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■このごろ都にはやるもの−44「縦軸風車を研究しませんか」最首公司 (2007.5)
 長野県伊那市の市長さんが「風力発電は景観を損なう」という理由で、議会が賛成した風力発電計画を撤回したそうだ。安倍首相は来年の七夕、北海道洞爺湖畔で開催される「洞爺湖サミット」を「環境サミット」として世界にアピールするため、「2050年までにCO2排出量を半減しよう」と呼びかけるそうだ。この場合、“減炭政策”の目玉になるのが風力発電だろう。
 ところが、世界の風潮に逆らって、風力発電は景観上問題だ、とする意見があるのは、自分の地域だけのことを考える首長ならば当然なのかもしれない。そこで考えた。自然景観と調和する風車はできないだろうか?と。例えば、ヒノキの形をした円錐型風車や大小さまざまな円筒型風車を並べて、「風車の森」ができないだろうか?球形の風車を配置してイルミネーションで飾り立て、「観光風車発電」ができないだろうか?

 
 だいたい、こんなことを考えつくのは寝る前のひと時か、電車で退屈したときなのだが、この一連の「縦軸風車」を考えていくと、なかなか眠れなくなってしまった。あれやこれやとアイデアが湧き上がってくるのである。
 そこで起き上がり、インタネットで調べてみると、鈴木孝氏(日野自動車元副社長)の随想「エンジンのペルソアナ」に行き着いた。
 「風車の起源は7世紀、ペルシア人アブルルア(Abu Lulua)が製粉用に垂直軸の周りに短冊形の羽を放射状に付けた風車をつくった」とある。そうか、それで縦軸風車、別名サポニウス風車のことを「サラセン風車」というのか・・・。
 「サラセン」とはイスラームのことである。オスマントルコ帝国をヨーロッパ人は「サラセン帝国」と呼んだ。おそらく、オスマントルコ帝国の支配下にあった中東、中央アジア、北アフリカでは、縦軸風車が動力源として利用され、12世紀ごろヨーロッパで発明されたオランダ型横軸風車に対して「サラセン風車」と呼んだのだろう。ちなみに中世の騎士物語「ドン・キホーテ」の主人公が敵将と見て立ち向かっていく風車は縦軸風車である。


 先日、大阪のレジャー施設で、ジェットコースターの車軸が折れて女性一人が死亡するという事故が起きたが、両端や上部に負荷がかかる横軸は、縦軸に比べてはるかに金属疲労や損傷を起こし易い。「国鉄が磁気浮上型の新幹線開発に踏み切ったのは、横軸の新幹線はもし車軸に故障や損傷があれば、取り返しのつかない大事故になると、当時の技術陣が判断したから」というのは、時事通信社の元エネルギー記者島田眸さんの話しである。
 島田さんは早くから「サラセン風車」に着目し、これを利用した「洋上風力発電施設」や「風害予防施設」などを発明し、特許をとっている。島田さんは「海」目を向けたが、わは「山」だ。いうまでもなく伊那市の例があるからだ。
 でも、こうなったら海でも山でのいい、「サラセン風車」の研究をしてみませんか。横軸風車は場所をとり、保守や修繕に手がかかるが、縦軸の「サラセン風車」は狭い場所でも建設できるし、管理も簡単にできそうだ。「美しい日本」の自然エネルギーを、より美しく利用するなら、イスラーム世界起源の「サラセン風車」の方がいい。 5月27日記

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