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2009年小島志塾さつぽろ第3回例会(2009年8月8-9日開催)
札幌小島志塾2009年例会報告
2009年第1回例会(2月21日)は「北海道の米づくりの現状と課題―農業・食料政策の視点から」とのテーマで黄倉良二会員のお話しを伺い、中川喬雄会員からの提言があり、その後の懇親会まで大変盛り上がった例会になりました。(記録は小島志塾さっぽろ掲載)
第2回例会(4月25日)は「水は不思議ではない」のテーマで山形健次郎会員から長年の研究の成果を愉しく話して頂きました。(記録は小島志塾さっぽろ掲載)
第3回例会は、6月の予定が、アクシデント(注)で延び延びになり、8月になりました。第3回例会の報告です。



小島志塾さっぽろ第3回夏期例会  8月8日(土)・8月9日(日)快晴 
山形健次郎会員と加藤紘一会員のご協力でサンケン農園の“梁山泊”で1泊2日の例会です。
初日は、加藤会員・山形会員の司会で14時開会 意見交流会(15時〜18時)。
例会のテーマは「日本が変わる、世界が変わる−歴史的な転換期を語る−」でした。


加藤会員の司会で始まり、
山形会員から、「序文に代えて」「百姓嚢」という資料配布、日本社会が大きな転換期にあるという問題を簡潔に整理する話があった。それは、1)日本の政治の現実とその問題点 2)教育の問題 3)外交問題 日本を破滅の渕に追い込んだ戦争、国連の敵国条項、安保理事会・常任理事国 などなど。百姓嚢は西川如見(1648〜1724)百姓農人心得を説いた文


山本会員から、「日本が変わる、世界が変わる−歴史的な転換期を語る−」の例会テーマに関して、その趣旨の解説があった。
昨年11月、オバマ大統領が「Change」を標榜して多くの国民の支持と共感を集めて圧勝した。アメリカ史上初めての黒人大統領の出現である。これは皮膚の色が違うという問題ではない。
奴隷貿易が禁止されて僅か二百年、つい二、三十年前まで酷い人種差別が当たり前のように横行していた米国で、画期的な国民の意識の変化なしには黒人大統領の誕生はありえなかったろう。
この変化の意味するものを掘り下げて見詰めてみる必要がある。何故どうしてとその理由と背景を考えて見ることが大事だ。それは、20世紀世界、アメリカの経済社会の変貌がもたらした国民生活の変化にあると思う。その中から、これまでのアメリカの政治経済のあり方を変えることを願う人々の意識の変化がこうした地殻変動を引き起こしつつあったと思う。
オバマの訴えは、Yes,We can!である。ブッシュとの「本質的な違い」に気をつけて見て置こう。
これとは、大分様相が違うが、日本も、今「政権交代」を掲げた民主党と「政権死守」を謀る「自民党」との選挙戦酣であるが、世論調査によれば体勢の流れは、政権交代に傾きかけているという。
多少の変化はあっても戦後60余年もの間、自民党の長期政権が継続してきた。それが、もうボロボロになって崩壊寸前の様相を示している。
これはどういうことか。もう少し長い歴史の流れの中でしっかり考えて見る必要がある。世界史的には西欧列強が世界を侵略し、支配を思うままにして、20世紀世界は戦争に明け暮れてきた。特に冷戦という20世紀後半は、片や米国を頂点にする自由主義圏と片やソ連を中心とする共産主義圏に二分して、世界は絶え間ない戦争を繰り返してきた。最終的には疲弊して89年に米ソが和解をしたが、91年にはソ連が崩壊した。それが、戦争の終わりにならず、宗教対立、地域紛争、テロの繰り返しが続き、21世紀には9,11事件に発展した。それが、アフガン戦争となり、次いでイラン戦争となり、いまだに泥沼の中での戦争が継続している。
歴史を遡れば、西欧諸国は「近代化」を標榜し、飽くことのない利潤追求を求めて世界各国へ侵攻した。その武器は「科学技術の目覚しい発展」だった。これが、19世紀から20世紀の世界を大きく変貌させ、世界各国人民の意識を変化させていった。
日本の近代も同様でペリーの砲艦外交によってこじ開けられた鎖国。開国した日本は、明治維新により、「富国強兵、殖産興業」そして「脱亜入欧」を掲げた近代化を推進した。日清戦争、日露戦争、第1次世界大戦と戦争を重ねて、西欧列強の一角の上りつめて周辺地域に侵攻した。さらに、愚かにも世界で悪評高いヒットラー独逸とムッソリーニ伊太利と結んで第2次世界大戦に参加。米英を相手に開戦し、結果は惨憺たる敗北、無条件降伏で日本近代史の終わりを迎えた。
この近代史に続いて、占領下にGHQの民主化政策で日本の現代史が始まった。以来60余年を経過した現在である。その経過と結果として現在の日本があり、変化を考えて見る必要がある。
この文脈の中で、現実の「日本が変わる」「世界が変わる」を捉えて見ると、「変化」の本質が見える、「変化」の本質を語ることが出来ると考えます。


