<三越前で待て>

これは生涯2回目の台湾、会社の同期SとKと行った台北のホテルでの話。
(旅の記録に載せている時の事ではありません。)

初めてのおっさん3人旅、いや、当時はおっさんではなかった若手サラリーメン 3人旅。
OL3人旅ではなかった為、殺人事件に遭遇する事もなく、無事に台湾最終日を迎えていた。

3人で行く時は、いつも漢字筆談係の役目は全てSがやってくれる。
そして事前の航空券とホテルの手配は俺、という事でKにも何かやってもらおうと 1人で勝手に思い、Kを勝手に英語係に任命した。
といってもそんなに出番はなかった・・・よな?

まず、ホテルのフロントで貴重品を預かってもらう。
カバンを預かって下さい。の英語は知っていたのでそれを貴重品に変えるだけ、 簡単簡単。
貴重品の単語は事前に教えてやったが、毎回忘れている。
この時以外、貴重品をホテルに預けた事はないのでいいのだが。
でもこの時は全然大丈夫だった。

そして旅の記録に載せた3回目の台湾旅の時は、台北→台南の国内線航空券購入の手配。
これはちょっと引っ掛かっていた。
航空会社の係員が支払いは現金ですか?カードですか?と言ったのがよく わからなかったようだった。
おそらく、航空券を下さい、と言った後に向こうから返ってくると思っていた返事と 違ったのだろう。
それも特に問題なし。

ただ一度だけ俺とSがバカウケしてしまった事があった。
台北で滞在していたホテルをチェックアウトした時に、空港行きのバスの乗り場を 聞いてくれ。と俺が言った事が発端だった。
Kは何で俺がいつも?と言うが、働かざる者食うべからず(意味不明)だ。と 思いながら(口に出しては言わない)、Kをフロントに行かせる。
ちょっと質問する時に文章の組み立てに困っていたようだったが、フロントの人 に意味は通じていて、フロントの人が回答してくれているのだが、何故かKが 何回も同じ事を聞きなおしている。

俺とSはフロントの人が言った事が理解できたのだが、Kの成長の為にあえて 見守ろうという親心でしばらく放っていた。
が、何回聞きなおしてもKはわからないらしい。
俺も段々、何故Kがわからないのかがわからなくなってきていた。
そういう何回かのやり取りの後、Kがいかにも「理解できません。」という顔で こっちを見て、どっかの前からバスに乗れって言ってんだけど、どこだか わかんねえ。と助けを求めてきた。
んん?そこが聞き取れてなかったのか。

フロントの人が「●●の前にバス停があります。」と言っている事は理解できて いたらしい。

惜しい。惜しいよ、K君。
でも、そこは聞き取れないとダメだろう。日本語だぞ、K君。

正解:フロントの人は「三越の前にバス停があります。」と言っていたのだった。
Kが聞き取れなかった単語は「Mitsukoshi」だったのである。
後にKが語るには、音的に三越に近い響きは聞き取れていたのだが、三越 なんて日本語を言っているという想定がなかった。 との事だった。

わかるわかるよ、その気持ち。
と同情しながら、Sと2人で笑ってしまったのだった。

そしてKが俺に対して、お前英語しゃべれんのに何で俺にやらせんだよ。と言う。
俺、決して「しゃべれる」なんてレベルじゃないもーん。
マレーシアでKもSも聞き取れてたインド系英語がさっぱりわからんくて相当慌ててたやん。
それに同じ慌てるなら俺じゃなくてKが慌ててる方が面白いやーん。
という事で、3人旅が今後あるかはわからんが、次にあってもKには英語係をやってもらうよ。

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