会員掲示板へ※パスワードが必要です!会員掲示板へ※パスワードが必要です!原稿の投稿をするにはKJKネット利用方法事務局へ問合せ
 トップページ >小島志ネットについて > 小島先生の業績:ヒューマノミックスについて
| 前ページに戻る | トップページへ戻る |
 
■「ヒューマノミックスについて」 山本 克郎 (2006.11.29)
 20世紀の経済学は地球と文明に危機を招来しました。唯物論的社会主義は、90年代の初めに自己崩壊を遂げ、その存在意義を自己否定しました。市場主義的自由主義は不況と失業、環境破壊と戦争を解決できず、ケインズ経済学もその限界を明らかにしました。
 何よりも20世紀の重大な事態は、止めどない自然の生態系と自然環境の破壊であり、同時に人類自身の存続を危なくする科学技術、文明の制御を困難に陥れる社会システムの展開でした。

 小島志ネット立ち上げに当って「小島先生の提唱されたヒューマノミックスの理念」を継承しようと提案しました。そのヒューマノミックスとは、1970年代にシューマッハーやロエブルにより問題提起され、日本では小島先生が提唱されました。
 小島先生は後藤隆一著「ヒューマノミックスの世紀−真の人間主義と共存のシステム」霞出版社平成13年10月刊に序文を寄せてこう述べておられます。


 「21世紀の幕開けは、第3のミレニアム(千年)の始まりでもある。この時、『ヒューマノミックスの世紀』と題する本の出版をみることは、私には、特別の喜びである。
 20世紀は、西欧に生まれた近代文明が最盛期に達した時代ではなかったかと思う。それは、またこの文明に行き詰まりと破綻の現われた時代でもあった。石油の酒に酔い、原子力の麻薬に手をだした人類は、巨大技術の歯車を回しながら、戦争と自然破壊の悪循環におちて行ったからである。
 ボールディングの『宇宙船地球号』とか、シュマッハーの『スモール・イズ・ビューティフル』という言葉は、このことの実感を示す言葉として、70年代の初めに、私たちの心を打ったのである。しかし、近代社会の解明の学であった経済学は、この状況に対して無力であることも痛感されたのである。
 私が“ヒュ−マノミックス”という旗を立て、新しい問題群に挑戦しようと決意し、同志と共に、研究会をスタートさせたのはこの時代であった。そして、チェコからの亡命アメリカ人経済学者、ロエブルによる『ヒューマノミックス』という本に出合い、一層意を強くしたのであった。近代の危機の原因は、自己の喪失にあるという共通の自覚がそこにあった。
 しかし、この仕事は、人間とは何かという根本的な形而上学を含み、経済学の狭い専門課題を超えた思想史的研究と洞察を不可避とすることが分かって来た。また、学際的な問題をどういう枠組みで体系化するかという構想力も必要であったのである。それ故、色々の分野からのアプローチから始まったのであった。しかし、その大成は、いずれ私のなさなければならない責任であると考えて来た。
 しかし、その後、全国32の小島塾の決起があり、晩年には、参議院議員としての政界への進出があり、引退後は、急速な視力の低下に直面し、この責任を果たすことが不可能になった。しかし、天は、私達の初志を見捨てなかったのか、後藤さんという得難い人材によって、この難事業は大成へと向い、新しい世紀へと繋がったのである。私は、喜びと共に、感謝に耐えない気持ちである。
 今は、一昨年(平成11年)の『ヒューマノミクス宣言』に始まり、この『ヒューマノミックスの世紀』において大成したこの世紀の力作に、世の理解を共感が集まり、歴史の創造に繋がってゆくことを祈りたい。それが、人間の主体性と全体性の回復への道となり、21世紀の文明をつくる人材群を生み出してゆくと信じるからである。
 この序文を借りて、私の心情の一端を述べ、挨拶としたい。(ヒューマノミックス研究会会長・元経済同友会顧問)」


 後藤隆一先生はこの著書の「あとがき」でこう書かれています。

「(−前略−)思えば、30年の歴史を持つヒューマノミックスという思想形成は、今、一つの山に到達したと思う。それ故、巻末に、参考文献として、ヒューマノミックスの関連書籍を紹介させて戴いた。それを見て、あらためて感じるのは、この本は、直接には、シューマッハー、ロエブル、小島慶三先生を継承し、田村正勝教授の数少ないが、貴重なアドバイスによって生まれたことである。田村教授のアドバイスとは、3人の先人の思想を、人間観のパラダイムで統合し、一つの思想として体系化することであった。(−後略−)」 


 また後藤先生がこの著書で《ヒューマノミクス関連文献》として下記の文献を上げています。


E・フリュドリッシュ・シューマッハー著
・『スモール・イズ・ビューティフル』訳者 小島慶三、酒井懋 講談社学術文庫
・『混迷の時代を超えて』訳者 小島慶三、斉藤志郎 佑学社
・『宴の後の経済学』 監訳 長洲一二 訳者 伊藤拓一 ダイヤモンド社
・『スモール・イズ・ビューティフル再論』訳者 酒井懋 講談社学術文庫


エウゲン・ロエブル著
・『ヒューマノミックス』訳者 斉藤志郎 日本経済新聞社


レスター・ブラウン著
・『飢餓の世紀』訳者 小島慶三 ハル・ケイン ダイヤモンド社


小島慶三著
・『人間復興の時代−Humanomics』銀座出版社
・『ヒューマノミックスの世界』経済往来社 
・『文明としての農業』ダイヤモンド社


田村正勝著
・『世界システムのゆらぎの構造』早稲田大学出版部
・『日本経済の新展開−人間復興の経済・余暇論』新評論
・『新時代の社会哲学−近代的パラダイムの転換』早稲田大学出版部


酒井邦恭著
・『分社−1、2』(16か国語に翻訳されている)銀座出版社
・『像にはダイヤが磨けない』((株)みずき)


後藤隆一著
・『脱近代への道−価値論・仏法・ヒューマノミックス』東洋経済新報社
・『ヒューマノミックス宣言−人間主義経済学の探究』蝸牛社
・『ヒューマノミックスの世紀−真の人間主義と共存のシステム』霞出版社


 後藤隆一先生は更に平成16年3月「蘇生の哲学−パラダイムとしての人間観」霞出版社を出しておられます。小島志ネットの開設についてお手紙を差し上げて、後藤先生のお力添えをお願いしました。
 小島先生がヒューマノミックス研究会を組織されて、文明の衰亡を救う道を探求された足跡を尋ねれば、現実の課題と今後の展望を探求する手掛りの一

このページの上へトップページへもどる

Copyright(C)小島志ネットワーク All Rights Reserved.