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ランニング研究:その8

2005東京国際女子マラソンに見る高橋尚子選手の走り

2005.11.20に開催された2005東京国際女子マラソンは、高橋尚子選手が右足に不安があるということでしたが、36km過ぎから果敢にスパートし、見事に優勝し復活しましたね。素晴らしい結果でした。限界説を吹き飛ばしましたね。このレースは前半飛ばすいつもの高橋選手の走り方ではない形の、序盤はスローペースで進み、後半36km地点から力を温存していたと思われる高橋選手が、バルシュナイテ、アレムの両選手を引き離して、勝負に勝ちました。ところで、バルシュナイテ選手はさすがだけモデルあっておしゃれでしたね。レース運びとしては、高橋選手は非常に見事だと思いますが、ペースメーカーの前半のペース設定が良かったこともあるでしょう。素朴な疑問ですが、このペースメーカーのペース設定は誰が決めるのでしょうか。テレビでは「高橋尚子のロングスパートはない。」と解説していましたが、現実はなかなか予測できないものです。私は、高橋選手が36kmからスパートをかけた時に、2年前のこの坂で失速した呪縛を振り切るために、あえてこの上り坂からスパートをかけた高橋選手の信念を感じました。恐らく、レース前からこのスパート地点を、心に決めていたのではないでしょうか。

私は、2年前の記念大会に市民男子ランナーとして出場した際に、品川の新八つ山橋過ぎで折り返したトップの高橋選手と丁度擦れ違いました。その時私はわざわざ中央分離帯まで駆け寄り、「高橋がんばれ」と声をかけたことを思い出しました。高橋選手はそれから徐々にペースダウンをし、四谷手前の坂で抜かれたのです。私が声をかけたためにその後ペースを落とした訳ではないと思いますが、そういう訳で、この度の高橋選手の復活は本当に嬉しく思いました。

さて、ペース維持派の私としましては、例によって、またトップランナーのペースを記録してグラフにして分析をしてみました。お暇ならご覧ください。

さて、このレースは前半スローペースで推移したため、全体のペースは左のグラフのように実に安定しています。特にペースメーカーのいた5kmから25kmまでは本当に安定したペースです。ペースメーカーがリタイアしたのは、一人が21km手前で、もう一人が25kmです。ペースメーカーがいなくなった25kmから急にペースダウンしているはそのせいでしょうか。ペースメーカーの役割って大きいんですね。

高橋選手がベルリンなどで、日本最高記録を達成した時のレースは、前半飛ばしてがまんして、後半は少しペースダウンするパターン(ランニング研究その5参照)ですが、今回はペースメーカーがいなくなってからの、若干のペースダウンがあったものの、全体的には安定していました。

ペースメーカーがいなくなってからの、一時的なペースダウンから、36kmの坂道でまたペースを元に戻し、それが結果的に高橋選手の独走となったようです。

東京国際マラソンのコースは、後半坂があるため、ペースダウンとなるのが普通です。

 

昨年2004年の、同レースの上位選手のラップタイムと比較してみても、それがよくわかります。左のグラフは昨年の記録ですが、昨年と比べると今年の高橋のペースは安定していることが分かりますね。

ところで、昨年はジェノベーゼと嶋原がほとんど同じペース。島原が35kmでちょっとペースを落としたのが差に出ました。嶋原が最後にペースを上げた結果にはなっていますが。またアレムと千葉がほとんど同じペース変動でした。

 

今年のレースを14km地点から1kmごとに計測してみたのですが、面白いことが見受けられました。左一番下の図をご覧ください。トップ集団のラップです。なお、結構ペースの上下があるようですが、0.6分、36秒の範囲内の変動です。グラフを見ますと、ちょうど20km30km地点でペースが上がっています。トップアスリートでもラップを計測する箇所では自然とペースが上がるのでしょうか。一方、40km地点は、高橋選手が独走で坂を上がってきたところなので、ペースが下がっているのは納得がいきます。

でも、たまたま今回の現象なのかもしれませんので、こんな結論は強引かもしれないですね。

 

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