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■このごろ都にはやるもの−49「原発に代わる不耕地発電所」 最首公司 (2007.9)
 9月7日、わが愛する東京新聞特報面が読者をミスリードするような変な記事を掲載したので、かつてこの紙面を作っていたOBとして補正しておきたい。


 大方の読者はこの記事を読んでいないと思うので、大筋を紹介しておこう。
 「電力会社のまやかし」「『原発安全』はウソ」というショッキングな見出しで始まる記事は、9月4日に関西電力大飯原発で行われた消防訓練を紹介しながら、その前日、放射能漏れがあったこと、その事実を会社が隠して消防訓練に臨んだことを非難し、過去のデータ改ざんや隠蔽体質を指弾する。そして、京都大学原子炉実験所助教小出裕章氏の次のような発言を紹介する。「原子力発電は最悪の選択だ」「今原発をやめても何も困らない。過去にも原発は止まったが停電になったことがない。(中略)現在フルに稼動していない火力発電所や水力発電所も多い。(後略)」と。
 小出氏の談話を含めて、この長い記事の中には@地球温暖化とA日本のエネルギー自給率の低さに対する問題意識がまったく見受けられない。エネルギー問題の裏側には環境問題と国際政治がある。環境問題抜きにしてエネルギーは語れないし、食糧とエネルギー自給率の低さは供給国のいいなりになるしかない。
 小出氏は「火力発電所」と「水力発電所」を引き合いに出して「原発不要論」を提示しているが、石炭火力も石油火力も、そして天然ガス(LNG)火力も温暖化ガスの代表格二酸化炭素(CO2)を排出する。とくに石炭火力は環境派からは悪者扱いにされている。
 それに石炭も石油も天然ガスも輸入燃料だ。日本のエネルギー政策の根幹は「エネルギー自給率の向上」にある。4%、原発を加えて20%という日本のエネルギー自給率は先進工業国では韓国と日本くらいである。その韓国も北朝鮮と統合すれば、大陸の電力網、石油・ガスパイプラインを結ばれて自給率の不安はなくなる。


 そこで、原発に代わり、環境にもよく自給率向上にもつながり、日本の現状に合ったエネルギーはなにか?
 まず連想するのは風力だろう。だが、世界的な風力発電ブームで当分機材が手当てできないし、値段も高くなるだろう。維持費も大変だし、雷に弱いという難点がある。
 もう一つは太陽光発電だ。日本は太陽電池生産では世界一である。この太陽電池をゴルフ場に張り詰めるのだ。といっても、これは私のアイデアではない。(財)若狭湾エネルギー研究センター新宮秀夫所長(京都大学名誉教授)の提案である。
 日本には2500ヵ所、25万ヘクタールのゴルフ場がある(2004年)。平均1ゴルフ場は100ヘクタール、100万uになる。日本の大地には1u当たり1KWの太陽エネルギーが注ぎ込まれている。発電効率13%の太陽電池をゴフフ場いっぱいに敷き詰めると、およそ2万〜3万KWの発電ができる。50のゴルフ場に敷き詰めると100万KW,原発1基分の発電量だ。
 2500ヵ所だと、原発50基ができることになる。仮になんらかの事情で日本の原発55基が止まったとしてもゴルフ場に太陽電池を敷き詰めれば、あわてることはない。
 もっと有望なのは耕作放棄地だ。農水省によると、耕作を放棄された農地は全耕作面積476万ヘクタールの8.3%、38万6000ヘクタールに達する。ここに太陽電池を敷き詰めると、原発77基分の発電ができることになる。原発全機がストップしてもゴルフ場と耕作放棄地に太陽電池を張っておけば、あわてることは無い。
 こうすると、原子力が曲がりなりにも担っている日本のエネルギー自給率16%が36%くらいになる。在来の4%と合わせると40%、食糧の自給率(カロリーベース)と並ぶことになる。
 さらに風力、小型水力(小出氏が想定する水力はダム式だろう。これは環境上好ましいものではない)、穀類を除くバイオマスなどで自給率は50%近くになるだろう。火力発電と違って温室効果ガスはほとんど出さないから、来年春から始まる京都議定書第1約束期間の減炭対策にもなる。問題はコストだ。逃げるわけではないが、この議論は別の機会に回そう。詳しくは12日発売の「財界」を読んでいただきたい。

最首公司 07年9月7日記

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