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尖閣諸島問題

 尖閣諸島の存在は、古くから日本にも中国にも知られていましたが、もともと「無主の地」であり、どの国の領土であるのか決まっていなかったとされます。

 そんな中、1879年(明治12年)、実業家の古賀辰四郎氏が明治政府から30年間の無償貸与を受け、 同島の開拓の許可を得た後、海鳥の捕獲(羽毛の採取・剥製づくり)、カツオ節製造など種々の事業を展開するようになります。  最盛期には、同島に数百人の日本人が暮らしていたとされます。

1895年(明治28年)1月、日本政府が閣議決定で正式に沖縄県所轄領土に「尖閣諸島」を組み入れます。

 日本政府から古賀氏への無償貸与は、その後有料とされましたが、1932年、古賀氏は国有地払い下げを申請し、31円50銭(現価700万円ほど)で認められ、 「尖閣諸島」は個人所有の島となっています。

 国際法では、「無主の地」を領有の意思をもって占有することは、領土取得の正当な手段として認められている、とされます。  したがって、 尖閣諸島はもともと日本が実効支配していたものを日本領として占有したものであり、戦争による領土拡張主義とは性格がまったく異なる、正当な行為なのです。

 ちなみに、中国側は1895年の日本の領有宣言以来、1970年まで日本の領有に対して一度も異議も抗議もしていません。     これまで中国側が75年間にわたって抗議をしてこなかった事実は、日本の領有が国際法上、正当なものである決定的な論拠の一つとなります。

 「尖閣諸島」は終戦(1945年)前には再び無人島となり、その後1970年代には、古賀家から埼玉県さいたま市在住の不動産業者に譲渡されています。(2016.5.20)


  

尖閣諸島の帰属問題

 一般的に、「尖閣諸島」は日清戦争の勝利により、 台湾が日本の領土になった際、日本の領土とすることが日本と中国の間で合意された、というのが通説です。    中国側の言い分も、日清戦争の結果として日中間で下関条約が結ばれた際、 「台湾の付属島嶼」として尖閣諸島が日本に「割譲」された、と主張します。

 しかし、日清戦争が終了したのは1895年4月ですが、日本政府が閣議決定で正式に沖縄県所轄領土に「尖閣諸島」を組み入れたのは、その3か月前の1895年(明治28年)1月です。    つまり、「尖閣諸島」は下関条約締結時には既に日本の領土だったのです。  中国の主張はあくまで言いがかりなのです。

 また、もともと台湾が「尖閣諸島」を領有していたかのような説もありますが、そもそも、「尖閣諸島」は「無主の地」でした。  日本は日清戦争の勝利により、 清が支配していた台湾を併合しますが、その際取り決められた下関条約の交渉過程でも、 中国側(当時は清)は尖閣諸島についてなんら触れなかったとされます。

 さらに、「清(現中国)が台湾を支配していた」という説も正しくありません。  そもそも当時の中国は台湾は自国の領土だという認識などなかったのです。  その証拠に、 1871年(明治4年)、琉球御用船が暴風で遭難し台湾南部に漂着した際、 一部乗組員が台湾先住民によって殺害される事件が起こります。

 このとき日本は清国に賠償などを求めますが、清国政府は台湾は化外の地であるとして賠償要求を拒否しているのです。   つまり、 清国は台湾を支配していないと明言していたのです。   この事件の3年後、日本は台湾出兵し占領しています(牡丹社事件)。

 また、1919年、中国福建省の漁民が魚釣島(尖閣諸島最大の島)付近で遭難した際、住民が31人を救助し中国に送還した出来事があります。  この救援活動にたいし、 中華民国(元清国)の長崎駐在領事から、感謝状が届けられたたそうですが、感謝状には、尖閣諸島が日本の領土と記述されていたといいます。

 その後、日本が併合支配していた台湾などの地域は、日本の敗戦により連合国のカイロ宣言(1943年11月)やポツダム宣言(1945年7月)にもとづいて、施政権が中華民国(中国大陸の中国政権とは別物)に引き渡されます。    ただし、この時もアメリカは「尖閣諸島」は沖縄の一部と捉えていたため、米軍の軍事支配下におかれています。

 その後、日米の間で1971年6月に調印された沖縄返還協定が、1972年5月15日に発効したことにともなって、尖閣諸島の施政権は日本に返還され、今日にいたっています。

 そもそも、もともと台湾を実効支配していたのは中華民国であり、国共内戦により政権を握った、現在中国本土を支配する中華人民共和国は、 過去台湾を支配したことなど一度もないのです。  したがって、現中国共産党が、台湾の支配地でもなかった「尖閣諸島」を、自分たちに返せなどと言える道理は、そもそもあり得ないのです。(2016.5.20)


尖閣危機の原点はニクソン政権

 1972年の沖縄返還の際、米国は当初、返還する沖縄・南西諸島に尖閣も含まれると公式に表明していました。   ところが、当時の蒋介石台湾総統が、尖閣を沖縄から切り離し、 日本に返還しないようにニクソン大統領に働きかけ、その結果、ニクソン大統領は71年10月、米議会で「尖閣諸島は日本に返還するが、施政権のみである」と説明、 主権については「どの国の主張にも与しない」と表明した、という経緯があります。

 台湾が尖閣に拘ったのは、1969年5月に国連アジア極東経済委員会(ECAFE)が、東シナ海で実施した資源探査の結果を公表した際、尖閣諸島の周辺海域に、 中東油田に匹敵するような膨大な石油資源が埋蔵されている、という可能性を指摘したからだというのが通説です。       尖閣諸島を間近に見る台湾としても、みすみす膨大な石油資源をアッサリ手放す気はなかったのです。

 当時米国は、中国との国交正常化が最優先という立場に置かれていました。  米国は、泥沼化するベトナム戦争からの撤退と、増大するソ連の核兵器に対抗するため、 中華人民共和国(中国)を惹きつけたい思惑がありました。  それには台湾の反発を抑える必要があります。

 そこで、台湾のご機嫌をとる必要もあり、尖閣を日本に返還するなという台湾の要望をむげに断るわけにはいかなかったのです。 その結果、ニクソン大統領は1971年10月、 米議会で「尖閣の主権についてはどの国の主張にも関与しない」と表明してしまったのです。   今の尖閣の領有権問題の原点は、当時の蒋介石台湾総統がニクソン米大統領に陳情した結果である、 というわけです。

 一方、中国は当時無主地であった尖閣諸島に日本が国標を建立した1895年以降、1度も領有権を主張してきませんでしたが、ニクソン声明直後の1971年12月、 尖閣諸島の領有権を主張し始めます。  さらに石油輸入国となった1992年には「中国領海法」を制定、以降中国が管轄する地理的範囲(領土)に尖閣諸島が含まれるとしています。

 西太平洋への軍事的進出を目論む中国は、2012年の日中首脳会談において、当時の温家宝首相が「日本は中国の核心的利益を尊重することが大事だ。 釣魚島(尖閣の中国側呼称)は中国の領土である」と主張。    この発言を機に、中国は海事関係の機関を統合して海警局を設立、2018年には同局を人民解放軍隷下の武装警察に編入、その後、軍事的役割を明確にした「海警法」を施行し、現在に至っているのです。

 2023年6月、シンガポールで開かれた日中防衛相会談の席上、沖縄・尖閣諸島とその周辺海空域において活発化する中国の軍事行動に対し、深刻な懸念と自制を求めた浜田靖一防衛相に向かって、 中国の李尚福国防相が、「日本側が歩み寄り、摩擦や衝突を避けるよう希望する」と発言します。  これに浜田防衛相がなんと答えたかは不明ですが、「歩み寄り」という言葉の意図は、 日本が大人しく中国の主張を認めている限り、武力衝突の懸念は心配ないよ、という脅しでもあるわけで、日本をなめきっているのです。

