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2009年 小島志塾さつぽろ第1回例会(2009年2月21日開催)
講演 「食べものはいのち(生命)」「手と、技術と、心をつくし」
講師 黄倉良二氏 前きたそらち農業協同組合代表理事組合長・北竜町在住

 2009年第1回例会は「食べものはいのち(生命)」「手と、技術と、心をつくし」と題して、小島志塾さっぽろ会員黄倉良二氏による講演と会員による論議を行いました。



人々が最も大切なもの[それはいのち(生命)]
農畜産物は単なる商品、モノであってはいけない。生命を育む糧であるべきで、そのためには、山と木と緑を守り、それに支えられた豊かな水と、世代を超えて切り拓いた力のある豊かな土が不可欠である。それに加えて、天の恵みに感謝をしながら、生命の糧を作り続ける百姓の魂と、それを受け継ぐ若き農業者が必要であるが、これらは一朝一夕に成し遂げることは極めて困難である。


いのち(生命)を守り育んできた、日本の米・北海道の米づくり
 北竜町で最初に鍬をおろしたのは明治26年春、千葉県から移住の38戸の人々でした。開拓の苦闘から7年目の秋北竜町で水稲試作の成功を見ております。
国の米増産の政策のもと、人手と馬による増田、幾多の冷害、凶作、そして度重なる水害を克服して米を中心とした農業を進めてきました。
 昭和36年、農業基本法が制定された年北竜町の人口は3600人を超え、北竜町になりましたが、皮肉にも、日本高度成長経済が始まり農村から若い労働者が都会へと流出し、北竜町も例外ではなかったのです。町制施行を契機に北竜町の自然条件から[米]を基幹作物とし、農業労働の激減で農業構造改善事業に取り組み10年の歳月で完成しました。
事業の中で特筆すべきことは、暑寒別連峰を水源にした恵岱別ダムの建設で、これにより、工場、生活、ゴルフ場などの排水のない清らかなミネラル水が農業用水として確保できました。
全国に先駆け手全町を網羅した営農集団を形成され、農業機材などを共同使用により今でも効率的農業が行なわれています。
昭和44年政府の古米在庫720トンに達し、米価の据え置きになりました。
昭和48年、石油パニックで混乱する社会情勢の中、当時の後藤三男八農協組合長が勇退するに当たり
[不農無糧・不桑無衣] (農業がなければ食糧はなく、桑がなければ衣服はない)を色紙にしたため全組合員、職員におくったのでした。後藤亨氏と私の二人で、除草剤と化学肥料を一切使用しない農業防除も行なわない自然農法米栽培の挑戦がこの年からはじまりました。


北竜町の挑戦[農業保全型環境への町づくり]
 [命・食糧・環境・暮し]を守り育む



 安全な食糧生産の努力を積み重ねる一方消費者との交流を模索しました。
昭和63年6月20日それまで、毎年行なわれていた[米価要求大会]を[国民の命と健康を守る安全な食糧を生産する北竜町農民集会]として開催し、佐藤稔農協青年部長の提案により、[安全な食糧生産による決議]が満場一致で決議され、町独自の実践と流通ル−トの確立を目標とすることが宣言されたのです。  平成2年10月には北竜町農業委員会憲章が制定され、この中でも[農業委員会は土と自然と緑を育み、そして豊かな水を確保し、我が郷土に夢と希望のもてる生産性の高い、人間の安全な食糧を生産する農業の育成に努める]という一項が明記されました。
 今から36年前、米国のレイチェル・カ−ソン女史著[沈黙の春]によって、合成殺虫剤が招く危険性をめぐって、世界中に警告を発しました。残留性化学物質が自然界を汚染し、それが人体に蓄積します。
自然界の汚染は急増の一途です。
 世界中の野生動物の生殖異変を引き起こしている環境ホルモンの人間への影響が懸念されています。
政治、経済が混迷している日本社会、食糧の大半を外国に依存し、国内農業は衰退の一途です。国産の農作物は収穫後に殺菌剤、保存剤、殺虫剤などの農薬散布することは禁止されています。しかし、輸入農産物には禁止されておりません。
 今、子供達の成人病、難病、奇病が増えています。生まれてくる子供に先天性異常も増えています。子ども達は身体も心も病んでいます。


 豊かな先進国といわれる日本の実際の姿は飢えも、健康も、安全も何一つ充足されたものではないのです。良い社会とはどんな社会を言うのでしょうか。米国のガルプレイス教授の[全ての人が飢えることなく、健康で、しかも安全にくらせる社会]であり、竹熊宣孝先生の[いのち一番、金は二の次の社会]にのです。物質文明が向上し、成熟した社会、今日までの日本をそう表現される人が大勢いますが、有資源の中、掘り尽くす、使い尽くす、獲り尽くしての豊かさには限界があるのです。
 21世紀に向かって、平成9年12月、京都市で開催された[地球温暖化防止世界会議]には150ケ国余が参加しました。爆発的人口のなか、世界の飢餓人口は増加の一途をたどっています。
温暖化による気象変動を防ぎ、明日の地球へ第一歩を合言葉に温室効果ガスを、先進国全体で5%、日本は6%、1990年レベルより、2008〜2012まで達成するには、産業の見直し、暮しの見直しと技術開発が急がれます。しかし、根本は食糧、農業、森林を含めた農村社会と海資源、漁業、漁村社会が健全であることが不可欠となります。
 北竜町が歴史と世代を超えて、山と木と緑を守り育みむ、それに支えられた力のある豊かな水を大切にし、親から子、子から孫へと誇り得る土を伝承し、天に感謝しつつ、[食べものはいのち(生命)]の思いを込めた百姓魂で手と技術と心を尽くす実践農業こそ、環境を保全するための農業でなく、命を大切にする[農業保全型環境]でありこれからも挑戦し続けます。


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