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■ このごろ都にはやるもの−25 水素と水で自動車を走らせる男(その1)
    最首公司 (2006.10)
 「ニュートンはリンゴが落ちるのを見て万有引力の法則を発見した」「やかんの蒸気が重い蓋を跳ね上げるのを見て蒸気機関を開発したのは、ジェームス・ワット少年だった」・・・こどものころよく聞かされた話である。
 ワットの改良した蒸気機関は、まずは炭鉱の水汲み用ポンプに利用され、次に蒸気機関車、蒸気船、蒸気自動車となって19世紀の産業革命をもたらした。
 20世紀に入って石油の発見と内燃機関の発明は蒸気機関を博物館に追いやったが、蒸気をつくる石炭の代わりに水素を使えないかと、その男は考えた。世界が石油の尊大さと強大さを思い知らされた1970〜80年代、オイルショックのころである。
 人類の理想は「水で内燃機関を動かすことではないか」と、その男は語る。並みの人なら「そんな馬鹿な!」と、そこで思考を止め、それより燃費のいいハイブリッド車に乗り換えるとか、いっそのこと車に乗るのをやめようという方向に向かうだろう。男が考えたのは「ガソリンの代わりに水が使えないか」ということだった。


 ガソリン車の場合、シリンダー上部に揮発性燃料のガソリンを噴射し、そこに瞬時を入れず電気式点火プラグで点火する。液体のガソリンが燃焼して気体になる膨張エネルギーを使ってピストンを動かす。
 男が考えたのは、ガソリンの代わりに水素と空気を吹き込み、点火とほぼ同時に噴霧状の水をシリンダー内に送り込む。点火された水素は空気中の酸素と結合して爆発的に燃焼する。ここまで紹介すると、「あゝ それは水素エンジンだ」と早合点する向きもあるだろう。BMVやマツダのロータリーエンジンは、まさに水素燃焼の際に発生する爆発的な膨張エネルギーを利用している。
 男の考案ユニークさは、水素燃焼の熱エネルギーを利用し、これで噴霧状の水滴を蒸気にし、その膨張エネルギーを動力とした点にある。蒸気機関車の石炭を水素に換えた、といってもいい。


 従来型の「水素エンジン」とその男の「水素・水エンジン」とはどこが違うか、といえば、「水素エンジン」は水素が主燃料だから大量の水素を必要とする。「水素・水エンジン」の場合は、水素は添加剤に過ぎず、主燃料は「水」ということになる。
 その男、叶素エネルギー開発研究所渡邊賢弐代表は、この方式を「HAW」(水素・空気・水)と名付けた。ニッサン車を改造した「HAW車」で車検をとり、いま公道を走っている。最高時速は160km、350気圧タンク1本で150kmを走っている。その模様は7月にNHKのニュース番組で全国に放映された。
この「HAWエンジン」は自動車だけでなく、船舶にも航空機にも使えるだろう。


(このごろ都にはやるもの−26に続く)

 
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