 中国はズーズーしく「日本が歩み寄れ」と言い張り、堂々と執拗に尖閣周辺の領海侵犯を繰り返しているわけですが、これに対し日本にも一部の政治家や有識者らが国際司法裁判所(ICJ)の活用を主張したことがありましたが、 政府は「尖閣領有権問題存在せず」と頬被りし続けてきました。  外務省も「領土問題は存在しない」という政府の主張の論拠をまとめ、「遺憾に思う」、 「日本が提訴することはあり得ない」、という対応しかしてきませんでした。

 しかし、中国の行動をこのまま座視し続ける限り、尖閣をめぐる日中のせめぎ合いは今後も途方もなく続くということであり、このまま放置していては、 軍事力で日本を凌駕する中国はいずれ必ず武力衝突を仕掛けてきます。    いくら外交オンチ日本でも、この異常事態をいつまでも放置することは許されません。  いまやなんらの具体的対応策を取るべき瀬戸際に立たされています。  主要7か国(G7)との連携も含め、 外交の知恵を発揮する時です。(2023.6.19 YAHOOニュース 引用)


尖閣国有化に踏み切った日本

 さいたま市在住の「尖閣諸島」の地権関係者には、以前から石油関連企業や政治家から、たびたび売却の話が持ち込まれていたといいます。

 ただ、地権者も中国がアジア周辺海域において海洋進出をエスカレートさせ始めたことで、尖閣諸島もいずれ中国の手に渡ることを懸念はしていましたが、 「政府に買い上げてもらいたいが、今の政府は信用できない」、という理由で売却話は全て断っていたといいます。

 その後、地権関係者と30年来の友人である山東昭子参院議員の仲介により、当時東京都知事だった石原慎太郎氏と地権関係者の話し合いの結果、 2012年、都に尖閣諸島の売却を決断します。   愛国者として知られる石原都知事は、 島が中国籍の民間人に転売できないよう、都が尖閣諸島数島の購入を表明し、それを機に日本全国から14億円もの寄付金が集まっています。

 ところが、中国では東京都による尖閣諸島購入の流れに激しい反発の声があがります。   このため当時の民主党政権(野田内閣)は中国側の反発を和らげるため、「平穏かつ安定的な維持管理」を言い訳に、 2012(平成24)年9月12日、それまで私有地であった尖閣諸島の3島(魚釣島、北小島、南小島)の国有化に踏み切ります。

 国連で演説した野田佳彦首相(当時)は、「国際法の重視」と「法の支配」を強調しますが、石原都知事の時代、東京都が正式購入していれば、今の尖閣問題は回避できた可能性があり、 民主党も余計なことをしてくれたものです。

 また、このとき丹羽宇一郎駐中大使は、「購入が実行されれば日中関係に重大な危機をもたらすことになる」、 「(尖閣諸島購入を支持する)日本の国民感情はおかしい、日本は変わった国なんですよ」、 と発言。  丹羽は日本中から猛批判を浴び、その後更迭されています。  オカシナ日本人もいるのです。

 日本政府は尖閣諸島を20億5000万円で購入しましたが、都に集まった多額の寄付金はいまだ利用されず、基金として宙に浮いたままとなっています。(2016.5.20)


「尖閣は日本領」政府が対外発信検討

 いままで日本政府は中国の「尖閣は我が領土」という主張に対し、「遺憾」であると口先だけの抗議を行うだけでしたが、やっと日本も領海問題の重要性を放置しておくわけにはいかないと悟ったか、 昨今は徐々にではありますが日本国内でも「尖閣」、 「竹島」はわが領海である、という情報を活発に発信しようという動きが出てきたようです。

 評論家・石平氏によれば、日本には過去2回、「尖閣解決のチャンス」があったといいます。  1回目は1972(昭和47)年の日中国交正常化交渉のときで、 このとき中国は国際社会で孤立しており国交正常化を急いでいました。

 当時の田中角栄首相と会談した中国首相の周恩来(しゅう・おんらい)は、尖閣問題について「今は話したくない」と言ったが、日本にとっては、あわてて正常化しなければならない理由などなく、 田中首相は「(尖閣諸島への)領有権主張を引っ込めよ。  そうでなければ、正常化交渉はやめる」と、席を蹴って帰ればよかった、としています。

 2回目は1978(昭和53)年、中国の最高権力者、ケ小平(とう・しょうへい)が来日したときで、このときも中国はケ小平が進めていた改革開放政策のために、ノドから手が出るほど、 日本と平和友好条約を結び日本からの政府開発援助(ODA)と先端技術を欲しがった。.....ところが、日本政府はケ小平が打ち出した、 「尖閣問題の棚上げ論」を受け入れてしまった、と指摘します。

 石氏は、「....この問題にケリをつけるチャンスを自ら放棄してしまったのです。  日本政府は国家の根幹である領土問題を軽く見ているといわれても仕方がない。  国際社会の常識からすれば、到底、信じられない行動ですよ。」、 と毅然とした対応を取れない日本政府を批判しています。

 2020年12月、尖閣諸島(沖縄県石垣市)は日本領、と記した19世紀後半の英国製とドイツ製の地図が、日本国内で新たに確認されました。

 この地図は、1887年に「スタンフォード地図店」(英国)が発行した「ロンドン・アトラス」と、 1875年版のドイツ地図発行人のシュティーラー氏による「ハンド・アトラス」です。

 いずれも尖閣諸島の西側、台湾との間に領土・領海の境界を示す国境線の点線が引かれており、 少なくとも「1875年には欧州は尖閣諸島を日本領だと認識していた」ことを示す貴重な地図といえます。

 尖閣諸島については、明治政府が1895年(明治28年)1月、10年間の調査により清国を含むどの国の支配も及んでいないと確認し、沖縄県への領土編入を閣議決定していますが、 それ以前から欧州では、尖閣諸島が日本領であると認識していたことを示しているわけです。

 それに対し中国側は、尖閣諸島(中国名・釣魚島)は1895年4月に締結された日清戦争の講和条約「下関条約」で、台湾とともに日本に割譲されたものであり、それが第二次大戦終結により、 台湾とともに中国に返還されたものである、と主張していました。

 しかし、今回の英国やドイツの地図の出現は、従来の中国側が「尖閣諸島が台湾の付属島だった」、と主張する根拠を根底から覆すもの、といえます。

 今回確認された「ロンドン・アトラス地図」は、当時の大海洋国家であった英国が、周辺国の情報を基にして発行した、当時の領土関係を比較的正確に反映した地図、 であると評価されており、日本政府もこの新たな証拠を対外発信に活用する方向で調整しています。(2020.12.16 THE SANKEI NEWS 引用)


中国に本気で対峙する気になった日本

 2016年3月、日本は尖閣まで約170キロの石垣島に、専用桟橋や宿舎を新設、拠点とし、尖閣対応に特化した約600人からなる尖閣警備専従班を発足させました。    さらに新造した巡視船10隻や、20ミリ機関砲や放水銃を搭載し、外洋でも長期的な継続航行ができ、海が荒れても耐えられる1千トン級の大型船をそろえています。

 2021年2月時点での海上保安庁の態勢は、所属人員は13000人以上、船艇は360隻余りで、そのうち1000トン以上の巡視船は67隻、さらに満載排水量1万トン近くのヘリ搭載型巡視船4隻が配備されています。    ほかにも80機以上の固定翼機およびヘリコプターを装備しています。    しかし、片や中国側海保の大型船は135隻に増えるとみられ、その差は広がる一方です。

