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三十糎艦船連合呉支部

三十糎艦船連合呉支部

1966年(昭和41年)11月29日建立。 合祀者885柱。(1)

軍艦信濃戦歿者之墓

碑文

軍艦信濃戦歿者之墓

軍艦信濃について

信濃は大和型戦艦の3番艦として起工された仮称第110号艦を航空母艦に改装したものである。  大和型戦艦は1936年(昭和11年)末のロンドン海軍軍縮条約失効をにらんで計画されたもので、基準排水量65,000トン、主砲46cm3連装砲3基、15.5cm3連装砲4基、12.7cm連装高角砲6基、速力27ノットという要目であった。 1940年(昭和15年)5月4日、横須賀工廠で起工されたが、1942年(昭和17年)6月のミッドウェー海戦敗戦を受けた航空母艦増勢計画により、航空母艦への改装が決定した。

航空母艦への改装に当たっては、固有の艦上攻撃機・艦上爆撃機を搭載せず、洋上の移動航空基地として味方機への燃料、弾薬の補給を主任務とするもので、敵の空襲下に留まるために飛行甲板に充分な甲鈑防御を施すという案が、艦政本部より出された。 これに対し、用兵側の航空本部と軍令部からは通常の攻撃能力を持った航空母艦が要求された。 結局、固有搭載機を42機とし、他空母機への燃料、弾薬の補給を考慮するものとして決着した。

飛行甲板は、500kg爆弾急降下爆撃への防御が要求されたため、下部を格納庫とする長さ210m、幅30mの範囲を20mmDS鋼板と14mmDS鋼板を上下に張り合わせた格子状構造物上に75mmNVNC甲鈑を装着した装甲とした。 この装甲部分の前後に設けられた昇降機にも飛行甲板と同じ75mmNVNC甲鈑が装着されたため、重量は前部昇降機が180t、後部昇降機は110tときわめて大重量となった。 水中防御は戦艦時代のままとされ、舷側防御は耐20cm砲弾として200mmとした。 水平防御は100mmであったが、傾斜部や砲塔周辺には製造済みであった200mm甲鈑が装着された。 また、軽質油タンクは周囲に装甲をめぐらし、マリアナ海戦の戦訓から周囲空所にはコンクリートが充填された。

改装完成は1944年(昭和19年)12月を目標としていたが、1944年(昭和19年)に入って横須賀工廠の繁忙により約3ヶ月間工事が中断された。 ところが、7月末になって、完成を10月15日に繰り上げることとなり、一部作業の省略、簡略化を実施して作業を進めたが、引渡しは11月19日となった。 28日には残工事のため呉に向けて横須賀を出航したが、翌29日、潮岬沖の110°、95浬の地点でアメリカ潜水艦Archerfishの雷撃を受け沈没した。(2)(3)

艦名

艦名は旧国名。 現在の長野県。

要目(4)(5)(6)

艦種航空母艦
建造所横須賀海軍工廠
基準排水量 ※162,000トン
公試排水量 ※268,060トン
垂線間長244.0m
水線長256.0m
全長266.0m
最大幅38.0m
水線最大幅36.3m
水線下最大幅38.0m
喫水10.31m(公試)
飛行甲板長さ256.0m×幅40.0m
主缶ロ号艦本式水管缶(重油専焼)12基
主機艦本式オール・ギヤード・タービン4基
推進器軸4軸
出力150,000馬力
速力27ノット
燃料重油:9,000トン
航続力18ノットで10,000浬
兵装40口径八九式12.7cm連装高角砲8基
九六式25mm3連装機銃35基
九六式25mm単装機銃40基
12cm28連装噴進砲12基
装甲飛行甲板95mm
舷側160〜270mm
甲板190mm
航空機艦上戦闘機20機(常用18機補用2機)
艦上爆撃機27機(常用24機補用3機)
乗員2,400名
その他兵装については計画値。 戦没時の状態は不明。

※1:英トン(1.016メートルトン)、※2:メートルトン

艦歴(7)

年月日履歴
1940年(昭和15年)5月4日大和型戦艦3番艦として、横須賀海軍工廠において起工。
1942年(昭和17年)6月30日航空母艦に改造決定。
1944年(昭和19年)10月8日進水。
1944年(昭和19年)11月19日竣工。 航空母艦に類別。 横須賀鎮守府籍に編入。 連合艦隊第一航空戦隊に編入。
1944年(昭和19年)11月28日残工事を呉工廠で行うため、横須賀発。
1944年(昭和19年)11月29日潮岬沖の110°、95カイリでアメリカ潜水艦Archerfishの雷撃を受け沈没。
1945年(昭和20年)8月31日除籍。

参考資料

  1. 梶本光義(編集責任者).呉海軍墓地誌海ゆかば:合祀碑と英霊.呉海軍墓地顕彰保存会,2005,p85
  2. 雑誌「丸」編集部編.日本海軍艦艇写真集:ハンディ判 7巻 空母隼鷹・飛鷹・瑞鳳型・竜鳳・千歳型・信濃・伊吹・大鷹型・神鷹・海鷹.東京,光人社,1996,p88-90
  3. 日本航空母艦史.東京,海人社,1994,世界の艦船.No481 1994/5増刊号 増刊第40集,p164
  4. 前掲.日本航空母艦史.p62
  5. 福井静夫.(写真)日本海軍全艦艇史資料篇.東京,ベストセラーズ,1994,p6,43
  6. 軍艦メカ2日本の空母.東京,光人社,1986,p79
  7. 前掲.日本海軍艦艇写真集:ハンディ判 7巻 空母隼鷹・飛鷹・瑞鳳型・竜鳳・千歳型・信濃・伊吹・大鷹型・神鷹・海鷹.p106