<台南最大夜市>

夜市。
台湾を語る上でまったくもって外せない要素である。

夜市とは、夜遅くまで賑わう市場の事で(まんま)、屋台の食べ物屋が軒を連ね、 衣料品からCD・時計生活必需品まで色んなものが売っている。
台北で訪れた事が当然あったのだが、今回は台南でガイドブックに載っていた 最大の「小北観光夜市」に行ってみる事にした。

タクシーに乗って20分弱、遠目にも明るい地域に到着。
タクシーが着いた大通りに面した所には、ずらーっと食べ物屋が並んでいる。
色とりどりの果物、食ったばっかで腹は全く減ってなかったが、何となく楽しそうな 気がした。
ところが本来とは別の意味の楽しさを味わう事になった。

夜市に一歩足を踏み込むと、屋根付のメインストリートの両側には食べ物屋が いっぱいある。
本来であれば「おー。」と思うのだが、何か違和感があるのである。
それはKもSも感じていた。
「何か人少なくねえ?」
確かに。

夜市というと、台北の夜市は通りをまともに歩けない程の人込みで、どこの 食べ物屋も客で溢れているのだが、この夜市は人影まばら、メインストリートも 本気で走っても誰にもぶつからない位に広い通りが真っ直ぐ伸びていた。
店の人達の呼び込みの声とTVの音、調理の音は結構騒がしいのだが、 客が全然いない。
俺達には見えない客でもいるかのような印象。
初夜から気分が盛り下がるのは勘弁して欲しいので、「まだ時間が早いから。」 とか言いながら、とりあえず一周してみようという事にした。

食べ物屋の中を、本日休業らしき店には目もくれずにとっとと歩いていく。
でも道ががら空きであっという間にメインストリート終了。

横道に入って衣料系セクションへ向かう。
笑えるパンツとか土産に考えたりしていが、何といっても客が少なく、どの店に 行ってもすぐ店員が来てしまい、逆に落ち着いてなど見れない。
Kがベルトを吟味している間に、ベースボールキャップが欲しくて雑貨屋みたいな 店に入った俺は、早速店主夫婦に捕まる。
帽子を陳列している棚をひっくり返し、店の奥の在庫を引っ張り出し、次々と 帽子を持ってくる。ちょっとゆっくり見せれ。と段々うっとおしくなってきて、 見たところ絶対に置いてない種類の帽子が欲しいと言ってみる。
そして、Sが来たのをいい事にSを人身御供にして店から出る。
置いてる帽子は「NIKE」やメジャーリーグものだが、鉄板で偽物。

そんなこんなで30分程で全貌を見てしまった俺らの熱はすっかり醒めていた。
とりあえず何か食おうかと思って、再度食べ物屋街へ。
各店の軒先には自慢の料理の素材や、作り置きが所狭しと並べられていて、 その上を個々に工夫を凝らした蠅払いが回っている。
ビニールひもを裂いたようなものがくるくるという所が多かったようだが。
それらを強烈なライトで照らしてるので、料理は妙にぴかぴかまたはきらきら。

特に魚介類を並べてる店が多かったのだが、これは水で戻して食べるの? 的にかぴかぴと乾燥した魚達。ちなみに乾物屋ではない。
貝だって、こんな強烈なライトにさらされてるのに、一筋の光もない位、つや消し 仕様。
貝はやばいだろ、貝は。・・・牡蠣まで・・・。
そこに定期的に水をかける店員達。
と、魚貝達が水を吸い込むスピードの早いこと。
心なしかみんなひとまわり位大きくなったように見えた。

「1、2、はい。」って感じで、みるみるうちに衰える食欲。
最後の方は、各店の食材で「これはやばいだろ。」というものを探すのがメインの 目的になっていた。

1軒寿司屋があったが、ここで食べれる日本人の方がいたらご一報くれ。
ちなみに、見た目のみ鯖寿司もあったが、酢じゃなくて違う種類の酸味が 効いていそうだった。

こうなるともう果物さえ信用できず、とっとと引き上げた。
この夜市は「台南最大」の規模だけが売りなのかもしれない。
平日の早い時間だったからで、普段は違うよ。という方もご一報くれ。
あなた達の召し上がられた魚貝類は、水→乾燥→水→乾燥→水という ハードスケジュールをこなしてきた魚貝達だという事を教えよう。

帰りに近くのマクドナルドで「日本フェア」の看板を見付け、どんなメニューかなと 思って近寄ってみた。
ご飯のついた定食が3種類程で、見た目は日本風だったかも。
ただ、みんな知らないのかもしれないので、教えてあげよう。
バーベキューやカレーは日本料理ではないぞ。

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