 また中国人民解放軍海軍は、2020年までには米海軍の対艦巡航ミサイルの射程以上のミサイルを大量保有し、2030年頃には、米海軍の作戦行動に対抗できる、 主要艦艇415隻態勢という強力な海軍兵力を保有し、恐らくハードウエア面では米海軍と数だけでなく質も肩を並べるだろうと予測されています。

 そうなれば、尖閣諸島の東シナ海や、人工礁を造成し軍事基地化に邁進する南シナ海において中国が主導権を握り、 それに対し周辺各国は太刀打ちできない事態に陥る可能性があるわけです。

 いずれにしても軍事力の拡大とともに凄まじい勢いで領土・領海の拡大を加速させる中国を向こうに回し、これから日本は対峙していかなければならないわけです。

 対抗しうる選択肢は

 などが考えられるわけですが、中国という国は圧倒的優位に立つとなにを仕出かすか分からない横暴な国家です。    ナントカに刃物と言いますが、武力を笠に着る無法国家が相手では、一歩間違えば"長崎事件"のような事態が再び起こりかねません。      戦争という最悪のシナリオに至る時代が来ることのないよう願いたいものです。(2017.5.1)


  

南西防衛強化は空自戦闘機部隊の常駐が不可欠

 航空作戦は「地上では分散、上空で集中」が鉄則とされます。  2021年11月、航空自衛隊が尖閣諸島(沖縄県石垣市)など南西諸島での中国との有事をにらみ、 離島の空港で戦闘機や輸送機が有事に離着陸できるよう、運用を支援する部隊として「飛行場群」を編成することを検討していることが分かりました。

 現状では沖縄県で空自の戦闘機などの運用拠点となっているのは那覇空港だけであり、中国軍は尖閣と宮古・石垣両島を1つの戦域と捉えているため、 尖閣侵攻で宮古・石垣両島にも同時侵攻してくる恐れが強く、万が一那覇空港の滑走路が中国のミサイルによる攻撃で破壊されれば、南西諸島周辺での戦闘機などの運用拠点が失われてしまいます。

 那覇の戦闘機が奇襲攻撃で壊滅すれば、南西諸島での航空優勢の確保は難しくなり、そうなれば離島に輸送機も展開できず、住民を避難させることもできません。  そのため、 平素は民間航空機だけが運航している離島の空港に空自戦闘機部隊の拠点を増やし、 有事には待機中の戦闘機がミサイル攻撃で壊滅するリスクを減らすとともに、戦闘機を展開させ輸送機も送り込んで住民避難に充てる態勢を整える検討に入ったというわけです。

 運用拠点の拡充は沖縄県の離島にある空港を那覇空港の代替拠点として活用する構想の一環でもあり、下地島空港(宮古島市)は3千メートルの滑走路が設置され、F35B以外の戦闘機も離着陸が可能です。      下地島空港への戦闘機常駐は待ったなしの課題です。(2021.11.7 THE SANKEI NEWS 引用)


日本の国有化に猛反発する中国

 この日本国有化に激しく反発してきたのは中国です。  実は中国は1970(昭和45)年に沖縄が日本に返還されることが決まってからというもの、アジアの覇者としての地位を築くため 「まず尖閣諸島を自国領とし、いずれ沖縄まで手に入れようと虎視眈々(たんたん)と機会を窺い」、頻繁に日本海周辺海域に進出していたのです。

1992(平成4)年には「領海法(*1)」を制定して一方的に尖閣諸島を中国領とした挙句、1998(平成10)年には 「大陸棚法(*2)」を成立させています。

 すなわち、中国国内で勝手に、「尖閣諸島は中国の領土」と法的に定められた、という由々しき事態だったのです。     これに対し当然日本は強く抗議しなければならないはずが、相変わらずの弱腰外交で、1992年4月に江沢民総書記が訪日した際、 宮澤総理が善処を求めることはあったようですが、なんら有効な対抗策は行いませんでした。

 当時中国は、1989年6月4日に起きた天安門事件で西側諸国からの厳しい経済制裁を受けており、打開策として日本の天皇陛下に訪中してもらい、西側諸国を安心させようと目論んでいました。     日本の世論も「天皇陛下の政治利用」のほうに関心が移ってしまい、「領海法」というものがどれほど危険な状況を日本にもたらし国益を損ねるか、 という部分から目をそらされてしまった、という背景もあったとはされていますが............

 2010(平成22)年9月7日には、尖閣諸島周辺で中国漁船が日本の巡視船に衝突し、 漁船の船長が公務執行妨害で逮捕された事件が勃発します。   ところが、 当時は民主党政権だったためまともな対応が取れず、 処分保留で漁船を解放するという、逃げ腰のお粗末な対応を取ります。

 それが発端となり、一触即発の時を待っていた中国各地で反日暴動が起き、日系企業が襲撃される事件が相次ぎます。  菅直人元首相が腰砕けの処理でお茶をにごした結果、 今では尖閣諸島に中国公船が我が物顔で侵入を繰り返すのが日常となっています。   菅は尖閣諸島問題に歯止めをかけるどころか、中国の領海侵犯を容認した張本人なのです。

 重要なのは、この事件は尖閣諸島が国有化される前の出来事であって、決して中国が国有化を契機に反日となり尖閣周辺の日本領海に侵入するようになった、 ということではありません。   ここをよく理解しておかないと、反日ジャーナリストたちの日本悪玉論に納得してしまいますから注意が必要です。(2016.5.20)


  

尖閣問題におけるアメリカの立場

 サンフランシスコ平和条約2条で、日本は韓国の独立を承認し、済州島・巨文島および鬱陵島台湾および澎湖諸島千島列島並びに樺太の一部およびこれに近接する諸島、 国際連盟の委任統治制度に基づき統治していた太平洋諸島、新南群島(現在の南沙諸島)および西沙群島などの領土を放棄する、ということが定められました。

 しかし、この条項には、もともと日本固有の領土だった「尖閣諸島」、「北方領土」、「竹島」、は含まれていません。   したがって、日本の主張は、 北方領土、竹島、尖閣諸島は変わらず日本の領土である、としています。   これに対し、ロシア・韓国・中国などは条約に含まれるとしているのです。

 米国議会は、尖閣諸島(や竹島)の主権は日本領のまま、としています。   一般的に国際外交界では、 「政治的発言」よりも「条約」が優先するとされます。   米国政府がサンフランシスコ平和条約に調印して、米国議会が批准(国会で承認)している以上、 米政権の行政府としての、政治的判断や政治的発言がどのようなものであっても、米国議会によって条約の更改や廃止、破棄などの決議がされない限り、あくまでもサンフランシスコ平和条約2条に帰結する、 という法解釈なのです。

 1972年2月に訪中に踏み切ったニクソン政権は、歴史的和解を進める中国と、同盟国日本のどちらにつくのかと踏み絵を迫られないようにするため、 「安保条約の適用対象」と断定的に答えるのではなく、「適用対象と解釈され得る」、 と第三者的に説明するように政府高官に指示していました。

 1996年以降、米国は尖閣諸島は「領土権係争地」と認定しています。  ただし、 「日中間に領土権の主張において争いがある。」という事実認定であって、米国としての主権に関する認定ではない、という立場です。    その一方で、日本の施政下にある尖閣諸島が武力攻撃を受けた場合は、日米安保条約5条の適用の対象にはなる、と言明しています。

 2004年3月、ブッシュ政権のエアリー国務省副報道官が、「安保条約5条の適用」に加え、「従って安保条約は尖閣諸島に適用される」と発言し、 それが今でも米政府関係者から繰り返されています。

 2009年3月、オバマ政権は、「尖閣諸島は沖縄返還以来、日本政府の施政下にある。 日米安保条約は日本の施政下にある領域に適用される」、 とする見解を日本政府に伝えています。    ただし、ブッシュ政権もオバマ政権も、尖閣諸島の主権が日本にあることを明言せず、米国政府として「領土権の主張の争いには関与しない」、という立場は貫いています。

