ランニング用語集

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NEW WORDS2008.05.19

乳酸、グリコーゲン

※参考文献  My Library(ランニング図書館)

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アイソトニック

(英)Isotonic】 「等浸透圧の」と言う意味で使われる。それで、アイソトニックドリンクとは身体の体液と同じ濃度、同じ浸透圧を持った飲み物のことを言う。アイソトニックドリンクには糖質が通常8%程度含まれているが、等浸透圧なので糖質などの吸収は良く、運動前の糖質チャージ用としては向いている。一方、運動中や運動後にはアイソトニックドリンクは摂らない方が良い。なぜなら、アイソトニック飲料は等浸透圧のため水分が細胞壁間を移動しにくく、運動中や運動後は浸透圧の低いハイポトニックドリンクを摂る方が望ましい。

アイソトニックドリンクを水で薄めて糖質など含有物を2.5%以下にすると、ハイポトニックドリンクになる。

 

アデノシン三リン酸

(英)Adenosine Triphosphate】 アデノシン三リン酸はATPの略称でも呼ばれる。これは、エネルギーを発生する源で、食物として摂取した炭水化物、脂肪・たんぱく質などが酸化されて作られる。このアデノシン三リン酸が、加水分解によりリン酸を放出してアデノシン二リン酸Adenosine Diphoshate・略称ADP)に化学変化をする際にエネルギーを発生する。

この時、ATPの発生するエネルギーは8cal/mol前後と言われている。これが生体すべてのエネルギーの源であり、運動時の筋肉の収縮のみならず、生命維持全般に大きく関わっている。一方、分解されたADPは細胞内でクレアチンリン酸によってリン酸を受け取りATPに再合成され、再度エネルギーとして蓄えられる。

また、ATPやクレアチンリン酸は元々筋肉内に存在するが、これらだけを使用する場合、運動は30秒から1分程度しか継続できない。それで、これらを使った代謝以降の運動継続は乳酸系代謝や有酸素系代謝によるエネルギーが必要となる。

 

アデノシン二リン酸

(英)Adenosine Diphosphate】 略称でADPと呼ばれる。細胞内でアデノシン三リン酸(ATP)が、加水分解によってリン酸を放出する時にエネルギーを出し、その結果このアデノシン二リン酸が出来る。また、クレアチンリン酸によって、ADPはATPに再合成され、再度エネルギーを蓄える。

 

アネロビクス

(英)Anaerobics】 無酸素運動のこと。

 

イーブンタイム

(英)Even Time】 ラップタイムが区間ごとに変動せず、一定の速さを維持している状態。フルマラソンなどではラップタイムが大きく変動するよりは、一定の速度で走った方が好成績を上げられると言われており、私はこれを信奉している。しかし実際は、他のランナーに惑わされたり、人間とはそもそも同じ状態を続けることが苦手であると思われるので実行はなかなか難しいが、その意識を持つことが大切だと考えている。

 

インターバルトレーニング

(英)Interval Training】 チェコスロバキアのエミール・ザトペック(ヘルシンキ五輪で長距離三冠)が用いたものが普及したもので、スピードの養成には短期間で効果が出ると言われる。一定の区間(距離や時間)を決めて、高強度の運動(速く走ること)と、低強度の運動(ゆっくり走る、ジョギング)ことをセットにして繰り返すトレーニング法。つまり無酸素運動有酸素運動の交互の繰り返しとなる。例えば400mを速く走り、次の400mをジョギングすることを繰り返すことなど。これを2分速く走り、2分ジョギングすることを繰り返すことでも構わない。高強度と低強度の長さには決められたものはない。目標とするレースに合わせてショートインターバル、ミドルインターバル、ロングインターバルと距離設定が変わる。注意点としては、何度繰り返しても高強度(速さ)の度合いが一定であることが望ましく、徐々に速度が落ちるような場合は効果がない。フルマラソンを目指す場合は、高強度の部分は全力疾走というよりは、レースペースより若干速め(セット数にもよるが)程度となる。速いペースで走るので、場所は道路など車の走る場所は避けた方が良い。また、負荷が大きく体にかなり負担を掛けるので、ウォーミングアップやクールダウンは入念に行い、トレーニング頻度も1/週程度が良い。また基礎体力作りの期間には取り入れず、充分体が出来てから行うのが良いだろう。無理をすると故障の原因となる。ちなみに、間に完全な休憩を取るトレーニングを「レペティッショントレーニング」と言う。

 

ウインドスプリント

(英)Wind Sprint】 日本語では「流し」のこと。正に名のごとく風に乗るようにリラックスして、全力の7割程度のスピードで走り抜けること。距離はおおよそ100m程度。ウォーミングアップやトレーニングの最後に入れることが多い。手の振りや脚の動きなどフォームを大きくして速い動きで行う。当然ジョギングや長距離走よりは手脚の動きは速くなる。ウォーミングアップでは、心肺に刺激を与えレース前の血液循環を促進させることに役立つ(つまりスタートからすぐに早いスピードに乗れる)だろうし、トレーニングとしては、腰高でフォーム全体を大きくすることや手脚の速い動きやリズム慣れること、また身体全体のバランス維持にも役立つと思われるが、私はこれそのものがマラソンなど長距離のスピード養成に役立つのかは分からない。筋力アップはゼロではないだろうが、むしろ運動神経のレベルアップのためのトレーニングのような気もする。私はハーフ以下のレースではウォーミングアップ時に100mほどを45本程度行うようにしている。しかし、レース前にあまりやり過ぎると、疲れが残ったり無駄なエネルギーを消耗してしまうので、要注意。

 

ウォーターローディング

(英)Water Loading】 現代では、運動中に水を飲んではいけないなどと思っている人はいないと思うが、以前は、特に精神論から、運動中には水を飲まないことが定説の時代もあった。

ウォーターローディングとは、運動中、さらに運動の前からこまめに水分を補給することを言い、喉の渇きを感じる前から計画的に水分を補給していくことが必要とされている。

我々の身体は、安静時でも身体の機能を維持するためには、一定量の水分(個人差はあるが体重の5060%程度)が必要とされているが、運動を行うと発汗によってこの水分が失われ、そのままでは血液の粘性が増して循環が悪くなり筋肉や心臓など内臓が機能障害に陥る。これを防ぐために運動時には積極的に水分を補給することが不可欠となる。また、運動中の発汗を促進(体温上昇を抑制)させる意味でも継続的な水分補給は必要だ。

ところで、喉が渇く感覚は身体内の脱水症状より遅れて感じるらしい。言い換えると、脱水は喉よりも内臓に先に影響を与えると言うことなのか。だから、喉の渇きを感じる前から計画的に水分補給を心掛けないと、知らないうちに内臓にダメージを掛けてしまうことになる。つまり喉が渇いてからでは遅いのだ。