山田会員は北海道を基盤とした経済活動の様々な経験から現在の深刻な不況とこれからの問題について、加藤会員は、長谷川慶太郎著「経済戦勝国日本の底力」から「ポスト世界大恐慌の特需が来る!」というくだりを取り出して加藤さんの見解を披露した。


木呂子会員は、亡き木呂子敏彦(札幌小島志塾顧問)の書き残された「鳥の眼みみずの目」の出版した後、残された文献があり、是非これから社会へ出す機会をつくりたいと抱負を述べた。
山本(克)会員から小島先生と北海道を連携づけた木呂子先生とその著書「鳥のと眼みみずの目」について解説があり、この「鳥のと眼みみずの目」は500部程度と出版部数を限定し市販に出ていない。「ヒューマノミックス」に関する優れた文献(デジタル化している)としてkjkネット会員が読めるよう事を考えてほしいと要望があった。


永田会員はこれまで携わってこられた試験研究機関での経験から、研究機関の課題を明確にして、新しいビジョンを策定して、戦略的な課題の設定と所要資金を確保した。同時に関係機関と連携を強化して所内の対応整えた。こうして新たな取り組みは目に見える成果を上げて独立法人化への対応を進めることが出来た。との経験を披露。改革を進めるには「ビジョン」が大切」という認識をしめした。現在「政権」をめぐる議論が毎日叫ばれているが、問題はこれからの日本の行く道についての『ビジョン』が語られていない。転換の時期に大事なことは枝葉の政策ではなく、本質的なビジョンが語られるべきだ。との見解を述べた。


山本(順)会員から、日本の小中学校の日常生活調査では“常にいらいらする”そいうものの割合が6割に達するとの調査結果に改めて驚きを隠せません。何故かいろいろ考えられるでしょうが、子どもが家庭でどう過しているか考えてみもしょう。として、“家庭に帰るとホッとするという割合がOECDの調査で日本は最低で40%を切るという状態です。当然家庭の教育力が相当落ちていると思われます。改めて現代社会の中で家庭の位置づけを考えてみなければならないと思います。かって、大平総理の時代だったでしょうか『家庭基盤の確立』という命題が掲げられた事を思い出します。『子ども手当て』も必要ですが、それは、お金だけで解決する問題ではないと思います。


また、幼児教育の現場で十数年来ユニークな活躍を展開してこられた荒岡会員は常々幼児教育の現実、問題点、実際に携わり、研究した豊富な体験と明確な理論研究に裏付けられた薀蓄を披露されて来たが、この席では、『変化』が時代の要請とされ、「政権交代」が論議の的になっているが、何がどう変化するのか、「パラダイム」を明確にする事が重要だと指摘されて共感を広げた。
 桑原会員から4月末に体験した自動車事故、それと救急医療の問題、医療保険、医療機関の問題など、生々しい実体験に基づく話しがありました。医療崩壊が報道されている昨今、荒廃する医療現場の話に参加者一同他人事ならず、「どう健やかに生きるか」、改めて考えさせられました。