 要するに、アメリカ政府の「政治的発言」としては、尖閣諸島に対する日本の「施政権」を認めているが、尖閣諸島の領有権(主権)については、当事者間の平和的な解決を期待するとして、 領土権の主張の争いには関与しないという立場をとり、「主権」について明確にすることは避け、お茶を濁しているのです。

 一方で、もし米国大統領が、「尖閣諸島の主権は日本にはない」などと主張すれば、それは米国議会が批准した条約、条文を、行政府が国会承認の手続を経ず恣意的に変更する、 ということで明白な越権行為となり、米国憲法違反になるわけです。

 2010年9月に起こった尖閣諸島中国漁船衝突事件の際、ヒラリー・クリントン国務長官は、日本の前原誠司外務大臣との日米外相会談で、 「尖閣諸島は日米安全保障条約第5条の適用対象範囲内である」との認識を示しています。

 ロバート・ゲーツ国防長官は、「日米同盟における責任を果たす」、「同盟国としての責任を十分果たすとし、マイケル・マレン統合参謀本部議長は、 「同盟国である日本を強力に支援する」と表明しています。(2021.4.4 Wikipedia参考)


  

尖閣諸島の領有権を突然言い出してきた中国

 日本政府はもともと「無主の地」だった尖閣諸島を正当な手段で領有したわけです。  ところが、それまで尖閣諸島の領有権に無関心で、 国内地図でも尖閣諸島は日本領としていた中国が、1971年以降から突然領有権を主張し始めるのです。

 中国が突然領有権を主張してきた背景には、1969年(昭和44年)の尖閣諸島周辺調査報告書で、周辺に石油天然ガスの海底資源が豊富に存在することが判明したことがあります。

 この周辺調査は、日本政府総理府の委託により、東海大学海洋学部を主体とし、石油開発公団、琉球政府、琉球大学等が参加した調査団により行われ、尖閣諸島北西から東部に渡る東シナ海大陸棚上で、 海底地形調査、採泥およびサンプル分析による底質調査、岩石採集を実施したものです。

 この調査により、尖閣諸島周辺が海底資源の宝庫(実際はそれほどではないとか)であることを知った中国や台湾が、 1971年以降後出しジャンケンで、「尖閣は我が領土」、と領有権を主張し始め、ウソ八百を並べ立て、日本に認めさせようと足掻いているのです。

 この戦後最大の危機的状況ともいえる領土問題に対し、 日本政府は相変わらずの弱腰ぶりで様子見を決め込み、一切目立った対抗策を打ち出すことはできずにいます。    野党も中国の横暴ぶりは見て見ぬふりで、どうでもいい国内問題に執着し、 国会は子供のケンカのような議論で明け暮れ、 マスコミは一言も中国の領海侵入を非難する記事は出しません。

 その間、中国は得意のサラミ戦術で、虎視眈々と武力による領有の時を伺っており、1992年には、 自ら制定した「領海および接続水域法」で、尖閣諸島(沖縄県石垣市)を自国領土と位置づけ、 武器を搭載した自国の艦船を尖閣周辺に張り付かせ、領海侵入を繰り返しています。

 付近を警戒警備する海上保安庁の巡視船は、中国の軍事的脅威に直面する事態となっています。  それなのに、 日本政府は余りにも目に余る弱腰外交を続けているのです。   日本は「完全に平和ボケ」の国なのです。(2016.5.20)


中国の言い分とウソ

 中国側の歴史認識では、尖閣諸島は日本が日清戦争の最中に侵奪したものだ、と韓国側と共通する過去の歴史を口実にする論理で自国領としていますが、 拓殖大教授・下條正男氏は、『歴史的に中国の領土であった事実はない』、と断言しています。

 その根拠として氏は、「......産経新聞に依頼して2010年11月、尖閣諸島が歴史的に中国領ではなかったことを示す文献を公表した。    それが官撰の『大清一統志』である。 清朝時代に編纂(へんさん)された『大清一統志』では、台湾府の北限を【鶏籠(ジーロン・現在の基隆)】としており、 そこから170キロも離れた尖閣諸島は当然、中国領ではないからだ。」と根拠を示されています。

 さらに、「.....そのあとも『正論』などを通じ、『尖閣諸島が明代から中国領であった』とする中国側の主張の誤りをただした。  明代に編纂された『大明一統志』では、澎湖(ほうこ)諸島を琉球国の属領とし、台湾(高華嶼)を【外夷(がいい)伝】に入れているからだ。」 とも指摘されています。

 下條氏によれば、「....中国側はこれまで、『日清戦争の結果、台湾が日本に割譲された際に、その付属島嶼である尖閣諸島も一緒に割譲されていた』としてきたが、 台湾省には、最初から尖閣諸島は含まれていなかった。」としています。

 そもそも、中国は今になって「尖閣諸島」は我が領土と主張しますが、1958年や1966年に発行された北京市地図出版社の中国全図には、尖閣諸島は中国領の外に記載されています。     ちなみに、 日本では「尖閣諸島」の中で最大の島を魚釣島(うおつりじま )と呼んでいますが、中国では「尖閣諸島」を"釣魚島(ちょうぎょとう) およびその付属島嶼"としています。

 中国の外相は、日本の外相に「歴史を直視」するよう大言壮語しましたが、氏に言わせれば「......中国はこの『歴史を直視』することがない限り、 かつての歴代王朝がそうだったように、周辺諸国から嫌われ者にされてしまうのである。」そうで、 現に最近(2016年)では日本人で中国に好感を持つ人の割合はかなり低く、嫌いとする割合がかつてないほど高まっているようです。

 現在、東シナ海では中国船が「釣魚臺列嶼中国領土」(尖閣諸島は中国領土)と刻まれた石碑を、尖閣近くの海域に何本も沈めているとされます。   南シナ海の島礁においても、わざわざ古い貨幣を地中に埋めたり、 海中に古石碑を沈めていたことが判明しているそうで、いずれそれを掘り返し「やっぱり中国の土地だ」と言い張ることは明白ですから要注意です。(2016.5.21)


否定された中国の「釣魚台が尖閣諸島」

 中国側は尖閣諸島は自国のものである根拠として、「尖閣諸島(釣魚台)が歴史上、台湾に付属していた」、という歴史資料を持ち出し、 尖閣諸島を示す台湾東部の台湾名、「釣魚台」こそ、尖閣諸島である、と主張してきました。

 これは、1722年に清代の役人が記した台湾の地理書「台海使槎録(たいかいしさろく)」に、「山後(台湾東部)は大洋なり、 北に山有り、釣魚台と名付けらる、大船十余を泊すべし」、と記載された内容を根拠にしているとされます。

 中国はこの記載を基に、この「釣魚台」こそ、尖閣諸島を指すと言い張り、したがって「歴史的に尖閣諸島は中国の領土」である、と主張しているわけです。    しかし、その後になり、中国の主張を否定する歴史資料が見つかります。

 2017年、長崎純心大学の石井望准教授(漢文学)が、1970年に台湾政府が発行した台湾の公式文書、「台湾省通志」の存在を発表したのです。    この公式の地理書「台湾省通志」によれば、その昔、清代の役人が記した台海使槎録に「釣魚台」と記載されていた場所は、 「台湾東南部の台東県の島である」、と書かれているといいます。

 つまり、台海使槎録に台湾の北に位置する島が釣魚台と名付けらていたと記載されている島は、 「台湾省通志」によれば、「釣魚台の場所は台湾東南部にある台東県の島」であるとハッキリ記載されているのです。   この資料により、 釣魚台が台湾からはるか遠く離れている尖閣諸島であるはずはない、ということが明らかにされたわけです。