また、1時間以内の短い運動なら水分だけでも何とか持つが、1時間以上の運動の場合は、発汗で水分と同時にミネラル分も多く失われるので、その補給のために糖質・ミネラル分などを含んだハイポトニックのスポーツドリンクを摂る方が良い。また、富士登山競争など高山では、経験的には水分補給は酸素の補給ともなり、短い間だがほっとできる。

 

エアロビクス

(英)Aerobics】 「有酸素運動」の項を参照。

 

エキセントリック収縮

(英)Eccentric Contractions】 伸張性収縮とも言う。筋肉の収縮形態のひとつで、筋肉が伸ばされながら負荷がかかる状態で力を発揮すること。これに対する語として、コンセントリック収縮(短縮性収縮:筋肉が短縮しながら力を出すこと)がある。

トレイルランニングなどで山を降りる際に使うのが、このエキセントリック収縮となる。筋肉がブレーキを掛けながら、着地時に体重を吸収するためにエネルギーを使っている。平地を走る場合も、着地時は程度の差こそあれ脚の筋肉で体重を吸収しているので、これもエキセントリック収縮と言える。

エキセントリック収縮は、エネルギー消費は少ないが、即座に対応する必要があることから、遅筋よりも速筋が優先的に使われるので、糖がエネルギー源として使われている。

また、この運動を長く続けると、筋肉繊維中に微細な損傷が生じて、筋力の低下や遅発性筋肉痛(運動の2,3日後)が起こる。長い坂を降りると脚がガクガクになるのは、このせいだろう。

 

AT(エーティ)

Anaerobic Thresholdの略。無酸素性作業閾値のこと。

 

ATP(エーティピィ)

Adenosine Triphosphateの略。アデノシン三リン酸のこと。

ADP(エーディピィ)

Adenosine Diphosphateの略。アデノシン二リン酸のこと。

LSD (エルエスディー)

(英)Long Slow Distance】 英語で長い距離をゆっくりとした時間でと言う意味。ランニングトレーニング法の一つ。長い距離をゆっくり走るので有酸素運動となり、身体の毛細血管が広がりエネルギー代謝効率が高まるので、結果として持久力を高めることが出来る。また、糖質よりも脂肪を燃焼させるので、体脂肪の低減に繋がる。ただし、筋力の向上や筋神経系統のレベルアップのトレーニングには繋がらない。シーズン中よりもどちらかと言うとオフシーズンに基礎持久力を高めるトレーニングとしてや、レース後の疲労物質を除去する積極的休養として勧められている。人により異なるが、7/km以上のスピードで1時間以上、その負荷強度としては人と話しながら走ることが出来る程度で、出来れば数時間走ることが望ましいと言われている。また、途中で休まない方が良い。その他気を付けることは、ゆっくり走るからと言って腰が落ちたり、脚を引きずるようなフォームにならないことが大切。コースは、トラックをぐるぐる廻ると言うよりは、緑の中や街を巡りながら走る方が気分が変わって長く走ることが出来るし、風景や自然を体感して精神をリフレッシュすることにも繋がる。長時間走ることになるので、給水は忘れずに行うこと。

 

か行                                                                                                        [TOPに戻る]

カーボローディング

(英)Carbo Loading】 マラソンなど持久力系の運動を行う際に、エネルギー源のグリコーゲンをあらかじめ肝臓や筋肉内に大量に蓄えるために行う方法。

以前は、レース一週間ほど前から、前半の3日間を高蛋白質で低炭水化物の食事にしてハードトレーニングで身体のグリコーゲンを使い切り、身体をエネルギー枯渇状況にさせてから、その後の3日間でそのリバウンドを利用して、今度は逆に低蛋白質で高炭水化物の食事に切り替えて、グリコーゲンを一気に大量に蓄積させると言う方法が採られてきた。しかし、この方法は極端過ぎることから身体に大きなダメージを与えるリスクがある割には、大きなメリットがないと言うことで、最近はこの方法が採られることは少ない。

最近では、レースの二週間ほど前からトレーニング量を徐々に減らしながら、炭水化物中心の食事にしていき、身体内のグリコーゲン量を結果的に増やしていく方法が採られている。

カーボローディング時にクエン酸を一緒に摂ると、その効果が上がるとも言われている。果物や果汁100%のジュースを食事の後などに摂ると良いようだ。

また、超長距離レースの前では、炭水化物のほかに脂肪も一緒に摂ると良いとされている。

そして、マラソンの後半35km以降にガス欠しがちの方は、レース中のカーボローディングとして30kmあたりのエイドステーションで、バナナなど消化の良いエネルギー源を補給すると良いようだが、飴玉はインシュリンの分泌を促し血糖を減らすと言う説もあるようだ。

 

カルボーネン法

(英)Karvonen Method】 効率的な有酸素運動を行うための目標心拍数を算定する公式。

『目標心拍数=(最大心拍数−安静時心拍数)×目標運動強度(%)+安静時心拍数』で算定する。この(最大心拍数−安静時心拍数)はHeart Rate ReserveHRR:予備心拍数)と呼ばれ、目標心拍数がこのHRRの何%に当たるかという設定をするもの。これによって求めた心拍数は%HRRで表す。なお目標運動強度は、運動能力やトレーニングの目標とするもの(リハビリ、ダイエット、持久力強化など)により異なる。

 

グリコーゲン

(英)Glycogen】 澱粉などの食物が消化されて変化する多糖類の一種。筋肉や肝臓などに貯蔵される。グリコーゲンはグルコース(ブドウ糖)に分解されて、無酸素状態でエネルギー源として用いられる。1gで4kcalのエネルギーを生み出す。

最初に筋肉内のグリコーゲンが使われて、これがなくなると次いで血液中のグルコースが補給される。さらに血液中のグルコースが少なくなると、肝臓に貯蔵されているグリコーゲンが分解される。さらにグリコーゲンが枯渇するとアミノ酸からブドウ糖が作り出される。

糖類を摂取し筋肉や肝臓がグリコーゲンで一杯になると、糖類は脂肪として蓄積される。だから、必要以上に糖質を摂ると中性脂肪が増えてしまう。

ところで、レース前には、2時間前に多糖類であるパンやご飯を摂ると良いと言われる。体内にグリコーゲンが蓄えられて、運動時にエネルギーとして用いられる準備ができるからだ。しかしレース直前にブドウ糖を多く摂ると、血糖値が急上昇してインスリンが多く分泌され、低血糖に陥る可能性があり良くないと言われる。一方で、同じ単糖類の果糖(フラクトース)の場合は肝臓に直接運ばれるのでインスリンを上昇させることがない。

