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「東京小島塾第22回例会」(2015.5.11)

第23回東京例会のご報告

「英連邦戦死者墓地から平和を考える」 POW研究会 田村佳子氏談話(抄)
 研究会として組織される以前、個人が各地区の捕虜収容所を調査していた。それぞれの調査したことを公表し、結集してより大きい力にしようと2002年3月に発足した。全国また海外約60人の会員が協力して活動に取り組んでいる。
  会員は皆、誰からも支援を受けていない。宗教的にも政治的にも偏らないグループと言う趣旨で始まった。各会員の始めたきっかけはさまざま。私とここに居ります笹本とは、たまたま保土ヶ谷にある英連邦戦死者墓地(保土ヶ谷区狩場町)の近くに住んでいた。互いに全く知らない仲だった。 「何も説明のないこの墓地は何だろう」 から始まった。 「なぜ、外国人がそれも20代が異国で亡くなったのか」 が疑問だった。
 何度か訪問するうち、墓地に来られた元捕虜の方や戦争未亡人の方から話を聞く機会があった。これまで私は、戦争について日本人の被害者の歴史しか教わってこなかったことに気がつく。旧日本軍は泰緬鉄道の建設で捕虜を強制労働させていた。その建設終了後、立ってどうにか歩けるなら健康体と見なされ日本に連れて来られた捕虜がたくさんいた。日本各地の捕虜収容所へ収容、そして鉱山、炭坑、造船所、工場、港湾等で使役させられたことを知らされた。
  戦後、各地の捕虜収容所で亡くなった英連邦軍捕虜の遺骨が横浜に集められ、この英連邦戦死者墓地に埋葬された。1873名の英霊が眠る。

 横浜の外国人墓地は、中区山手の外国人墓地、中区仲尾台の根岸外国人墓地、華人や華僑の南京墓地と今日紹介する英連邦戦死者墓地の4ヶ所が有る。

 英連邦戦死者墓地は、英国区、オーストラリア区、カナダ・ニュージーランド区、インド・パキスタン区、戦後区の各エリアに分かれている。各区の墓石の銅板には、本人名、所属部隊、死亡年月日と家族からの碑文も書かれている。
 英国区の側に納骨堂がある。そこには門司港に連れて来られて、船倉の環境の悪さから輸送中に病気で亡くなられた方があまりにも多く、まとめて火葬、納骨されている。堂内の壁面に亡くなられた方の名前が国別に記名されている。
 この墓地の敷地は、1955年に「日本国における英連邦戦死者墓地に関する協定」に基づき設置。日本国政府より墓地委員会に対して無償かつ無期限での利用が許可されている。英国に本部がある英連邦墓地委員会が管理している。

 英連邦戦死者墓地での主な式典として次の行事が挙げられる。
●4月25日 アンザックデイ、オーストラリア及びニュージーランド軍の戦争に参加した全ての兵の為の記念日。第一次世界大戦のガリポリの戦いに由来する。
●8月第一土曜日 戦後50年の節目に永瀬隆氏(元日本軍通訳)、雨宮剛氏らが呼びかけて始まる。戦争責任を見つめ直しその謝罪をする追悼礼拝。
●11月11日に一番近い日曜日 リメンバランスデイ(ポピーデイ)

 英連邦戦死者墓地へ要人の訪問として、今年2月英国王室ウイリアム王子が訪問した。
 外務省招聘プランのイギリスは終了したので、POW研究会の活動の一環としては、現在招聘の続くアメリカ人元捕虜との交流会やオーストラリア元捕虜との交流会などがある。
 今年10月以降、アメリカ、オーストラリア、カナダから元捕虜やそのご家族が来日され、交流会を予定している。お時間のある方は交流会に参加してほしい。

 日本の捕虜収容所は130ヶ所あった。現在殆どが更地か工場用地等になっている。歴史を紹介する碑もなく、近在に住む方も知らない場合が多い。
 環境直江津捕虜収容所は、戦犯で8名が処刑された。上越日豪会の元会長石塚正一さんは、運動を起こしその跡地に1995年平和公園を作った。 オーストラリア300名の捕虜のうち60名が死亡している。戦犯で処刑された碑と亡くなった捕虜の碑、二つの慰霊碑がある。元捕虜のヒルさんは、去年の秋に訪問、初めてB級C級戦犯で処刑された方の碑に献花した。

 長崎市香焼島にあった福岡捕虜収容所第2分所の捕虜は終戦時497名いた。オランダ人が一番多く324名、イギリス人が160名、アメリカ人が5名、その他の国籍が8名 そのうち亡くなった方が73名いた。彼らは近くの川南造船(現在の三菱重工)にて使役させられた。
  長崎には他に第14分所もあり、爆心地に近く捕虜113名が亡くなった。(原爆で亡くなった方は8名)終戦時は195名の捕虜が残っていた。
  POW研究会では長年調査してこれらの資料を提供した。長崎の香焼捕虜収容所跡地で記念碑建立の除幕式が9月13日に行なわれる。9月13日は、当地の捕虜が解放された日です。
 なお、この追悼碑建立費用に募金活動中です。ご協力をいただければ幸いです。
 募金口座 : ゆうちょ銀行 02福岡 口座番号01730-8-127433  追悼碑建立委員会 代表 朝長万左男

POW研究会の出席者(敬称略)
・事務局長笹本妙子
  研究会創立以前より田村氏と二人三脚で活動して来られた。
・西里扶甬子(元札幌HBC、外国特派員協会のメンバー)
 戦争でなにがあったかを若い世代にもっと広く知らしめたい。――B級C級戦犯で裁かれた方は、捕虜の処遇問題からが多い。サンダカン死の行進と言われるサンダカン捕虜収容所と「死の行進」で2400人の捕虜が日本軍により殺された。生存は脱走に成功した6名のみ。(POW研究会会報より)

□参加者(敬称略):笹本妙子、西里扶甬子 最首公司、磯浦康二、大石則幸、佐藤昇
□開催日時 : 2015年8月24日(月) 15:00〜17:00
□開催場所 : 日本プレスセンタービル 9F大会議室(東京都千代田区内幸町)

■第23回例会スライド「英連邦戦死者墓地から 平和を考える 田村佳子」

 
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