。
丸太じゃないの?と聞いたら、今は都会ではこういう便利タナカを使うんだよ。と 教えてくれた。

そして発音を教えてくれる。
しかし、S君達はうまく発音できない。
何故か。
正確には俺も違うかもしれんが、その宿の主人の発音ではアクセントが「ナ」に あるので、 関西弁で「田中君、」と呼びかける時の発音によく似ているように聞こえた。
他の3人はどうしても標準語で「田中君、」と呼びかける時のアクセントになって しまうので、結局宿の主人にGoodと言われたのは俺だけだった。

その時は結構嬉しかったのだが、冷静に考えると、ミャンマーで日焼け止めを 買い求める事はなかったし、おそらく今後の人生でこの単語に関わる事はない。
よってうまく発音できる必要性もない。

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