また、グリコーゲンは有酸素運動による脂肪燃焼のためにも必要で、脂肪はグリコーゲンなしには燃焼できない。だから、あまりに低血糖で運動を始めたり、グリコーゲンが途中でなくなると、脂肪の燃焼が止まり体も動かなくなる。

 

クレアチン

 【英Creatine】(CCOOH) クレアチンはアミノ酸類似の化合物。大半が筋肉中にクレアチンリン酸(PCr)の形で蓄えられている。これがクレアチンキナーゼという酵素によって、アデノシン三リン酸(ATP)がエネルギーを放出した結果出来たアデノシン二リン酸(ADP)を、またアデノシン三リン酸(ATP)に変換しエネルギーの再合成を行う。つまり、クレアチンリン酸は、エネルギーを放出して減ったATPを速やかに補充する役目を持っており、筋肉内のATPの濃度を一定に保っている。

筋収縮運動を、元々筋肉内にあるATPだけでまかなおうとしても1秒ほどしか持たないので、素早くATPを再合成し安定させるわけだ。

動物実験では、クレアチンを多量に摂取すると最大収縮張力が増大すると報告されているが、クレアチンを常用した選手が腎機能障害や心不全を起こした例もあるようなので、やみくもな摂取はやめた方が良いようだ。

 

さ行                                                                                                        [TOPに戻る]

最大酸素摂取量

(さいだいさんそせっしゅりょう) VO2maxと表す。単位は体重1kg当りの酸素摂取量(ml/kg/min)で表す。体内に取り込むことの出来る酸素の最大量を言う。言いかえれば筋肉に酸素を送る最大能力のこと。有酸素系のエネルギー代謝では糖質、脂質の分解時に酸素を消費するので、この値が大きい程持久能力が高く遅筋の割合も多い。また、酸素摂取量は運動強度にほぼ比例するので、酸素摂取量が最大酸素摂取量の何%になるかでその運動強度を表すことができる。この時の単位を%VO2maxとしている。

また心拍数からも運動強度は次式で求めることができる。 これはカルボーネン法による公式を変形したものだ。

%VO2max=(運動中心拍数−安静時心拍数)/(最大心拍数−安静時心拍数)

アメリカスポ−ツ医学会は、健康維持のために、成人の場合最大心拍数(210−年齢)の60〜90%、又はVO2maxの50〜80%の持久運動を20〜60分、週3〜5回することを薦めている。

規則的なトレ−ニングは最大酸素摂取量を増すが、トレーニングを休むと確実に元に戻る。また年齢に併せて低下するものだ。

最大酸素摂取量は、次式より12分間走をもとに推定する事が出来る。

VO2max=0.0223x-11.878

※ x:12分間を全力で走った距離(m

最大酸素摂取量は、一般成人で5〜10リットルに対して、短距離選手だと12〜15リットルほど多くなる。

 

坐骨神経痛

(ざこつしんけいつう) 坐骨神経は、腰椎から出て骨盤を通り、お尻の梨状筋と言う筋肉のすき間や大腿部の裏側を通って枝分かれしていく神経を言うが、この神経が腰椎からお尻までの間を通る際に圧迫を受けて、痛みやしびれなどを発症するものを坐骨神経痛と言う。障害を起こす場所は、お尻や大腿部の裏、さらに脚の下の方まで神経に沿った部分に現れる。

原因は、腰椎や脊椎の変形による場合やこの神経の通る梨状筋との関係で圧迫を受けたりした場合など様々だが、ランニングにより梨状筋と神経とがすれて炎症を起こす場合もある。加えて過労やストレスも遠因になるとも言われる。坐骨神経痛になった場合は、専門医にかかり先ずは何が原因なのかを明らかにするのが第一歩だろう。

私のランニングの友人の中にも、何人の方が坐骨神経痛を訴えている。重い鈍痛からピリピリする痛さまで、人によりバリエーションがあるようだ。共通するのが、皆さんハードトレーニングにのめり込んだ時期があること。私としては、防止策は、ウォーミングアップ、クールリングダウン時の入念なストレッチしか思いつかないので、それを実行するしかあるまい。またこの症状に関わらず、ランニングの着地時の腰椎、脊椎の負担を軽減する意味で、腹筋、背筋など体幹部の筋肉を鍛えておくことは良いのではないだろうか。

 

シンスプリント

(英)Shin Splints】 シンスプリントとは、脛骨過労性骨膜炎とも言い、脛骨沿いの筋肉を中心とする下肢の筋肉が疲労から炎症を起こして慢性的な痛みを発生するスポーツ障害の一つ。あまり運動をしていなかった人が運動を急激に始めたり、ランナーが硬い路面を継続的に走ったりジャンプしたりすると起きると言われる。特に10代に多発するようだ。すねの内側や外側の下1/3部分に痛みが生じる。そのまま運動を続けると、場合によっては疲労骨折に繋がることもあると言われているので、無理は禁物である。

実は、私も中学校1年生の時に、陸上部に入って練習を重ねて、このような症状を経験した。ジワ〜ッとした痛さだった。その時のコーチは、このような原因で起きたとは知らなかったのだろう。何も指導はなかった。その時は結局痛みがなかなか引かず、退部してしまった。今であればきちんとした処置が取れただろう。

対処方法としては、オーバーユースが原因なので基本的には安静が一番だが、患部へのアイシングのほか、体重を掛けないような、スイミングやエアロバイクなどのリハビリを行いながら回復を待つのが良いようだ。なお、ストレッチは効果的とされているので、悪化や再発を防ぐ意味から運動の前後に入念に行うのが良いだろう。特にクールダウン時のストレッチは重要とのこと。

 

スプリットタイム

(英)Split Time】 ラップタイムを累計したもの。

 

積極的休養

(せっきょくてききゅうよう) アクティブレスト(Active Rest)とも言う。身体が疲労すると言うことは、エネルギーが無くなったり、筋肉内に乳酸などの疲労物質が溜まったり、身体の調節機能が低下したりすることだが、このうち、筋肉内に蓄積された乳酸などを早く分解・除去させるために取る休養として、積極的休養が勧められている。これは、安静にして休むのではなく、ウォーキング、LSDジョギングなどの軽い有酸素運動を行うことで血行を良くし、疲労物質の排出を促進させるもの。運動直後なら510分程度、翌日ならば20分ほど行うことで効果があると言われる。これに対する概念として「消極的休養」があるが、これは、睡眠など安静にすることで身体の器官や組織を休めるもの。積極的休養は消極的休養に比べ半分程度の時間で疲労物質の除去が進むと言われている。しかし、あまり激しく行うとまた乳酸などが溜まってしまい、休養にならなくなるので、トレーニングホリックな方はご注意を!!