 石井氏は、この台湾省通志の内容は、「中国の主張を完璧に覆し、国際法だけでなく、歴史的にも尖閣諸島は日本の領土だという日本側の主張を補強するものだ」としています。(2021.2.5)


海上保安庁巡視船と中国漁船の衝突事件

 民主党政権時代の2010年(平成22年)9月、尖閣諸島の領海内で海上保安庁巡視船と中国漁船の衝突事件が発生します。   しかし、中国を恐れる菅政権は、 なんの処罰も行わず処分保留で漁船を解放するという、腰砕けの処理でお茶をにごした結果、いまの東シナ海に中国船が大挙して押しかける事態を招きます。

 そのとき、当時の菅首相はかなり強い口調で、『船長を釈放しろ』とわめきたてたといいます。  この時、当時の国土交通相だった前原誠司衆院議員が、『なぜですか』と聞いたら、 『(11月に)横浜市であるAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議に胡錦濤(中国国家主席)が来なくなる』と言われたそうです。

 前原氏が、『胡錦濤が来なくてもいいじゃないですか。  中国の国益を損なうだけだ』と言うと、『オレがAPECの議長だ。 言う通りにしろ』、と釈放を強く指示したといいます。

 漁船船長の釈放時は外相だった前原氏は、後にこのことを振り返り、「...官邸の一貫性がなかったのが最大の問題だった。 逮捕相当との意見を上げ、 そして逮捕を決めたのは官邸だ。 その主が釈放しろと言ってきた。 そのつじつまを合わせるために泥をかぶったのが仙谷氏だった」、と述懐しています。

 国益などそっちのけで、単に中国を刺激したくないという考えしか持たない、菅直人元首相という愚かで軟弱な指導者が、なんの処罰も行わず処分保留で漁船を解放するという、腰砕けの処理でお茶をにごした結果、 現在では東シナ海に武器を搭載した中国海警局の船が大挙して押しかけ、隙あらば尖閣を我が物にしようと、連日虎視眈々と日本側の隙をうかがっている状況が続いているのです。(2020.5.20)


 

中国を恐れた旧民主党政権

 河野克俊前統合幕僚長は、旧民主党時代、尖閣諸島(沖縄県石垣市)の周辺海域に中国海軍の艦艇が接近した場合は、 「海上自衛隊の護衛艦は『相手を刺激しないように見えないところにいろ』と(官邸に)いわれた」、と明かしました。

 野田政権が平成24年9月に尖閣諸島を国有化した当時、日中の緊張関係が高まっており、中国側に配慮した措置とみられますが、あまりにも弱腰すぎたのです。    旧民主党という政治家集団はまさに亡国の政権だったわけです。

 安倍晋三政権になってからは、『何をやっているのか。 とにかく見えるところまで出せ』といわれ方針転換したとされますが、旧民主党が弱腰姿勢を見せた為、今では尖閣諸島周辺の領海外側にある接続水域において、 中国海警局の船が連日居座る状況を招いてしまったのです。

 しかも中国海警局の船は大型化しており、海上保安庁の巡視船が確認したところ機関砲のようなものまで搭載しているといいますから、いずれ尖閣周辺において一触即発の事態から、 武力行使へとエスカレートしていく恐れがますます高まっています。

 旧民主党は一旦解党の憂き目に会い、 消滅寸前のところまでいきましたが、いまは立憲民主党などという党名に代わり少しずつ勢力を拡大しています。  二度とこのような政権をのさばらせてはなりません。(2020.11.17)


中国が「海警法」を施行

 中国の領海侵入はますますエスカレートしていきます。   習近平政権になって2010年代に入ってからは、尖閣周辺に限らず青森や九州周辺の日本領海でさえも、 中国公船による傍若無人の領海荒らしが、ますます強まっています。    今では中国の武装公船が頻繁に日本領海の尖閣周辺に侵入するのが常態化しているのです。

 まるでヤクザが立ち退きを迫る相手に対し、執拗に嫌がらせを続け、 相手が根負けして出ていかざるを得ない状況を作っているのです。  今では、頻繁に領海内に侵入し、日本漁船を追い回すという一触即発の状況となっており、 いつ軍事衝突という事態が起こるか、時間の問題となっています。

 2021年1月には、中国が管轄する海域に違法に入った外国の船舶に対し、強制的に排除したり、差し押さえたりする権限を盛り込んだうえで、 停船命令や立ち入り検査に従わない場合は武器の使用を認める「海警法」を制定します。

 2021年2月1日、中国は違法に領海などに入った外国の船舶が停船命令などに従わない場合、武器の使用を認める、 いわゆる「海警法」の施行を決めました。  これにより、 中国が領有権を主張する尖閣諸島周辺で操業する日本漁船だけでなく、海上保安庁の巡視船も攻撃対象とされる恐れがでてきたのです。

 2021年2月8日、中国外務省の汪文斌副報道局長は、定例記者会見で、沖縄県・尖閣諸島周辺の日本領海に中国海警局の船が相次ぎ侵入したことに関し、尖閣は「中国固有の領土だ」、 と述べました。  いまや中国は「尖閣諸島は我が領土」と堂々と公言しているのです。  いつ中国が尖閣諸島に侵攻してくるか、秒読み状態となっており、 まさに一緒即発の緊張状態にあるのです。

(2021.2.9)


尖閣上陸阻止で「危害射撃」可能

 2021年2月25日、日本政府は中国公船などを念頭に、外国公船が尖閣諸島に接近し、不法上陸する可能性が高いと判断した場合、凶悪犯罪と認定して危害射撃ができる、との認識を示します。

 これは自民党側が、中国海警局が尖閣周辺で、領海侵入や日本漁船への接近・追尾を繰り返していることを踏まえ、中国が施行した海警局の武器使用規定を明文化した「海警法」への対抗策が必要との声が出ており、政府に見解を確認したものです。

 海保が武器を使用する場合は、警察官職務執行法が準用され、相手に危害を加える「危害射撃」については、正当防衛、緊急避難のほか、懲役3年以上相当の凶悪犯罪に対応する場合は可能とされています。

 政府はまた、尖閣周辺などで、中国公船が海保巡視船や日本漁船の乗組員を連行した場合、海上保安庁法18条の「人の生命や身体に危険が及ぶ場合」にあたるため、行為の制止が可能との認識も示します。

 さらに、中国公船がドローンを飛ばした場合は、海上自衛隊が領空侵犯の恐れがあるとして対処するとしています。(2021.2.26 msnニュース引用)


秒読み段階となりつつある中国の尖閣上陸

 得意の 「サラミ戦術」で徐々に尖閣上陸のチャンスを窺い、包囲網をせばめつつある中国。  このまま日本が中途半端な対応をしている限り、いずれ中国は最後の一線を超えて、尖閣上陸は確実視されています。

 これまで中国漁船がチョロチョロ出てくるだけだったものが、海警局が姿を見せ始め、そして今では常時滞在し、日本の漁船を追い出す、というところまで事態が進んでしまっています。

 次の段階は尖閣上陸のはずです。  一旦占拠されれば、武力を使ってでも取り返すという決断は、前安倍首相以外の指導者で決断できるリーダーはいません。  日本政府はただ指をくわえ、 抗議するだけでお茶を濁すだけなのは確実なのです。

 今はもうそのギリギリのラインまで来ています。  漁民だけでなく海保職員の命も、危険に晒されています。(2021.2.26 msnニュース引用)


エスカレートする陣取り合戦

 世界中がコロナ禍の対応でテンヤワンヤの2020年5月。   尖閣諸島周辺の領海に侵入した中国海警局の船が日本漁船を追尾した問題で、中国外務省の報道官は海上保安庁の巡視船が現場で漁船の安全を確保したことについて「違法な妨害を行った」と非難。     「日本は釣魚島(尖閣諸島の中国側名称)の問題において新たな騒ぎを起こさないよう希望する」と述べて責任を日本側に転嫁します。

