古い歴史を経た、どの国でもそうであるように、韓国もまた、国内外の幾多の戦禍に遭遇し、その結果として、多くの歴史的財産が失われてしまった。 中には、「崇禮門」(숭례문)(南大門)の如く、最近になってから、韓国国民の無謀な手によって、焼失されてしまう、という残念な財産もある。14世紀の建立以来、20世紀に入ってからの朝鮮戦争での焼失さえ免れの生き残ったソウル唯一の楼閣であり、損傷部分の大掛かりな補修工事が終ったばかりであったのに、真に無念である。 だが、一方では、全国的に見ると、部分的な損壊のまま、幸いにして、全壊・焼失を免れた史跡などは、近年になって、手厚い保護の手が伸び、修復・原状復帰を試み、その歴史を後世に残そうという意図がうかがえる。 それだけに、学術的な発掘・調査も、進められている。 全国いたるところに、歴史博物館が作られ、国民に、歴史を知らしめる努力も惜しまない。 しかし、遺憾なことに、これら多くの史跡や博物館に記述されている説明が、現代の歴史学的理解に照らして、必ずしも、正しいかどうか、疑問が多々ある。多分に、一部の人たちの偏見に基づいて記述されているような部分も見受けられる。 それらを、韓国の子供たちが、見学し、勉強しているところを見ると、正しい歴史認識に導かれていくのだろうか、と、いささか危惧するところである。 更に、説明文は、韓国語が主体で、英語・日本語・中国語などが、併記されているところもある。だが、翻訳は、稚拙で、韓国語の内容のうち、ほんの一部分しか、翻訳されていない。 また、案内書、説明書も貧弱である。せっかく韓国を訪問して見学する外国人のために、それぞれの史跡・遺跡・文化を案内書なり、説明書にして、当地で販売すればいいのに、と思う。説明は韓国語でも構わない。 一部の自治体には、そのように、申し上げたこともある。