 

足底筋膜炎

(そくていきんまくえん) 足底筋膜の炎症。足底筋膜とは、足の裏にある踵(かかと)と指の付け根を結ぶ筋のことで、ここに繰り返し負荷がかかることで炎症を起こすもの。これが起こる原因としては、

@偏平足やハイアーチ(土踏まずが高すぎること)などの土踏まずの形状

Aオーバートレーニングによる足底筋膜への過度の負荷

B硬い路面による衝撃

C足の柔軟性不足

Dシューズの形状が足に合わないこと

などがあげられる。

対処方法としては、基本的に安静が求められるので、まずは走るのを休止した方が良い。痛みがなくなれば、足裏のアーチ(土踏まず部分)を正しい形状に保つための専用中敷を使用したり、シューズ自体を見直すなど、シューズ部分を修正・変更したり、トレーニング時の留意点として、十分なウォーミングアップ(特にストレッチ)や、クールダウン時の患部のアイシングなどを心がけることで、再発は予防出来る。

 

速筋

(そっきん) その色から白筋とも言う。瞬発力を必要とする筋肉のことを指す。酸素を使わないエネルギー代謝によって活動(収縮)する。無酸素運動にはこの筋肉が中心に使われる。
この筋肉の収縮スピードは速いが持続力はない。この筋肉には赤いミログロビンが少ないので白っぽい色を示す。

近海魚は、泳ぎは素早いが長い距離を泳がないので、この筋肉が多く、そのため身が白いらしい。

 

た行                                                                                                        [TOPに戻る]

遅筋

(ちきん) その色から赤筋とも言う。有酸素運動で多く用いる筋肉で、収縮スピードは遅いが、持久力がある。この筋肉には酸素を取り入れる役割を果たすミログロビンが多く含まれているので、その色により筋肉が赤い色を示している。

マグロなどの回遊魚は地球規模で遠距離を回遊するので、この筋肉が多く身が赤いらしい。

 

超回復

(ちょうかいふく) 運動で筋肉に疲労が起きると筋肉内に乳酸などの疲労物質が溜まったり、筋繊維の小さな損傷も起こったりして、運動機能が一時的に低下するが、適度な休養と栄養補給を行うと筋肉は回復して元のレベルまで戻って、さらに元のレベルを超えて以前より機能が向上するが、これを超回復と言う。この機能は人間の身体が元々持っている。この機能を活かして、適度に運動負荷を増やしていくトレーニングと超回復のサイクルを繰り返すと、段階的に身体運動機能が向上していく。

超回復には適度な運動負荷、栄養、休養が不可欠なので、この要素のどれかが欠けると故障するし、機能は向上しない。なお、超回復に要する期間は、使った筋肉の部位・大きさや運動負荷の度合いにもよるが、1日から3日程度と言われている。ちなみに腹筋は24時間くらいで回復するので毎日行っても良いようだ。そして、完全に疲労が回復しないままにトレーニングを続けるとオーバートレーニングとなり、機能が低下したり故障に繋がる。また、逆に超回復後にトレーニングを行わないと、当然だが筋力は元に戻ってしまう。

 

トレイルランニング

(英)Trail Running】 トレイルとは山道を意味し、トレイルランニング(略してトレイルラン)とは登山道などを駆け巡ることを言う。クロスカントリーに比べ、本格的な山を登る違いがある。上半身や腿の筋肉を多用するので、平地のトレーニングを補完する効果があると思われる。当然のことながら、登山道は舗装されていないので、平坦ではないし木の根や石ころがあったりして速く走れないが、路面が柔らかいので、膝や腰には優しい。街中を走る場合とは脚の負担、使う筋肉が異なり、また足元の変化に対応する運動神経も鍛えられるのではないかと思う。私は以前、脚の故障がなかなか癒えずグズグズしていた時に、友人に誘われて陣馬山トレイルを恐る恐る実行したら、全く脚に痛みが出ず、そのまま完治したことがある。この時、自然は身体を直してくれるということを本当に体感した。走るスピードとしては、私のレベルでは、上り下りは早歩き、平坦な場所はジョギングペースで、平均すると一般の登山者の歩くスピードの平均3倍ほどの速さのようだ。しかし、実際のスピードに比べ、木々が身近にあるのでスピード感がある。また、岩や崖など危険な箇所もあり、手摺がないので、転んだり踏み外したりしないように、足元には十分な注意が必要だ。ウエアは当然に走るスタイルだが、長い草で脚の皮膚が擦り切れることもあるので、ランパンよりはスパッツの方が良い。上は汗を発散する速乾素材のTシャツが良い。リュックのベルトが当たるTシャツの下の皮膚が擦れることがあるので、あらかじめその部分の肌にはバンドエイドを貼っておいたり、クリームを塗っておいた方が良い。また、気温の急な変化もあるので、季節や標高によっては防風保温の準備も必要だ。シューズは基本的にソールの厚いものが良く、出来ればトレイルラン用の専用シューズがベスト。この方が、濡れた粘土質の土、岩や根の上などは滑りにくい。また、頭上は樹の枝が垂れているので、キャップも被った方が良い。コース、距離、熟練度等により、ストックの利用も効果的だ。その際、むやみに道を削らないように注意。また途中で購入買えないので水や軽食も携帯する必要がある。給水はハイドレーションシステムなど専用の便利なグッズもあるが、水がどの程度残っているのかが直ぐに分からないのが難点。リュックは背中に密着するデイバックタイプで、胸と腰に2箇所ベルトのあるものが揺れなくて良い。最近は愛好者が増えて、東京都近郊の山でも、長谷川恒夫カップ日本山岳耐久レース、富士登山競走、高水三山トレイルラン、北丹沢山岳耐久レースなど数多く開催されている。一般のハイカー、登山者と同じ道を走るのでマナーには気をつけよう。基本的にトレイルランナーは山では新参者なので、声を掛けたり、挨拶したり、道を譲ったりと、ゆとりを持ち登山のルールやマナーには従わねばならない。またトレーニング目的以外に、人工物に囲まれた都市での日常とは異なり、変化に富む景色や音を楽しんだり、思わぬ動物に出会ったり、と言った自然そのものに触れる楽しみのほか、終わった後の温泉などの楽しみもある。

 