 中国お得意の「サラミ・スライス戦略」をエスカレートさせているわけですが、それにしても日本の領海において、 「中国の領海で違法操業」している日本漁船を発見した中国海警局の船が「法に基づいて追尾・監視」したと堂々と主張し、 「釣魚島の海域を巡航することは中国側の固有の権利だ」と強調するのですから、この国のやり方はミエミエでかつ無茶苦茶です。

 経済発展を背景にますます強大化する中国は時代錯誤の侵略国家であり、横暴さをムキ出しに覇権主義的・帝国主義的拡張戦略を推し進め、 中国周辺のチベット、ウイグルなども自国領と称し、軍事侵攻して住民を虐殺支配するなど、少数民族に対する苛烈な弾圧を繰り返しています。

 習近平は独裁軍事政権だった毛沢東路線へ回帰するかのような、人民の自由と人権を抑圧する極端な独裁体制を強め、まさに21世紀のヒットラーのような拡張主義をむき出しにして、 アジアと世界全体にとっての脅威となっています。   その一角の尖閣諸島のにらみ合いが今後どんな決着を見せるのか、また安倍首相以降の日本の指導者がどこまで中国の侵略に立ちはだかるか、 気がかりではあります。(2020.5.12)


中国の「サラミ・スライス戦略」

 中国は尖閣諸島周辺に自国権益を確保しようと、執拗に海域に艦船を派遣し日本を挑発する行為をエスカレートさせています。     いずれ既成事実を積み上げた挙句、場合によっては実力行使してくる可能性が高く、 この現状を外交的に早急に解決しなければ武力衝突の事態も危惧されています。

 しかし、毎度のことながら中国のやり方はミゴトで、ケンカのやり方を知り抜いています。   最初は理不尽で無法な因縁、いいかがりを勝手につけ、 相手がそれを無視したら周りをウロツキ、絡み、脅して相手の注意を引き、自分たちを無視できなくするよう追い込む。

 もともと根拠もへったくれもない無法な因縁だったものが、やがて気がつくといつまにか当事者同士の共通懸案事項として成立していて、 とうとう取引せざるを得ない立場に追い込まれる、というヤクザも驚くパターンになりつつあります。   このままでは日本はいずれある程度は中国の言い分を聞かざるを得なくなり、多少の譲歩は避けられないでしょう。   マコトにお見事なケンカっぷりではあります。

 世の中には「サラミ・スライス戦略」というものがあるそうです。    敵対する勢力を殲滅または懐柔によって少しずつ滅ぼしていく分割統治の手法だそうですが、 中国はまさにこれを今やっているわけです。

 無法な領海侵犯を繰り返す戦術により少しずつ既成事実を積み上げ、いずれ相手が根負けしたとき当事者同士の共通懸案事項として遡上に載せる、 というヤクザ顔負けのゴロツキ戦術によって、いずれ尖閣諸島を含む東シナ海を分割統治する戦略を着々としかも強引に推し進めているのです。

 日本側も中国の横暴に手を拱いているわけではないのですが、経済力を背景に力と数に物を言わせ向かってくる相手に次第に圧倒されつつあります。      繰り返される中国の領海侵入に現場では海上保安庁が体を張って頑張っていますが多勢に無勢のうえ、何を仕出かすか分からない相手だけに、 かなりの緊張を日々強いられているのです。(2016.5.20)


いつ日中衝突が起きてもおかしくない尖閣諸島

 中国はいずれは世界を二分する覇者の一方となるべく、アジア全域を我が物にしようと東シナ海や南シナ海に着々と勢力を拡大しています。      特に日本近海に関しては、尖閣はじめ中国寄りの日本海海域は全て自国の領海にせんものと虎視眈々とその機会を窺っているのです。

初めは警備局の艦船を日本領海に隣接する接続水域に入り込ませ、次ぎは軍艦を日本の領海に短時間侵入させる、 という風に徐々行動をエスカレートさせつつ日本側がどう対応するか試しているわけです。

   

尖閣諸島や日本領土に対する中国の進出と日本側の動き
年  月  日
2019年11月 海上保安庁の航空機が中国海軍の艦船から「中国の領空を侵犯している」と警告を受け、空域からの退去を求められる。 尖閣の領有権を主張する中国側が、海上から日本の公用機に向かって領空主権を主張するのは初めてとみられる。 日本側は現場や外交ルートで 「中国の一方的な主張で受け入れられない」などと抗議。
領空は、国際ルールで無害通航権が認められている領海と異なり、当該国の許可がない侵入を不法行為とみなし、戦闘機を緊急発進(スクランブル)させるなど厳密な措置が取られる。 中国は尖閣の領有権を主張しているが、日本の公用機を空域から排除する姿勢を明確に示すのは極めて特異な動向といえる。
2018年1月11日 尖閣諸島周辺の接続水域内に中国海軍艦艇が入ったことについて、「釣魚島(尖閣諸島の中国名)は中国固有の領土だと接続水域航行を正当化。   中国国防省は、「自衛隊が先に接続水域に入った」として、中国海軍のフリゲート艦が追跡し監視活動を行ったと説明した。 当然日本側は「自衛隊の艦船が接続水域に入って何が悪い」と中国側の主張に反論した。
2017年12月 米国の安全保障研究機関「ランド研究所」は、尖閣諸島をめぐる中国と日本の軍事衝突がいつ起きてもおかしくない危険性を指摘した。   さらに同報告書は、米軍もその事態に備える必要があることを勧告していた。
2016年6月中旬 東シナ海の(中国の)防空識別圏をスクランブルをかけた空自機に対し機首を向け、正面から向き合うミサイルを撃てる攻撃動作体勢をとった。 空自機は不測の事態を避けるため同空域からの離脱を図ったが、中国機はこれを追尾。空自機は敵機のレーダー誘導ミサイルなどを撹(かく)乱(らん)する装置を噴射しながら危機を脱した。 従来、空自と中国空軍の間には「北緯××度」という暗黙の了解ラインがあり中国機はそのまで来るときびすを返すように北上し、空自機と遭遇することはなかったが中国機はその一線を初めて越えてきた。
2016年6月15日 中国海軍の情報収集艦1隻が午前3時過ぎ鹿児島県沖の領海に入り5時過ぎ出て行く。 中国側は、国際法で認められている無害通航の認識を示しているという。政府は無害通航だったかどうかの分析を進めている。外務省は同日、在日中国大使館に「懸念」を伝えた。
2016年6月9日 中国海軍艦「ジャンカイI級フリゲート艦」が初めて尖閣諸島周辺の日本領海に隣接する接続水域に姿を現す。 中国国防省報道局は「中国の軍艦が自国の管轄海域を航行することは合法であり、他国がとやかくいう権利はない」と発言。
2014年2月17日 尖閣諸島沖で日本の領海に侵入した中国海警局所属の「海警」3隻は、領海を約3時間航行した。中国公船の領海侵入は今年に入って4回目。
2013年末〜日 中国のある船主が日本近海で大量の赤サンゴを密漁し、これを日本円にして約39億円で売り抜けたという話が広まる。 2014年10月末には小笠原諸島と伊豆諸島周辺の日本の領海と排他的経済水域(EEZ)で、中華人民共和国の漁船によりサンゴが大規模に密漁され、 これまでで最多となる212隻確認されるも日本側は有効な対策が打てない。 ただ週刊文春によれば海上保安庁の特殊警備隊が出動して刃物を振り回して抵抗する中国人船長を銃器で制圧して逮捕した事例もあったとか。
2012年9月11日 それまで私有地であった尖閣諸島の3島(魚釣島、北小島、南小島)が、日本政府に20億5000万円で購入され国有化された。
2010年9月7日 尖閣諸島付近で日本領海を侵犯して操業中の中国漁船が海上保安庁の巡視船2隻に体当。 海保は乗組員を逮捕し悪質な船長だけを起訴した。 すると中国は報復として「尖閣諸島は中国固有の領土だ」という方便で抗議し日本人会社員4人を人質状態に置いた。 民主党の菅直人政権は、那覇地検が船長を処分保留のまま釈放したことを容認し、中国の圧力に屈するという悪例をつくってしまう。
2004年11月10日 中国人民解放軍海軍の漢型原子力潜水艦が石垣島周辺海域を領海侵犯。   日本政府は海上自衛隊創設以来2度目となる海上警備行動を発令した。
1998年 「大陸棚法」を成立させ南西諸島の西北にある沖縄トラフまで支配権が及んでいると主張。
1992年 「領海法」を制定して尖閣諸島を中国の領土と規定する。



