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小島先生の著書読書感
■「Small is Beautiful−サブタイトル『人間中心の経済学』の感想」 柳平 彬 (2006.9)
 小島志塾さっぽろ代表幹事山本克郎さんの「小島志ネットワーク開設に寄せて」の中で、シューマッハの訳書『スモール・イズ・ビューティフル‐人間中心の経済学‐』の紹介がありました。そのサブタイトルの件で感想を述べさせていただきます。


 この本の原書のタイトルは『Small is Beautiful』でサブタイトルは A study of Economics as if people mattered となっています。従って、原書では“人間中心の経済学”とは言っていませんので、これからの私のコメントは適切でないのかもしれません。出版社がわかりやすく付けたサブタイトルと思いますが、最近でも“人間中心”という言葉やキャッチフレーズを使うケースや企業をよく見受けますので、その問題点を述べさせていただきます。


 この点に関しては、思考評論家の宅間克氏が明快に彼の著書『地軸が変わる』(地湧社刊)117ページからその因果混交を分析しています。宅間氏は人間中心の限界(ブラジル・サミットの議案)と言うサブタイトルの元に説得力のある人間と自然環境の認識論を展開し次の文章に入ります。「しかし、地球自然の生態系的を秩序が乱れた原因こそ『人間中心主義』の発想による人為の履行ではなかったか。地球自然にとって、「人間中心」は『開発や産業中心』よりましなことではあるか。その『開発や産業中心』は『人間中心』の最高峰、つまり『開発や産業中心』は『人間中心』を高度に推し進めた究極の意識ではなかったのか ‐省略‐ 環境問題とは、人間中心の考え方を改めて、地球自然の体系的な秩序を中心とする考え方に転換し、そこから人間の行為、自分の行為を反省し、あるべき姿を模索する問題なのである。」


 まさしく、彼が主張するデカルトの「我思う故に我在り」から「我在り故に我思う」への意識転換が今求められているのです。是非、今後の『スモール・イズ・ビューティフル』を正確に理解するためにも『地軸が変わる』を読まれることを薦めます。出版社は山本克郎さんが書かれた『先生が燃え学生が燃えて学校がある』と偶然に同じ地湧社です。

※『地軸が変わる』宅間 克 →地湧社ホームパージへ →AMAZONページへ
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■「動乱の世界にどう生き残る」読書感  柳平 彬 (2006.9)
 9月16日よりの連休では、社の意欲啓発誌「あいきゃん」の今月号、「現場力‐事件は現場で起きているんだ。会議室で起きているんじゃない!」を書き終えてからすぐ、「戉辰戦争から西南戦争」の次に読みたかった「動乱の世界にどう生き残る」(めいけい出版刊)を読みました。


 平成4年、今から14年程前に小島先生が書かれた内容です。当時の湾岸戦争の突入に当たっての世界情勢に関する先生の洞察に改めて新鮮な驚きを感じました。なお、本のはじめに「ヒューマノミックスとは」というページより、ことばの由来が書いてありました。これからの世界の動きを理解する上でも大変参考になりました。


 その内容をここに紹介します。
「文明はともすれば、人間を見えなくする。自給自足から市場の経済へ、商品が氾濫し、機械化や情報化が進むにつれ、その中で見えなくなったのが人間である。学問の世界でもそうだ。もともと生きた人間の学問であった経済学が純粋な科学性を追うあまり、人間を疎外して久しい。ヒューマノミクスは、ヒューマンとエコノミックスの合成語。行きづまった産業社会を甦らせ、人間復興をもとめるのがその悲願である。」
小島 慶三


「ヒューマノミックス」が「エコノミクス」に代わって学問になる。このことが21世紀に起こることを期待します。
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■「価値の伝承」こそ進歩の源泉  柳平 彬 (2006.9)
 「世代間の価値の継承と責任」という日米共同アンケート調査(国際長寿センター編)の結果について、すでに亡くなられた元理事長・伊部英男さんが、涙をながしながら、「日本人はアメリカ人に比べて価値の伝承に積極的でなく、明確な意思を持っていません。しかも敗戦によって価値の伝承が断絶されていることが、日本人の精神面での脆弱さに現れているのではないか......」と語ってくれたことを思い出しました。


 相互に啓発されることのない勉強会や会合の多い中で、今回の小島志ネットワークは、一味も二味も違った方向へ展開して行くのではないかと期待しています。なぜなら、小島慶三先生の書かれた著書『文明としての農業』を中心とした3部作『水は命』(めいけい出版社)、『戊辰戦争から西南戦争へ』(中公新書)を改めて読み返してみました。小島慶三先生が伝えようとしている価値観がいかに今の日本及び、世界にとって大切かがひしひしと理解出来たからです。


 小島先生の書かれた他の著書(知恵の宝庫)を更に、発展させて、これからの日本及び、世界へプラスの影響を与えて行くことが出来ます。今、潜在的な力を持った知恵の宝庫を眠らせておくのはあまりにも、もったいないのではないかと思います。小島志ネットワークを通して、そうした知恵を生かし、志のある社会を創造して行くのが我々の使命であり、責任です。是非こうした活動に多くの方が参加してくれることを期待します。今こそ小さな志の島を集めて、大きく世界を動かす時ではないでしょうか。

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