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■「格差社会」1 小林 勉 (2007.3)
みなさま
 瀬戸内グループのこばやしつとむです。ご無沙汰いたしております。
 新しく、KJKネットワークが発足し、皆様のご活躍をネット上でつぶさに拝見できるようなり、また非常に刺激的な情報を発信していただいたりで、とても励みになります。
 今回、私は、所属しております岡山大学のプログラムでアジア、アフリカ数カ国をめぐってまいりました。その中で感じたことを何回かに分けて投稿させていただきたいと思います。
まずは「格差社会」1という題でお願いいたします。


 前首相の小泉氏が、格差社会について、どのような社会でも格差はある、というような発言とともに、格差社会を容認するような発言をして問題になりました。また現在、国連のユネスコが提唱しております「ESD(持続可能な開発教育)のための10年」の実行モデル都市として岡山市は第一期から選ばれております。
 この「持続可能な開発」に関して、社会の格差がどのような要因となるか、といえば当然のこととして、格差が持続可能な社会の実現において障碍となることは明らかであります。開発とは何かということを、ここで改めて考えて見ますと、やはりそれは、住民が安心して住める社会、環境を築くということにほかなりません。社会格差は明らかにそれを妨げます。


 今回はまず、バングラデシュを訪れました。私は、およそ20年前、青年海外協力隊員として2年間バングラデシュで生活していました。その後何度か、現地を訪問しましたが、首都ダッカの変貌振りはすさまじく、2,3年、時間を空けてしまうと、驚くことしきりです。お隣のインドのIT産業の充実にあいまって、ダッカ市内でも、外国人が利用するようなホテルやゲストハウスは光ファイバー導入の高速インターネットが無料で使えるなどびっくりするような事態です。しかもそれはダッカ市内の限られた地域のみならず、各地方都市の、それなりに発展した場所では、なんとかインターネットをつなぐことが可能になりました。
 今回は、バングラデシュ北部、インド国境に程近い、シレットでもネットカフェができていまして、日本語フォントはないもののネット通信は可能です。停電は多いですけどね、地方は。そんなことで、じゃあダッカ市内はというと、20年前以上のものすごい人口密度と、経済発展に伴う車の増加で渋滞すさまじく、私の所属していましたダッカ大学まで、昨日は40分、今日は2時間半なんてざらです。この現象はとりもなおさず、アンバランスな発展に伴うものと思われますが、しかしこの先どうなることやら。
 ダッカ市内のスラム地域ですが、20年前と比べて明らかに増大しています。スラムの中の生活環境は厳しいものです。スラムでは借地料が必要で地主は結構儲かるそうです。底にも格差というものが見えます。地方都市はダッカとは異なり、スラムは目にしません。その代わり、農村部と、市街部の差というのはあります。ただ、このぐらいの差では、どちらがいいかというとそれは好みによる、という感じになります。そのくらいの差は格差でしょうか。また、ダッカと地方都市のいろいろな差は、これは格差でしょうか。


 次はタイを訪れました。タイといってもバンコクだけですけど。いろいろな差はバングラデシュと同じように都市部のほうで大きく現れるので、バンコク市内のほうが良くわかる気がします。バンコク市では王立チュラロンコン大学医学部を訪れました。ここは非常に格調高い大学で、設備もすばらしく、研究施設も非常に立派なものでした。はっきり言いますが岡山大学より研究施設は立派な感じがしました。というのは研究施設が広いので、環境よく感じました。付属病院はバンコクに住むそれほど裕福でない人たちも通えるように、そこそこの施設に抑えてあり、親しみの持てるものでしたが、一般病棟では日本人はちょっと我慢できないかもしれないなと思いました。同じバンコク市内の病院でも、次に見学したバムルングラード病院は私立のものですが非常に豪華なものでした。事情のわからない人を目隠ししてこの病院に連れて行って、ホテルでないとわかる人はまずいないでしょう。受付から豪華でたいていの言語に対応できます。もちろん日本語もOKです。アラブのお金持ちもきています。アメリカのように非常に医療費の高い国では、メディカルツアーといって、手術や入院を要する場合には国内では治療費が高くなりすぎるので、バンコクのこの病院に来る人が非常に増えているということです。そしてそういう人たちはアメリカでは特別豊かな人ではないということも面白い状態です。特別豊かな人は国内で治療できるからです。逆な感じがしますけどね。


 翻って、バンコクにはスラムもあります。最近ちょっと小さくなったというか、いつも使うゲストハウスの横にあったスラムが撤去されていました。しかし、バンコクの中心駅でありますフアランポーン駅から列車に乗ると、すぐに駅前スラムを通過します。ぎりぎり線路に近いところまでバラックが張り出しており、丸見えの家の中には粗末なつくりの中に仕事がないんでしょうねえ、ボーっと日長一日過ごしている姿が見えます。子どもはどこでも元気よく遊んでいますが余計に痛々しい感じです。ファランポーン駅はチャイナタウンのど真ん中にあり、近くのヤワラー通りにはきらびやかな金行がひしめき合っています。バンコクのスラムは、周りが何せ非常ににぎやかで繁栄しているそのさなかにあるところに、悲惨な感じがより強く感じます。
 先のバルムングラード病院はスクムビット通りにありますが、ここはまた立派なホテル、ショッピングセンターが立ち並び非常にきらびやかですが、やはりちょっと中に入ると規模は小さいですが、小さな家がひしめいているところがあります。こういうきらびやかな社会の、その裏に住むきらびやかさとは無関係な暮らしをしている人々。このような状況はどこの国でも、もちろん日本でもあるわけですけど、これを、いわゆる格差と呼ぶのでしょうか。そして、これは単に差なのでしょうか。もう少し議論が必要な感じがします。


というところで、次回は、「格差社会」2、アジアからアフリカの南部に向かいます。

 
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