江原町の市営墓地に、第一次大戦で戦死した日系カナダ義勇兵・松井豊次郎の墓がある。
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現在までに判明した松井豊次郎に関する情報を以下に示す。
Attestation paper(1916年8月4日付)(1)より
カナダのウェブサイトでは、"Togojiro"の名前で登録されている。 これは、Attestation paperのサイン(Signature of Recruit)が"Togojiro"に見えることが原因かもしれない。
CEF Soldier Detail(2)より
所属が第10大隊となっているが、出征時は、第192大隊所属(3)のようである。 第192大隊は1916年11月にイギリスに向け出航後、11月11日付で第9予備大隊に吸収されている(4)。 この後に、第10大隊に補充されたのかもしれない。 豊次郎の戦死日である1917年4月28日に、第10大隊はArleuxの戦闘で甚大な損害を出している(5)。 Arleuxはアルルーに近い発音らしい(南フランスのアルル[Arles]とは関係がない)。
所属と戦死日の記録が正しいとすれば、松井豊次郎はこのときの戦闘で戦死した可能性が高い。 この戦闘は、1917年4月9日から5月16日まで実施された英連邦軍の攻勢作戦「アラスの戦い」の一部である。 豊次郎の墓碑に「アラスカー大激戦」とあるのは、この戦闘を示すものだと思われる。
尚、バンクーバーのスタンレー公園には、1920年(大正9年)4月9日に建立された日本義勇兵記念碑があり、54名の戦死者の中に"Toyojiro Matsui"の名前も刻まれている(6)。
松井豊次郎に関しては不明点も多いが、呉に縁のある日系カナダ移民が、義勇兵としてフランスに渡り、その地で戦死した事は間違いないだろう。
本ページの作成にあたっては、守山真理摸様から貴重な情報を提供していただきました。 ご協力に感謝致します。