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■「ザンビアの農業」2 小林 勉 (2007.5)
 先回は、ザンビア農業とそれを取り巻く食文化における問題点に触れました。
今回はザンビア農業の可能性について考えます。農業が発展するためには食文化が育っていなくてはいけません。そして生産してもそれを消費しないのでは産業としての農業はできません。
 しかし同じように農業が発達していなかったら食文化は発達しにくいものです。はじめから輸出に向けた農業を展開することも考えられますが、ザンビアはその点戦略的な地理的位置にあるとはいえません。これが、いまから農業を振興させようとすることの難しいところです。
 農業を主体として活動している多くのNGO(われわれのことなんですけど)が失敗してしまうのが、農業技術だけ伝えて、特に日本やタイなどからいい種を持ち込み、栽培して、いいものは収穫できるのですが、それが根付かない。なぜなら食べる文化がないから。しかし食文化を根付かせるというのは途方もない時間がかかりそうです。なぜならとあえて断りを入れる必要もないのですが人間の食嗜好は非常に保守的なところがあるからです。農業生産と、食文化創造と、どっちを先に進めたらいいのかということなんですが、ザンビアの場合には、ひとつ光があります。それはザンビアが格差社会であることです。格差社会であることから、既に富裕層は外国のものを含めていろいろな食事を食べる習慣ができています。ここを目指してまず、富裕層が食べるようなものを生産し、販売することもまず方法でしょう。
 前回に書きましたが、富裕層が食べている主だったものは、南アなどからの輸入品です。アフリカ最貧といわれるザンビアが、世界的な経済大国である南アからしかも農産物を大量に輸入するとはどういうことだまったく!!しかし富裕層が食べるようなものでも自国産になれば価格も下がります。そうすればそれほど裕福でない人たちも食べることができるようになるでしょう。そうすれば食文化の幅が広がりを持ち始めます。しかし、やはり普通の人たちの食べるものは非常にバリエーションのない、カロリーに偏った食事しかない。これを農業がどのようにすれば救うことができるか、ここが問題なんです。この人たちに根付いた食文化、これをどうしたら育てることができるかなんです。シマ食をザンビアの食文化として残ればいいと思います。本当はシマを作るときには100%白トウモロコシでなく、キビやアワなど、もともとアフリカにあった穀物を混ぜるとビタミンやミネラルを摂取できます。でも歯ざわりがかたくなって好まない人が多い。日本の玄米ご飯みたいなものでしょうか。シマはトウモロコシを主体にしているためにカロリーが米の6倍と高いので、おかずにはビタミンやミネラル、たんぱく質の多いものがいいんですが、シマの味と食感が油の多い、塩味の強いものに良く合うようです。幸いなことに向こうの野菜は、日本の飼いならされたようなものと異なり、特に、サツマイモやオクラの葉っぱには非常に多くのミネラルがあります。しかしその摂取量が絶対的に少ない。しかも油で泳ぐように炒めた上に、大量の塩。しかも動物性たんぱく質の摂取が非常に少ない。やっぱり、町に出ないで、田舎で自分たちでおいしいものをいっぱい作ってそれで暮すべきなんですよ。そこで田舎でも暮せるように農業を振興する。振興して農産物を町に出す。政府も農業振興を図っているのなら、農産物に関税をかけて国内農業を保護するべきです。そしてザンビアのように気候のいいところではもっといろいろなものを生産するべきです。


 広大な土地、豊かな地下水、マイルドな気候、ここで自国の食糧を生産することはそんなに困難には思えません。ぶどうを栽培しワインの生産を始めることも可能だと思います。しかしそれができないでいるのは、食文化の問題、政治の問題です。農業は政治の問題にまでかかわることは困難です。しかし食文化のほうは料理講習と、農業技術を組み合わせれば何とかなるような気がします。後は果物の栽培もどんどん増やして、酸味を用いることで塩分を減らす、また取りすぎたナトリウムを果物のカリウムでバランスさせる、など農業技術と栄養学、保健衛生学を組み合わせることで、面白い仕事ができるのではと思っています。
 農業の仕事なので短期間で結果が出ることは期待できません。ザンビアは雨季と乾季がはっきり分かれる国です。栽培に関しては、年に一回の試行しかできません。段取りが悪いと、成果が出るまでにこっちが年をとりすぎます。
 JICAも国連もアフリカに非常に力を入れています。アジアは相当に発達してきていましたから、それほど外国の援助を入れなくても、自国で何とかできそうな国が多くなってきました。しかしアフリカはまだそういうわけには行かないようです。貧困の理由として、民族紛争、厳しい自然環境などがありますが、やはりもっとも大きな問題は、政治が悪いことです。元の宗主国が引っ掻き回してしまいましたからね。ここは国連に任せましょう。
 しかし農業は私たち日本の農業者が手をつけることができる問題です。日本の農業は非常に高度な技術体系を作り上げました。もちろんそれをそのまま海外に持っていって使えるものではありません。こういう活動は営利目的でやるのが手っ取り早いのですが最終的には向こうにハンドオーバーするんだったらいわゆる中間技術というものに置き換えておく必要があります。ここがまた難しい。向こうの技術レベルがどの程度のものであるかを抑えるだけでも時間がかかる。なんといってもザンビアは遠いんです。お金もかかるし、どなたかいい基金を紹介していただけませんでしょうか。

 
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