「相互主義」

 2018年1月11日、日本政府は「宮古島や尖閣諸島周辺の接続水域を全没潜水艦と中国フリゲート艦が通過」と発表しました。  金沢工業大学、虎ノ門大学教授・伊藤俊幸氏によれば、 接続水域とは領海の外側にある「国際水域」とされ、「領海の外縁にあり、基線から24カイリの範囲で沿岸国が設定する水域」、とされます。

 この接続水域を通過するだけなら、外国船舶は、軍艦か商船かにかかわらず沿岸国への通告も許可も必要なく、 たとえ外国海軍の潜水艦であっても全没状態での通航が許され「航行は自由」となっているのだとか。

 実は陸地側の基線から沖合12カイリまでの海域、いわゆる領海内においても、軍艦を含む外国の船舶は「沿岸国の平和、秩序または安全を害さない」限り「無害」とされています。    これを無害通航権といい、この権利は領海通過において用いられる用語で、「接続水域を無害通航」というのは間違いなわけです。

 国際法では、たとえ外国の軍艦、潜水艦が領海内を通過しようとも、「安全を害さない」限り、無害通航権により「航行の自由」が確保されているので通航できる、というわけです。

 ところが、中国は1992年の領海法において外国の軍艦に対しては、領海内通航について「事前許可」を義務付けました。   軍艦の無害通航権を否定し、違反行為に対しては軍が追跡できる権限を付与したわけです。     ちなみにこの領海法こそが台湾、尖閣諸島、南シナ海の島々を領土と規定した法律とされます。

 さらに、「接続水域」も含めた沿岸国から200カイリの排他的経済水域や大陸棚を「海洋国土」と称し、「国家が管理すべき領域」と捉え、「外国軍艦が立ち入る際には届け出よ」と、 「事前通告制度」を主張しています。

 接続水域入域を理由として、外国軍艦の行動を制限しようとする国は中国だけであり、自由主義陣営とは異なった真に自分勝手な言い分ではありますが、この国連海洋法条約の手前勝手な理解が、 中国は「航行の自由」に挑戦する国家、と捉えられるゆえんです。

 伊藤氏は、『今こそ中国には「相互主義」の適応を宣言すべきである。 もちろん中国以外の国に対しては何もする必要はない』、と主張します。   「相互主義」とは「2国間で相手国内で認められた権利を自国内でも認める」考え方で、日本政府も中国に対して領海内では「事前許可」を、接続水域や排他的経済水域では「事前通告」を求めよ、ということです。

 『日本の国有化宣言以降、中国は、尖閣諸島周辺海域に中国海警局の政府公船「海警」を遊弋(ゆうよく)させ、時には領海侵入さえしている。  これは「この家は自分のものだ」と主張する他人が、 家の前の道を頻繁に徘徊し、時々庭に入ってくる状態だといえる。  他人が公道を歩くことは違法ではないが、この徘徊者が武器を持って公道を歩きだし、 いずれは武器を持ったまま庭に入ってくるかもしれないと考えると、今回の中国の潜水艦と艦艇の行動を黙って見過ごすことはできない。』、と伊藤氏は元海上自衛隊潜水艦艦長らしく、 極めて真っ当に日本政府の対応を示唆しています。(2018.1.19)


国有化は遅すぎた決断

 丹羽宇一郎駐中大使は、2012年5月4日習近平国家副主席との会談に同席したおりに、「(尖閣諸島購入を支持する)日本の国民感情はおかしい、日本は変わった国なんですよ」と発言していたことが判明。

丹羽氏はこの件で与野党やメディアから批判を浴び、その後更迭されています。   こういう考えの日本人も存在するから領土問題はややこやしい展開になるわけです。

 丹羽氏に似たような考えの人もいるようで、内部告発サイト「ウィキリークス」が暴露したヒラリー氏のメールに、 "尖閣諸島に関する興味深いメール"があった、という記事がありました。

その中で、〈ヒラリー・クリントンは、「"尖閣諸島をめぐる混乱"は中央政府に行動を強いた日本の国粋主義者のせいで起きた」と語った〉.........としたうえで、続けて

「しかし、(日本では)国粋主義的な圧力が強まっていて、日本全体の方向性を決める役割とは程遠い立場の知事、市長の中にも、国粋主義的なリーダーがいます。
"尖閣をめぐる混乱"の原因は、尖閣諸島が個人所有だったこと、そして、東京都知事が尖閣諸島を購入しようとして、直接的に中国を挑発したことです。    それまで日中両政府は(尖閣について)互いに何もせず、関心を払わないことになっていました............ そのため、日本の前政府(野田政権)は、『なんてことだ。都に購入させてはならないから、日本政府として尖閣を購入すべきだ』と決断するに至ったのです」......... というヒラリー氏の発言を紹介しています。

 外交政策を担う米国務長官を退任した直後のヒラリー・クリントンが非公開講演で発言した内容は、事実にもとづいたごく真っ当なものであり、 これは米国政府や国際社会の共通認識でもあったのだ...........

という主旨のようで、だから日本は中国に逆らわず尖閣諸島は自分のものだなどと我儘は言わず、「日本が勝手に領土問題解決など考えるから問題になるのだ。     おとなしくアメリカ、中国のいうとおりにしていればいい」、というのがこの書き手の言いたいことのようではあります。

 しかし、現実は中国が一方的に尖閣諸島を中国領と制定し、日本近海でますますエスカレートする中国側の横暴に対して、 日本政府は自国の領海を守るため「国際法の重視」と「法の支配」を目的に 尖閣諸島を日本人の個人から買い取り国有化としたのであって、 なにも米国や国際社会の顔色をうかがって決めなければならない事柄ではなかったはずです。

 もともと日本国民の所有地だった尖閣諸島を、東京都が購入することがどうして「直接的に中国を挑発する」ことになるのか、そもそも中国は以前から尖閣諸島は自分のものであると主張しており、 とっくに中国は日本を挑発しているのですが................

いずれにしろ、棚上げにしたままでは必ずいつか中国が手を出してくるのは 明白であり、それを防ぐために事前に日本が手を打った、 という単純な話であって中国に遠慮しなければならない理由などありません。   むしろ国有化は遅すぎた決断でした。


日本悪玉論ありき、のトンデモ意見

 いくらヒラリー氏が、「(尖閣について)関心を払わないことになっていた.....」と言おうが、現実には中国が「重大な関心をもって」 1992年には尖閣諸島は自国のものであるという「領海法」なるものを制定し、国有化されるずっと以前の2008年12月頃から、尖閣周辺の日本領海内や日中接続水域などに監視船を派遣し始め、 2010年9月には日本の海上保安庁の巡視船に漁船で体当たりしてくるなど、 尖閣周辺海域での中国側の挑発行為はどんどんエスカレートしていったのは事実であり、ヒラリー氏の発言には同調できません。

 むしろ、国有化を待っていたかのように中国公船は日本領海での侵犯行為を増大させ、自衛隊とにらみ合い平気でレーザー照射を繰り返し、いずれ中国は軍艦まで派遣してくるとも言われており、 このような一触即発の無法行為を散々やらかしている中国のやり方について、この記事の書き手は日本人としてどう捉えているのでしょうか.........