トレーニングの五大原則

@  漸新性の原則

超回復の身体適応力を活かして、少しずつ負荷を増してトレーニングを続けると運動能力や筋力が徐々に向上していくということ。

A  全面性の原則

身体の一部だけではなく全身をバランス良く、またトレーニングの強度や方法などを変えながら行うことで効果が上がるということ。

B  意識性の原則

何のためのトレーニングなのか、その目的を明確に意識して行う。自己コントロールをすることに繋がる。

C  個別性の原則

各自に合ったトレーニングを行うこと。ただ能力の高い人のメニュー合わせて一緒にトレーニングしても向上しない。各自の年齢・能力レベル・目的に合った内容であること。

D  継続・反復性の原則

トレーニングは継続的に行わないと効果はない。トレーニングによる負荷に身体が適応するには、ある程度の期間が必要となる。

私個人としては、この中で特に「B意識性の原則」と「C個別性の原則」を、念頭に置くように心掛けている。

 

トレーニングの三大原理

ルーの法則を発展させたもので、

@  過負荷の原理

つまり、普通の生活で活動しているよりも高い負荷の運動をすること。トレーニングのこと。

A  可逆性の原理

トレーニングで鍛えた能力はトレーニングを続けないと元に戻ってしまうこと。トレーニングを行った期間が短いと戻るのも早い。確かに実感として、トレーニング期間が短いと体重も早く戻ってしまう。

B  特異性の原理

トレーニングをした効果はそれをしたところやその動作に現れる。つまり腕なら腕に、重量挙げのトレーニングは重量挙げの動作に効果があるということ。

とされている。この中でB特異性の原理は重要だ。走る能力を向上させるには、走って鍛えないとダメということだ。

 

な行                                                                                                                            [TOPに戻る]

流し

(「なが」し)ウインドスプリントの項を参照。

 

乳酸

乳酸は疲労物質とも言われ、運動した後には筋肉内に溜まって疲れると言われてきた。

つまり、身体内に酸素がない(無酸素)状態で運動エネルギーを作り出す時に、筋肉中のグリコーゲン(糖質)がグリコース(ブドウ糖)に変化し、さらにピルビン酸になり乳酸に変化してエネルギーが作られますが、乳酸はエネルギーが作り出された後の残滓であり、また乳酸は酸なので身体が酸性に傾き運動を継続しにくくなることから疲労物質と言われてきたのだ。

しかし、実際には「単なる疲労物質ではない」ようです。ただし、乳酸が多く作られると言うことは、糖質が多く消費されている、つまり瞬発系(無酸素運動系)のエネルギー源が多く使われたわけなので、瞬発系のエネルギー源が減ったということは言える。

乳酸は実際のところ、産生されても身体内ではすぐに中和されて塩に変化するので、身体が酸性になり続けるようなことはなく、一方的に疲労の原因とはならない。またそもそも、乳酸はまたピルビン酸に戻り、ミトコンドリアによって有酸素系エネルギー源の脂肪と同じように酸化され(酸素を豊富に使って)てエネルギー源として使われる。乳酸は、ミトコンドリアが少ない速筋部分で多く作られ、ミトコンドリアが多い遅筋部分でその乳酸が酸化されてエネルギーとなる。また、グリコーゲンは存在する筋肉中でしか使われないが、乳酸は身体中を巡って必要な場所で消費される。つまり乳酸とは、溜まるだけの老廃物ではないと言うことだ。

(八田秀雄著:「乳酸を活かしたスポーツトレーニング)より)

 

は行                                                                                                                            [TOPに戻る]

ハイドレーションシステム

【(英)Hydration System】 トレイルランニングマラニックなど長距離トレーニングで用いるグッズ。給水時にいちいちボトルを出入れしなくても良いように、水を入れる専用のプラスティック製のバッグをリュックの中に入れ、バッグからチューブで給水するもの。チューブの先端にはゴム弁が付いており、噛むと水が出る仕組みになっている。赤ちゃんの哺乳瓶と同じ。バッグをリュックに入れるタイプとバッグそのものを背負うタイプがある。バッグは柔軟で荷物の隙間になじむので、2リットル程度入れても思ったほどかさばらない。背中に背負っているため水の残量が見えないと言う欠点があるが、ボトルを取り出す必要がないと言うメリットには換えがたい。なお、バッグをリュックに入れる時に注意すべきなのは、バッグのチューブ接続口を下にすること。そうしないと自然の圧力(自重力)で水が出ない。また、バッグが下向きなので接続口はしっかり締めること。また、夏に冷水を入れる場合、結露で他のものが濡れる可能性があるので、タオルなどでバッグを巻くなどした方が良い。チューブの先は口でくわえるので、バッグを下ろした時に土などが付かないように、何かカバーをした方が清潔さを保てる。

 

ハイポトニック

【(英)Hypotonic】 「低浸透圧の」と言う意味で使われている。ハイポトニックドリンクは、身体の体液よりも薄く浸透圧が低いので、水分が身体に吸収され易い。運動中や運動後に汗をかいて身体に水分が不足している時に、ハイポトニックドリンクでは水分が速やかに吸収される。

 

ハートレイト

【(英)Heart Rate】 これは心拍数のこと。運動強度が上がれば心拍数も上がるので、逆に運動強度を知るために、最大心拍数に対する心拍数を目安にして、トレーニングをコントロールする考え方がある。このため、運動中の心拍数を計測するための器具としてハートレートモニターというものがある。最大心拍数などというものはなかなか測れないが、この器具だと予測出来るようだ。またある程度の幅があることを前提として、220から年齢を引いて近似値を算定するという方法もある(50歳ならば最大心拍数=22050170)が、男女別やトレーニングの経験などで差もあるようだ。しかし、大まかな目安としては使えるのだろう。そして、効率的に有酸素運動を行う目標心拍数を算定する方法として、カルボーネン法という公式がある。

 

ビルドアップ走

ビルドアップ(Build-up)とは徐々に力を強めていくという意味になるが、ランニングの世界では、ある一定の距離や時間を設定して、最初はゆっくりペースから走り始め、少しずつペースを上げていき、最後にはレースペースを超えるくらいのハイペースで終わるようなトレーニング法のことをいう。設定距離は、長いものだと、フルマラソンを目指した走り込み期間の中では、2030kmになることもあると言うことだ。最初にゆっくりと始めるので、ウォーミングアップの時間が取れないような時にも向いていると言える。ペースを変えていくので、ペースを意識的に抑えることやハイペースの感覚を養うことに役立つ。最後にハイペースで終わるが、最終スピードに対して辛くないので、割と気持ち良く終わることが出来る。注意点としては、当然だが、ペースを上げる度合いは滑らかなことが大切で、途中でペースを上げることが出来なくなったり、一度上げたペースがまた落ちてきたりした場合は、ペース設定に無理があると言うことになる。つまりペースアップ度合いは自分でしっかりコントロールしながら行うことが大切で、無意識に急にペースが上がってしまうということのないようにしたい。しかし、滑らかな勾配でペースを上げることは、実際難しい。それには、距離や時間と最終ペースの設定は、最初のうちは力の余裕のある範囲で始め、自分の力を掴みながら徐々に上げていくのが良いだろう。逆に言えば、ビルドアップ走を計画どおりに着実にこなすことが出来たなら、力が付いてきたと言えるのだろう。