(注)桑原会員が4月29日帰宅途中に自動車事故で重傷を負い救急車で搬送されたとの電話を受け、吃驚仰天して病院に駆けつけました。頭骸骨骨折がないようだという検査結果を伺って面会もならず帰りました。3日後にお見舞いに伺うと全身打撲で特に顔面は痛々しく、ご自身はしっかりしておられましたが、この先どうなるのかと大変心配でした。
しかし、回復は比較的順調で日一日と治る過程が見えるようになって行きました。一月余で退院し、ご自宅で療養されて、三月ほど経過すると、ほぼ普通に近い生活に戻られました。しかし、受けたダメージはかなり大きかったようで、今暫くは、体調に気をつけて後遺症が残らないように全快されるよう期待します。


病気というように人間の考え方、生き方によって病気の治り方が違いますが、怪我を治すのも同じように人本来のもつ治癒力です。この場合も「気」が非常に大事だと改めて考えさせられました。
様々な意見が飛び交い、議論が白熱する中で時間が過ぎていきました。現在直面している歴史的な転換期“Change”の意味するもの、これを「どう考えるか」についてじっくり会員のご意見を交換し、「激動の現在と明日を語り合う意見交流会」となりました。


その後、懇親会(18時〜)は静かな森に囲まれた山の中の野外パーティーです。ご馳走は山形会員が腕を揮って余市の新鮮な海産物と野菜をメインにしたバーベキュウ。サンケン農園製造のワイン、ジュース、等などを中心に、美味しいお酒や焼酎もありました。やがて、野外での懇親会から、梁山泊に戻り、再び議論が盛り上って、夜半過ぎまでも喧々諤々と続きました。
2日目の9日(日)は、初日の親睦交流会と遅い時間までエネルギッシュに話し込んでおりました会員ですが、疲れも見せず朝早くからサンケン農園のまわりの里山等散策を楽しんでいました。
朝食前に蕎麦打ちがあって、そば粉100パ−セントでの蕎麦打ちを山形会員から指導を受け、何とか打つことができ、早速茹でたてをご馳走になり喉ごしも良く、食味は大変好評でした。
お蕎麦とご飯、様々な新鮮な野菜、きのこ、お米は、サンケン農園“丹精こめた「けんじろうの無農薬米」”、炊きたてをお櫃に移してのおもてなしで、食味・香り・ほど良い粘り、大変美味しいご飯でした。
食後は、サンケン農園の視察・見学しました。最初は2町7反から始まり7町5反の現在まで20年にわたるサンケン農園の歴史と現状説明がありました。


お米は、「丹精こめたケンジロウ米」というだけあって、水の管理、無農薬栽培、天然乾燥等の話を聞きながら、水田の稲穂を見ながら農業用水、管理について説明を受けた後、堆肥、炭焼き施設なども見せてもらいました。サンケン農園では廃棄物は全部農園で処理ができ、循環する農業実践を見て環境と経営を考えた農業経営を工夫し継続しているサンケン農園に感心させられました。
さらに、ブドウ畑や果樹園の現場を見て回る。丘陵にはブドウ・リンゴ・サクランボ・ナシ畑と続き素晴らしい景観です。ワイン用のブドウ畑は生食用のブドウ棚の作付けとは違い、畑の土壌・気温、風の流れを考えた作付けで風味、味・香りと品質の良いワイン作りに努力していることが理解できました。ワイン用のブドウの栽培は専門的で少々の説明では難しいものがあります。ワインが製品になったとき、微妙な渋味・甘味・酸味とバランスのとれた個性が一本になるだけに簡単には決められないと感じました。
ここの農業は創意と工夫を凝らした水の話や炭も作り、塩も作るというサンケン農園ならではの農業者魂には感動し、無農薬のジャガイモ・トマト・ズッキ−ニを収穫体験して、自慢の農産物のお土産に満足の笑顔で夏期例会を終了しました。



■例会模様




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