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■「緊急提言」 草刈 啓一 (2008.12.19)
  職業避難場所としての農村と農業
  将来の明るい日本の農業と農村にとっての好機
  国や地方政府は、これからの国造り政策の一環として、緊急対策と体勢の準備を!
この提言は、山本先生のご要請に基づき、急遽作成しました。その骨子については、山本先生及び三野さんにご検証の労をとって頂きました。


現状と想定


 信用収縮、海外需要の激減、円高により、日本経済は、極めて深刻な事態を迎えつつあります。輸出及びその関連産業、国内の建設、不動産とその関連産業そして、金融をも含めた多くの産業は、今までにない、深刻な打撃を受けつつあります。
 右肩上がりの(世界)経済が永遠に続かなかった(6月1日付、「サブプライム問題とその本質」を参照)ように、今起こっている経済の下落も、いつか、底を打つことになります。しかし、その後の回復も、米国や中国等の海外諸国の経済回復や公共投資による輸出の再興に多くを、期待せざるを得ません。(経済要因として重要な住宅着工に関しては、新規供給が長らくストップしたままの都心部を中心とした分譲マンションは、価格の低下と低金利と優遇税制で、賃借よりも購入が有利な状況となり、来年の6月ごろには、在庫がはける事態が来るかもしれません。
 しかし、これも、不動産市場全体には繋がらず、経済回復に大きく貢献するまでには至らない、と想定されます。)長年経過し、改善投資の必要な道路や公共施設を有する米国、社会資本を必要としている中国やインドのような新興国と比べ、お決まりの国内政策では、大して、打つ手のない日本であることも理解できます
 元来、1980年のはじめ以来、日本の国内は、上げ底経済ともいえます。その結果が最初のバブルの崩壊です。今回の事態も、所詮、信用バブルの崩壊です。中期的には、一定の回復があるとしても、都会及び地方を含め、深刻な不況による、産業、社会及び生活への波及と混乱の収拾は、それ程簡単ではないでしょう。また、世界的信用収縮の教訓と反省により、金融や信用のリスク抑制政策(米国の投資銀行が商業銀行と等しくなるように)がとられ、世界及び日本の経済のパイは、一回りも二回りも小さくなると想定されます。世界的に、多くの産業や企業(企業間と企業内)の再編や合理化、また、目的や戦略そして取引形態や財務構造の見直しがなされることでしょう。国や地方政府及びそれに関連した組織も、その見直し、再編、変革等がなされることもあるでしょう。

 この深刻な不況により、都会及び地方で働く多くの人々が職を失いつつあります。この国にとって、当面この人々の雇用及び生活問題に対して、如何に対処するかが緊急課題です



日本の打つべき手:有効な失業対策と国内政策


 有効な国内政策の一つは、農業と農村にあります。職を失った人たちの多くを、農業と農村で受け入れることです。失業者対策である、都会若しくは他産業からの就業者の移動が、新たな有効需要を生みだし、農業と農村の問題の解消、自給率の向上、農業経営やビジネスの改善、地域格差の是正や少子化対策にも役立ちます。また、環境、エネルギー、教育、安心と安全(防災)、健康等の分野での、日本のソフトを中心とした新しい社会資本の構築のベースにもなります。失業対策が、以下に列挙した如く、経済効果は勿論のこと、日本の農業と農村、中長期的には、社会の問題の解消や変革にもつながることは、素晴らしいことです。そのための具体的施策と体勢の構築の準備を、緊急に開始せねばなりません。この大不況が、日本の農業と農村、そして社会や経済の変革にとって、神様より与えられた、一大好機と捉えたいものです。


・農業と農村は、戦争や大災害時の避難場所のみでなく、大不況時の職(食)のLast Resortにもなります。
・これらの人々を受け入れることにより、高齢化問題や担い手問題を解消でき、農業と農村の明るい将来への展望が開けます。


・耕作放棄地や休耕地の活用並びに自給率の向上に、貴重な戦力として貢献します。
・都市から農村へ、また地方でも、工業から農業へと、人と仕事の移行は、有効需要の創出につながり相当の経済効果を生む可能性を秘めています。また、地域格差の是正、経済社会構造の改革と、現在の日本の社会・経済的ニーズの重要な部分の充足に繋がります。


・食料のみでなく、環境、バイオマス、安心、安全(防災も含む)、水、健康、教育等、新しい社会インフラとしての農業と農村の多面的機能の構築と実現の為の貴重な戦略となります。
・他産業の企業や工場での経験や技術を有する人達の就農は、農業とその関連分野での経営や業務改善、また、マーケティングやロジスティクス及び新規事業開発等、農業経営の革新に役立ちます。また、農業以外の分野の知識や経験は、上記多面的機能の遂行に役立ちます。


・高齢者も、新規就業者への農業指導等で生きがいを感じ、元気で、健康になります。
・農村に子供たちが増えることになります。 農村に活気がでます。水田や自然環境に接し、日本の将来を担う子供達の情操教育になります。また、若い就農者の農村での生活は、子供を生むにもより適した環境です。少子化対策にも、貢献します。


・人の移動ばかりでなく、それによる将来の農業(ビジネス)の活性化や生産性の向上には、更なる経済的効果があります。社会インフラとしての多面的機能を有した農業及び農村の構築は、日本にとっては、新たなソフトを主体とした社会資本の構築です。機械設備や建物、施設等へのト投資も必要ですが、ソフトが主体となります。従来の、コンクリート投資と比べれば、少ない資本コストで、より効果的な経済効果を生み出せる筈です。これを、失業対策等と絡めれば、極めて効率的、生産的、そして有効な施策となり得ます。
・解雇せねばならない企業経営者も、受け入れ側の農業や農村も、歓迎できる施策です。2兆円のおこぼれを期待していた人達も、この政策の一部として使われるならば、文句を言わないでしょう。


以上
   
和(環)の経済研究会
KJKネット会員
草刈啓一 記 



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