 

フラット走法

股関節をスイングさせて足裏全体で接地し、着地と同時に地面を押出すように走る方法。踵(かかと)から着地して足首で地面を蹴り出す走り方(ピストン走法?)とは異なる。イメージとしては、ピッチ走法になると思われる。この走法のメリットは、@省エネで、Aブレーキが掛からず、スピードアップに繋がり、B衝撃が少ないので故障になりにくいなどが挙げられる。私の場合、ストライドを大きく伸ばそうとせずピッチ走法のイメージで走る。着地した反発を生かして、パンと足裏全体で地球(地面)を後ろに掻くイメージで走っている。周回コースを走る際に、大きなレコード盤のような円盤の上に乗って円盤を回していると想像している。そうすると自然に脚は自分の重心の真下に着地する格好となる。これが私自己流のフラット走法だ。

 

ペース走

ランニングトレーニング法の一つで、一定の距離を最初から最後まで同じペースを保ちながら、つまりイーブンペースで走る方法。ペースを乱さないように気を付けることで、設定スピードの感覚を身体に覚えこませることが出来る。ペースを確認する必要があるので、トラックや周回コースなど、等間隔でラップタイムを計測できる場所で行うのが良い。初級者でなくとも、実際一人でイーブンペースで走ることはかなり難しく、最初のうちはペースにかなりばらつきが出る。人間の動作にはゆらぎ(揺れ幅)があるのだろうか。有酸素運動などで基礎的な持久力を養ない、ベースとしての身体が出来た(走り込みの)次段階では、このトレーニングによってさらにレベルアップをすることが出来る。私の場合、あっとランナーの鈴木彰コーチの助言に従い、レースの目標タイムのイーブンペースの80%のスピードで目標レースの120125%の距離を走る(例えば、10kmレースで40分を切るのが目標の場合、5/km4/km÷80%〕で、12km程の距離を走る)と言うペース走を続けることで、実際にレースタイムが向上した経験がある。また、経験上からは、一人で行う場合は、レースの時よりもペースが速いと感じることが多い。だからペース走を確実にこなせたら、レース本番は意外と余裕を持って走ることが出来ると思う。

 

ま行                                                                                                                            [TOPに戻る]

マラニック

Maranic】 マラニックとは、マラソンとピクニックを合わせた造語で、日本で作られたものと思われる。時間をかけて長い距離をゆっくり走ったり、時には歩いたりして行われ、イメージ的にはお弁当をリュックに入れて、走りながら遠足をする感覚。基本的な考えは競走すると言うよりは、楽しみながら一定の時間を完走すると言う方に近い。トレイルランニングは山を中心に、基本的に走る目的で行われるが、これは、ピクニック感覚で、街あるいは、街と自然が交じり合ったコースを風景を楽しみながら行うイメージ。

 

ミトコンドリア

Mitochondria】 ミトコンドリアは身体の細胞内に含まれている器官のひとつで、酸素を使ってグリコーゲン、脂肪酸、アミノ酸などの栄養素から、エネルギー源(ATP:アデノシン三リン酸)の再合成を行っている。だから酸素を必要とする有酸素運動にはミトコンドリアの働きが欠かせない。そして、持久力を養う有酸素系のトレーニングを続けると、これに適応して細胞内のミトコンドリアの数が増え、有酸素系のエネルギー代謝機能がさらに増してくる。つまり、ミトコンドリアの増大によってランニングの持久力レベルを向上させることが出来る。またこれは、もちろん体脂肪の消費(つまりシェイプアップ)にも繋がる。
それで、筋肉では、酸素を使わない速筋よりも、有酸素運動に用いられる遅筋の方に、より多くのミトコンドリアが含まれている。
ミトコンドリアは身体の細胞とは別に独自のDNAを持っていて、ミトコンドリアのDNAは必ず母親のミトコンドリアDNAを引き継いでいくらしい。そして、ミトコンドリアのDNA研究によって、持久能力の持って生まれた個人差なども明らかになりつつあるようだ。今後はDNAレベルでトレーニング方法が選択される時代が来るかもしれない。

 

ミログロビン

有酸素系代謝の働きをする蛋白質の一種で、筋繊維の細胞にあり、酸素を運んで来た血液中のヘモグロビンから、酸素を受け取って細胞内に取り入れ働きをする。また、酸素が必要になるまでの間の貯蔵も行う。筋肉が赤いのはこのミログロビンによる。特に有酸素運動に用いられる遅筋に多く含まれるため、遅筋は赤い色をしている。「ミオ」とは筋肉のことらしい。なお、持久力を向上させるためには、ミトコンドリアやミログロビンなど細胞レベルから能力を高めることが大切だ。

 

無酸素運動

(むさんそうんどう) アネロビクス(Anaerobics)とも言う。無酸素運動とは、踏ん張って力を出すような激しく力強い運動を指し、運動中の酸素の取込量が少ない。このように体内で酸素がなくてもエネルギーを出せるメカニズムで運動が行われるので、無酸素運動と呼ばれる。これに該当する代表的なスポーツは、陸上競技の短距離走、投擲競技、相撲やレスリング、重量上げなど、瞬発力を必要とするものがあげられる。無酸素運動に対する概念として有酸素運があるが、有酸素運動の水泳やジョギングも激しく行えば、無酸素運動になってしまう。要するに運動の激しさの度合いで決まり、無酸素運動とされている短距離走でも、わずかに有酸素運動によるエネルギー生成も行っているので、無酸素運動と言っても実際には無酸素的にエネルギーを作り出す割合の方が多いと言うことである。また、サッカーやラグビー、バスケットボールなどのゲームスポーツは瞬発力と持久力両方の運動の組合せなので、無酸素運動、有酸素運動双方の運動能力を高める必要がある。

また、無酸素運動で糖質がエネルギーを出した後は、乳酸が相対的に筋肉に溜まって細胞が酸性に傾き疲労を感じ、機能が低下して最終的には動かなくなると言われるが、実際のところ乳酸はその後ミトコンドリアによってエネルギーに変換される。

ダイエットの観点から見ると、無酸素運動は脂肪をエネルギー源として使用しないが、筋肉を鍛えて筋肉量を増やすことが出来るので、身体の基礎代謝が高くなり、その点からは効果がある。基礎代謝量が増すと睡眠中でも熱量消費が増加するので、ダイエット効果がある。

