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■「ザンビアの農業」1 小林 勉 (2007.4)
 前回、前々回は格差社会について観察したことを書かせていただきました。今回は出張で滞在しましたザンビアの農業について少し書かせていただきます。
 ザンビアはアフリカ南部に位置する内陸国で、国土の大部分を1000m程度の高原が覆っています。アフリカは安定陸塊と呼ばれ、つまり土が古いので、風化が進み、細かくなってしまい、雨で土の栄養分が流されてしまっていることなどから、土地は一般的にやせています。さらにこの国は砂地の土地が多いので、さらに肥沃度は低いです。
 この国の主食は、白トウモロコシを粉にして熱湯でこねた練粥の一種であるシマです。ケニアのウガリなども同じ食物に属します。トウモロコシはもともと南米が原産なので、コロンブスの新大陸発見以降、アフリカにもたらされたものと思われ、今でも、もともと旧大陸の産物であったミレット(アワ、ヒエ)を粉末にして練り粥にする習慣は今でも少し残っています。
 しかし、白トウモロコシの味やテクスチャーがアフリカンに受けたのでしょう。トウモロコシ栽培が非常にメジャーになっています。特にザンビアでは雨季に白トウモロコシだけを栽培する農家が非常に多いです。トウモロコシはご存知なように非常に肥料を多く要求する植物です。水もいります。だからザンビアでは雨季に生産するのですが、近年、気候の変動によって雨季の雨の降り方が非常に不安定で3,4年に1回の割りで旱魃年になるといわれています。したがって3,4年に一度は主食が不作になるということです。ほとんどの食事をトウモロコシに依存しているザンビア人にとっては厄介な問題です。また、有機栽培というものの意識がほとんどないのもこの国の農業の特徴です。銅の国際価格が良かったころは、ザンビアは社会主義国でした。そのときはトウモロコシの種子と化学肥料をセットで国民に配布していたということで、現在でもトウモロコシだけでなくその他の野菜も、化学肥料で生産されています。しかし先に述べたように砂地の国では、化学肥料の有効成分の亡流がはなはだしく、肥料代で農家は苦しんでいます。しかも亡流した化学肥料の行き先は地下水で、環境への影響も見逃せません。
 

 ザンビアは広い国土に少ない人口ということで、世界有数の低人口密度国です。広大な土地が未利用で残っています。首都ルサカには結構お金持ちや外国人が住んでいるので、さまざまな野菜、肉、加工食品が販売されています。しかしそのほとんどが輸入品なのです。生鮮野菜も輸入品で国内農業へのダメージが考えられます。国としては農業保護政策をとっているということですがその割には全然国内の農業について考えているようには思えませんでした。また、前のザンビア大使である石氏も述べていますが、最近はパン食が増えてきていることの危惧もあります。小麦はご存知のようにトウモロコシよりも肥料がたくさんいります。また調理には練り粥よりも火力が求められます。これは森林減少に拍車をかけることになるかもしれません。広大な未利用地は昔は深い森であったでしょうけど現在では、雨季には広大な草地になっています。ここまで書けば、ザンビアはよほどひどい国のように感じられるかもしれませんが、やはりこの広大な土地は魅力です。バングラデシュの状態とは格段に違います。低緯度の国ですが標高があるために気候はマイルドです。この気候は野菜の栽培には適します。次回はザンビアの農業の可能性について考えてみたいと思います。

 
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