いずれにしろ、ここでは、

(1)・中国に対してタカ派の石原都知事らの尽力で個人所有者が東京都に尖閣諸島売却を決めた。
(2)・当時は民主党政権だったが野田首相は東京都が尖閣を購入するよりも反発は少ないと判断し国有化に踏み切った。
(3)・その結果、中国国内で「反日デモ」が勃発した。
(4)・日本の領海内、継続水域内に侵入する中国船数は、2012年9月を境に爆発的に増加して現在の状況になった。
(5)・こうなったのはすべて日本が悪いからで、中国に非はない。

という論理展開のようで、悪いのは国有化した日本だと言いたいようですが、国有化以前と以後の中国の動きについてすべて正当化しており、 あまりにも中国寄りの姿勢が強すぎます。

 そもそも、「尖閣をめぐる日中対立」と言われても、日本固有の領土の尖閣諸島に対し、勝手に中国領と制定したり漁船を使い挑発してきたのは中国なのであって、 この書き手にはその認識がスッポリ抜け落ちていますし、過去の経緯には目を向けず、中国の強引で横暴な手口は無視し、ひたすら日本は中国の言い分を聞け、という論調にあふれています。

  もと駐中大使だった丹羽宇一郎氏のような、日本人であるにもかかわらず「尖閣諸島購入を支持する日本の国民感情はおかしい」と考える人間たちが、 「尖閣をめぐる日中対立は、石原慎太郎都知事がもたらした、東京五輪や豊洲新市場以上のとんでもない"負の遺産"だった」、と決め付けているわけです。

この記事の書き手は、安倍首相は野党時代、「中国の領海侵犯はけしからん」という世論を散々煽った、といいますが、尖閣周辺における中国の侵犯行為があまりにも目に余るからこその発言であり、 自国の領土を守ろうと主張するのは日本の政治家として当然の責務です。

 それを例の調子で、「首相になってからはそれを利用して、逆に自らの政治的思惑、すなわち"戦争のできる国づくり"を推し進めてきた」、 とお決まりの嫌日・媚中のワンパターン思想になっていくのですから、反日フレーズはもういい加減にしてそろそろ目をさませよ、と言いたくもなるわけです。

 
  

中国との深まる緊張関係

 中国はアジア覇権のため日本のみならずアジア各国に対し恫喝外交のキバを剥き始め、アジア周辺海域に進出し一触即発の暗雲が立ち込みはじめました。

歴史が証明する事実として、貧しい国が豊かになれば、その国家の発展に伴い、国家の維持のために必要となる食料やエネルギーが急増します。
 その資源を確保できなければ、国家の発展は停滞し、国民の不満は政府に向かうことは避けられず、これを避けるため国土を拡大し、資源確保に努めることが絶対条件となります。
そして、それが結果的に地域間の軋轢や紛争の元となり、やがて戦争の原因になってゆくのです。

現に、今起きている南シナ海の領有権問題や尖閣諸島問題がその典型であり、中国は単に領土を拡大したいだけでなく、 その周辺海域の海底に眠る資源を、喉から手が出るほど必要としているのです。

中国がこのまま軍備拡張を続け、強力な軍事力を背景に武力行使する事態になれば、現行憲法で武力行使が厳しく制限されている日本は対応に苦慮することになります。

憲法を見直し侵略国に毅然と即応できる国防体制を整えない限り、いずれ中国は尖閣諸島を手に入れ、次は沖縄まで自分のものにする、 ことにも成りかねません。

『そんな事態は起るはずがない』、と誰しも考えたいのですが、中国はなりふり構わぬ領有権拡大と資源奪取を画策し、 東南アジア各国との間でいつ武力衝突が発生してもおかしくない緊張状態を巻き起こしています。

今でも天然ガスや海底油田が豊富な南シナ海で、領有権をめぐって中国はフィリピン、ベトナムなどと対立している現状があります。(2014)
南シナ海は日本の海上輸送(シーレーン)の要衝であり、中国の進出は日本にとって対岸の火事どころではありません。

中国が近年になってにわかに尖閣諸島の領有権問題を持ち出したのも、東シナ海のガス田資源確保というより(実際はそれほど埋蔵量が無いとも.....)、 そこに中国の施設を構築することで事実上の領土拡大を狙っている目的があるからといわれます。


「韓国に倣え」

 竹島は現在韓国が不法占拠していますが、もともと1953(昭和28)年頃から韓国の民間人が上陸するようになり、 翌年、韓国の海洋警備隊の進駐をみすみす見過ごしたことから、今も不法占拠を続けている事態が続いています。

 韓国側の言い分では「独島は6世紀以来韓国領だったが、日露戦争の最中(1905年)、日本に奪われてしまった」として、竹島は完全に自国領という認識です。   そのうえ、韓国は「東海」への改称や併記を求めて続けていましたが、 これは2020年11月、国際水路機関(IHO)の総会で却下されています。

中国ではその竹島占拠事例に倣い、民間人を大挙尖閣諸島に上陸させれば釣魚島を奪取できる、とする意見もあるようで油断できません。 現状、 中国は公船を日本領海に送り頻繁に侵犯行為を繰り返しており、「既成事実を積み重ねて主権を主張する手法」を今後さらに強化していくことは間違いありません。(2020.11.17)


沖ノ鳥島問題

 中国は沖ノ鳥島について、日本人が「沖ノ鳥島」と呼んでいるのは明らかに「岩礁」であり、「領土」に組み入れられるものではないにもかかわらず、 日本は不当に他国船の航行や調査を妨害しているとして、「国連海洋法条約上の島」ではなく、「岩礁」であると主張しています。

 日本にとって、日本最南端の島である「沖ノ鳥島」は日本の国土面積を上回る約40万平方キロメートルもの排他的経済水域を持ち、日本の国土保全上、 極めて重要な存在であり非常に大きな価値を持つ島です。

 日本は現在沖ノ鳥島に消波ブロックを設置したり、コンクリートで護岸工事を行なっていますが、中国は世界の誰が見ても「島には見えない」はずだとし、 「沖ノ鳥という岩礁をめぐる国際法上の駆け引きは今後も続くはずだ」、と主張しています。  今後は新たな領土問題の火種がまたひとつ増えていく気配が濃厚となっています。(2019.1.7)





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(*1)中国領海法

中国は大陸棚は陸地の自然の延長であるという考え方をとり尖閣諸島を中国の領土と規定する。  さらに中国の海域は尖閣諸島を基点にさらに沖縄方向に伸びてくるとしている。

(*2)中国大陸棚法

国連の海洋法条約では、海岸から200カイリまで大陸棚の権利があり、大陸棚がさらに自然延長している場合は、350カイリまで権利を主張できることになっている。 この条約に基づいて、南西諸島の西北にある沖縄トラフまで支配権が及んでいる、と中国は主張している。

(*3)台湾出兵問題

1871年(明治4年)10月、台湾に漂着した宮古島島民54人が殺害される事件(宮古島島民遭難事件)で、明治新政は警察ではなく初の海外派兵軍を派遣した。  征台の役(せいたいのえき)、 台湾事件(たいわんじけん)とも呼ばれる。 また、宮古島島民の遭難から台湾出兵に至るまでの一連の出来事を牡丹社事件(ぼたんしゃじけん)と呼ぶこともある。

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