無酸素運動は短時間に筋肉に大きな負荷がかかるので、血圧が急上昇すること、乳酸や活性酸素が急激に増えることなど身体に大きな負担がかかるので、高齢者や高血圧や心臓に疾患がある人は無理をしない方が良い。

また、無酸素運動で蓄積された乳酸は運動後に酸素によって分解される。つまり、乳酸の形を借りている状態で、身体に酸素が不足していることになるが、これを酸素負債と呼んでいる。

有酸素運動でも、酸素の供給が十分になるまでは数分かかるので、実際はこの間は無酸素系のエネルギー代謝をしており乳酸の形で酸素負債が作られる。
最大酸素負債量が高いことは、無酸素運動の継続力が高いということになる。

 

無酸素性作業閾値

(むさんそせいさぎょういきち) ATAnaerobic Threshold)とも言う。有酸素運動も運動強度を強めていくと、有酸素系代謝だけでは対応しきれずに、無酸素系のエネルギー代謝によるものも増えてくるが、AT(無酸素性作業閾値)ポイントとは有酸素運動と無酸素運動の境界に当たる。つまり、これを越えて運動強度を上げると乳酸が増し、身体に負担がかかるので、疲労を残さずに最も効率良く体脂肪を燃焼させるための運動強度の限界ラインを示している。ジョギングを例にあげれば、最初ゆっくりと走っているうちは苦しくないが、徐々にスピードを上げていくと心拍数が増し、さらに酸素の供給量が追いつかなくなって苦しくなってくる。この時、有酸素運動から無酸素運動に切り替わっていき、乳酸値などが激増する境界にかかっており、このポイントをATと呼んでいる。ただATは実際に計測できる点と言うよりも概念的な限界値とされ、実際の計測指標としては、二酸化炭素などの換気量を指標にした換気性作業閾値(VT)や、血中乳酸濃度を指標とした乳酸性作業閾値(LT)で表すのが一般的のようだ。

ATが高いと言うことは高強度の運動でも乳酸などがあまり出ないことを意味しているので、マラソンなどの持久系運動のパフォーマンス向上につながるものだが、AT値もトレーニングによって向上する。

なおAT値は、ハートレイトモニターがあれば推定出来るようだ。

無酸素性作業閾値(AT)は、乳酸を蓄積させないで(つまり有酸素系で)いかに高い強度の運動ができるかとい事を表しているので、最大酸素摂取量と同様に有酸素性持久力の指標となる。
例えば、一般人のATは60〜70%VO2maxくらいで、マラソン選手などの場合は75〜85%VO2maxくらいになるようだ。

 

や行                                                                                                                            [TOPに戻る]

有酸素運動

 

(ゆうさんそうんどう) エアロビクス(Aerobics)とも言う。反対語は無酸素運動(ネアロビクス)。酸素を身体に充分に取り入れながら行う運動のことで、運動強度としては、しっかりと呼吸が出来ることが大切なので、ゼィゼィ言ったり息をこらえて踏ん張るような全力運動ではない。軽く汗をかく程度のウォーキングやゆっくりジョギング、サイクリングなどが該当する。運動時の脈拍の目安は、個人差はあるが1分間に110120程度が目安とされている。量と消費カロリーの目安としては、ウォーキングで1万歩、ジョギングでは40分程で300kcal程度を消費すると言われている。ちなみに300kcalとは、ビール中ジョッキ2杯分に該当するそうだ。

有酸素運動を習慣付けると、効用として次のような効果がある。

@     脂肪を燃焼させて内臓脂肪の減少、善玉コレステロール(HDL-C)の増加など、生活習慣病の予防・改善。

A     皮下脂肪が減少し、身体がスリムになるダイエット効果。

B     末梢血管が増えて酸素が身体の隅々に行渡るので、血流の促進・血圧の安定、心肺機能の向上に繋がる。

C     血液中の糖質が消費されるので、糖尿病の予防・改善に繋がる。

D     その他、自律神経の安定。ストレスの解消。下肢筋肉を使うことによる静脈血還流の促進(心臓負担を軽減)。など

有酸素運動を行うことによる身体内のエネルギー創出のメカニズムは、

@     運動の出だしは体内への酸素供給量が少ないので、最初はすぐに使用出来るように筋肉中に貯蔵されているグリコーゲンや血液中の糖質がエネルギー源として主に使われる。

A     糖質の量には限度があるので、運動が続くと次第に血液中の脂肪が使われ始める。脂肪の燃焼には多くの酸素が必要とされるので、しっかりと呼吸をしながら運動をすることが必要となる。

B     20分程過ぎると、血液中の脂肪が無くなるので、次には内臓脂肪、皮下脂肪などの体脂肪が酵素で分解されて血液中に供給され、本格的に体脂肪が燃焼され始める。このうち内臓脂肪の方が先に使われる。内臓脂肪は貯めやすく使い易いようだ。体脂肪はいざという時のエネルギー源なので糖質のようにすぐには使えないが、20分を超えると主要エネルギー源として消費され、これは運動中に使い果たしてしまうと言うこともない。なお、有酸素運動は乳酸を生じないので疲れが蓄積せず、長時間の運動が可能となる。

なお、エネルギー源が糖質から脂肪へ移行しても、糖質の燃焼が完全に終わったわけではなく、その後もわずかに燃焼し続けている。脂肪の燃焼には糖質の燃焼が必要なので、低血糖下での運動は良くない。また糖質は脳の栄養源でもあるので、糖質が枯渇すると脳に栄養が行き渡らず集中力が低下するので良くない。さらに、糖質が無くなると身体は飢餓状態となり、緊急用のグリコーゲンまでが使われ始め、同時に筋肉を組成するタンパク質(アミノ酸)もエネルギー源として使われるようになる。つまり、低血糖状態での運動は筋肉までが減少してしまい、それは基礎代謝量の減少を招き、せっかくのダイエット効果が期待出来なくなるので要注意。その他にも、血液中に遊離脂肪酸が増加するなどして、心臓への大きな負担も増してくる。このように、朝起きての直後や空腹時など、低血糖状態での運動は避けるべきだ。しかし一方、糖質を取るために運動直前にドリンクなどで多量の糖質を摂取すると、血糖値が急に上がってインシュリンが多量に分泌され、運動中の糖質の減少を引き起こす危険性があるとも言われている。このような摂取は避けて、2時間以上前に炭水化物などで摂取することが望ましい。炭水化物の場合は、緩やかに血糖値を上げるそうだ。

また、運動後30分以内に食事や入浴を行うと、せっかくの脂肪燃焼が止まってしまうらしいので、終わった後はすぐにフロには入らず、ストレッチなどでクールダウンをすることも必要だ。

