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ランニング研究:その7

今後に期待できる、高岡寿成選手05東京国際男子マラソンのペース

2005.02.13に行われた東京国際男子マラソンでは、高岡寿成選手が好記録を出しました。しかし、当初期待された日本記録の更新は成されず、その点では残念でしたが、今後に期待できるレースだったと思います。

私は、今回も上位ランナーのマラソンペースをチェックしてみました。今後に期待できるという意味は、その高岡選手のペースを見て感じました。

高岡選手は今回自己の持つ日本記録の更新も狙ったようで、今回のペースメーカーには5km14501500のペースを要求したようです。しかしいくら30kmまでとは言え、ペースメーカーがトップランナーでも、それを維持するのは難しいのではないでしょうか。結局15km過ぎからは15分台の半ばまでペースは落ちて、逆にそれが後半の粘りにつながったという論評もあったように思います。

では、今回の高岡選手のペースを世界記録、日本記録と比較してみましょう。それぞれコースは違いますが、私はフルマラソンはイーブンペースで行くのが好結果につながると思っていますので、その観点から見てみたいと思います。

 

* 2005東京国際男子マラソン 高岡寿成選手のペース(4042.195km区間は5kmラップに換算)

距離

5km

10km

15km

20km

25km

30km

35km

40km

42.195km

ラップタイム

14:36

14:56

15:22

15:26

15:21

15:01

15:01

15:18

15:11

世界記録

15:00

14:56

14:49

14:59

15:08

14:32

14:35

14:37

14:23

日本記録

14:54

14:45

14:41

14:52

14:49

14:53

14:49

15:31

16:16

 

上の表をグラフに表すと、左図のようになります。ラップはkm当たりの時間で示しました。これを見ると世界記録は、女子の世界記録ラドクリフの例(ランニング研究:その5参照)と同様に、後半ペースが上がっていることが分かります。世界記録レベルは、前半から中盤まではイーブンで行き、後半さらにペースを上げる場合が多いようです。

高岡選手が2002年にシカゴで出した日本記録は、35kmまではイーブンだったのですが、その後失速してしまいました。残念でしたが、前半のペースが少し速かったのかもしれません。(コースは詳しく知りません。)

今回の05東京国際男子マラソンでは、左図紺色のグラフが示すように、スタートは速く入りましたが、徐々にペースがダウンし、25kmからは、高岡選手が痺れを切らして独走してペースアップしたレースとなりました。前半のペースが中途半端になったことから後半余力を残した結果となりましたが、全体の記録は日本記録には届きませんでした。後半の上り坂もあまりペースダウンとなりませんでした。

私は、今回のレースが2時間7分台の素晴らしいタイムではあるものの、前半のペースをバランスよく維持すれば、更によい記録を出せるような気がしました。

全体を3/kmペースを維持すれば、計算上はゴールタイムは2時間635秒となります。02シカゴの例ほど速くならず、今回のペースほど遅くならない、微妙な間のペース、それは3/kmペースくらいではないかと思いますが、このペースを維持すれば、次回には結構期待できるのではないでしょうか。これは、世界記録の前半ペースに近いペースです。3/kmペースなら、スピードランナーである高岡選手にはそんなに負担とはならず、後半にも余力は残されるないのではないでしょうか。

 

左上の図は5kmごとのラップですが、これを1kmごとのラップで見てみると、左下図のようになります。これを見ると、1km20秒ほどの上下があります。同じ5kmの中でも結構ペースの上下があるものですね。

記録を狙うばかりでなく勝負もしているので、トップアスリートでも、イーブンペースの維持はなかなか難しいのかもしれませんね。

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