有酸素運動は45分以上続けると効果的であると言われているが、長時間続けないと効果がないかと言うとそうではないようで、最近の調査によれば毎日10分程度を続ける程度でも効果があると言われているので、時間がない場合でも諦めない方が良い。また、有酸素運動を積むことでも、激しい運動においても、体脂肪をエネルギー源として利用し易くなるとも言われている。

 

ら行                                                                                                                            [TOPに戻る]

RICE(ライス)

運動をしている時に起こる様々な怪我や障害に対して行う救急処置を、下記の頭文字を取ってまとめたもの。これは、全身に影響を及ぼしていない場合や、傷口が大きく開いていない(多量に出血していない)場合に用いることが出来るもの。そのイニシャルとその意味は、

Rest:安静にする。基本的には全身を安静にするのが良いが、テーピングなどによる患部の固定もした方が良い場合もある。

Icing1520分ほど氷などで患部を冷やす。長時間続けるのは逆効果となるので、その場合は間を置いて数回に分けて行うのが良い。

Compression:内出血や腫れを抑えるためにテープや包帯で患部を押さえる。ただし押さえ過ぎないように注意。なお当然のことながら、頭部、頸部、顔面には行うべきではない。

Elevation:身体を横にして、患部を心臓よりも高い位置にすること。これで、内出血や腫れを軽減出来る。

このような救急処置が出来ていれば、痛みは早くなくなると言われる。

 

ラップタイム

【(英)Lap Time】 トラックの1周のように、ある一定の距離のことを言う。ちなみに、優勝者がよくレース後にトラックを一周することがあるが、これをa lap of honorと言うらしい。また、トラックとは限らず、ランニングのペースを確認するために、あらかじめ設定した一定区間のタイムを計ることがあるが、この一定区間を走ったタイムをラップタイムと表し、1kmのラップ、5kmのラップなどと言う。スポーツウォッチにはこの機能が付いており、メモリーが多い方が細かく記録できる(ex.50lapより100lapなど。これは記録できる区間数を指す)。フルマラソンで、1kmごとのラップを図るのはさすがに細か過ぎると思うが、5kmごとのラップはレースの状況をよく示していると思うので、レース中に記録すると後で見直すことが出来て良い。

 

ランナー

【(英)Runner】 英語で走る人を意味し、ランニングレースに出て走る選手を指すことも多い。しかしこの言葉には実は別の深い意味が含まれている。ランニングへの取組み度合いにより、走る人を三つのカテゴリーに分ける考え方がある。その第一段階は「ジョガー(Jogger)」と呼ばれる。これは、ランニングを楽しみ、ダイエットやリフレッシュなどの目的で走る人のレベルである。第二段階は、レースに出て記録(タイムや順位)を向上させることを目的としてランニングしている人を指し、これを「アスリート(Athlete)」と呼ぶ。アスリートは記録のレベルで選別せず、ランニングに対する姿勢で判断する。そして最高のカテゴリーが「ランナー」である。毎日走るのは勿論のこと、ランニングが日常生活に浸み渡り、生活全てがランニングにつながっている人を敬称として「ランナー」と呼ぶ。

 

ランナーズニー

【(英)Runners Knee】 腸脛靭帯炎とも言われる。長距離ランナーに多いことからランナーズニーと呼ばれる。膝の関節の横の外側にある腸脛靭帯が大腿骨と擦れて痛くなる。つまり膝の外側が熱を持って徐々に痛くなる症状。これは、腸脛靭帯は膝関節の動きに伴って前後に動くので、特に足の外側への過大な加重によって腸脛靭帯が大腿骨下端部と擦れて炎症を起こすために起きる。運動すると痛くなるが、休むと痛みが出なくなることが多い。原因としては、

@オーバートレーニング、特に硬い路面ばかりを走るトレーニング

AO脚など身体の歪みによる腸脛靭帯の緊張

B大腿筋の筋力不足

Cシューズソールの磨耗

Dウォームアップ不足などによる靭帯や筋肉の柔軟性不足

などがあげられる。

対処方法としては、炎症、つまり痛みが出た場合は基本的に安静にすることが基本。つまり走らない方が良い。初期の段階では、アイシングなどで患部を冷やすと腫れや痛みが緩和する。また痛みがなくなったら、暖めた方が血行が良くなり回復が早まると言われている。そのまま無理に同じ運動を続けると慢性化するので、注意が必要だ。

そして、予防法としては、ランニングフォームの改良やシューズの中敷(インソール)使用による土踏まず(アーチ)部分の補正、ウォーミングアップ時の下肢全体のストレッチも効果的であり、運動後のクールダウンも忘れずに行いたいし、その時アイシングを行えばなお良い。痛みが引いてしまえば、患部に負担をかけない程度の運動は開始出来る。

 

ランナーズハイ

【(英)Runners High】 直訳すると、走るときに感じる恍惚感の意味。ランニングの走り始めは苦しいけれど、走っているうちにだんだんと気持ちが良くなってくることを言う。その理由として、身体が苦しさを和らげるために、「エンドルフィン」などの脳内麻薬物質を分泌するからだと言う説があるが、まだ解明されてはいない。

私も経験的には、走り始めは身体が重く辛いことが多いが、身体が慣れてくると快調になってくることがある。どこまででも走れるなんて思うこともある。それは、身体の温度が上がってエネルギーを作り出すのが効率的になったことや、身体のエネルギー代謝が筋肉内のATP代謝から有酸素系に切り替わって安定し始めたことなのかなぁと思っていたのだが。

しかし、ランナーズハイとは別に、無性に走りたくなったり、走ったあとの爽快感と言うものもあり、走ることは人のDNAレベルでの本能に近い部分があるのだろう。しかし、全く走りたくないと言う人もいるわけで、これは遺伝的な要素があるのかもしれない。

 

ルーの法則

ドイツの生物学者ウイルヘルム・ルー(Wilheim Roux)が提唱した概念で、「人の器官や機能は適度に使えば発達するが、使わないと退化・萎縮する。」と言うもの。今となっては当たり前に感じるが、これからトレーニングをするということが始まったのだから、初めて言ったルーは素晴らしい。これは筋肉ばかりではなく、神経、脳の発達にも通じる。頭も使わないと退化するから。

 

レペティショントレーニング

【(英)Repetition Training】 インターバルトレーニングと同様に高強度な運動の間に休憩を採るトレーニング方法だが、この場合は完全な休憩を採る。完全に休むので全体の所要時間は長くなり、一定時間に走る距離はインターバルトレーニングよりは少ないが、スピード自体は速いので全体の運動強度は上がる。つまりきつい。両方のトレーニングともオーバーペース気味に走ることに身体が慣れることを目的としているので、注意事項はインターバルトレーニングと同様。

 

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