平成20年1月3日(木)(旧暦11月25日)
中泊 小地島の滝2番

長潮(干潮9:15) 水温17.7℃


伊豆諸島、

そこは澄んだ青い、そして気まぐれな太平洋の黒潮が個性豊かな七島の間を轟々と流れている。

どこまでも青い空と青い海、立ちはだかる断崖絶壁と緑の島々、初夏の七島は言葉では表現できないような孤独感を醸し出す。

そして、何もかも捨て、オトコ一人、ただロマンを求めて荒磯に立つ。関東の釣人には孤高という言葉がよく似合う。




宇和海、僕の故郷、

リアス式海岸と豊かな川が流れ込む静かな湾奥、生命に満ち溢れている。

そして太平洋から黒潮が分岐流となって、豊後水道を「上り潮」として駆け上がってくる。

この「上り潮」が直接ぶつかるようなリアス式海岸の先端、島々の端々には、

神から釣人への贈り物としか思えないような奇岩がいくつかある。

そしてこの「上り潮」が満ち潮、引き潮と複雑に絡み合いながらもその奇岩とめぐり合う時、

時としてそれは「名礁」へと変貌する。

故に、名礁は奥深くそして儚い。



近年全国から熱い視線が注がれている鵜来島のグンカン、水島、

武者泊のヤッカンは「オンリーワン」、中泊のノコギリは「ナンバーワン」だと主張する。

我らが永遠の名礁由良半島の沖釣礁、そして御五神島のヒナダンに、上り潮の終着駅日振島13番。

そこには70cm級の尾長グレ、獣のような口太グレ、120cmのマダイ、数え切れないほどの伝説があるが、

どれも「上り潮」なしには語れない。

僕らが今回挑戦の舞台として選んだのは愛媛県中泊。

年末から寒波に見舞われ徐々に回復の兆しをみせていたところ、厳しい状況だった。

そしてすぐそこまで来ている「上り潮」を待ち続けた3日間だった。



前に進めなくなった時、美化された思い出と目先の甘い誘惑に心は揺れる。

あの冬の由良の風日振の潮が脳裏に浮かぶ。

そして飛び交うはさらに南の鵜来島、沖の島からの爆釣の知らせ。

遠征2日目の夜、さすがに心が揺らいだ。

しかし、関東の釣師は孤高である。

水温は17度台を保ってはや5日目、潮回りは若潮から中潮へと大きくなる、

そしてすぐ南の鵜来島まで上り潮が届いている。

もうすぐここ中泊に名礁が現れるはず、その瞬間を信じて、冷え込んだ真冬の中泊にロマンを追い求めた。
今回の遠征には東京からM先生とバリ君が参加した。

最後かもしれない、そんな思いで挑んだことだろう。

まだ正月休み、駐車場は県外ナンバーが並ぶ。

正月はどこにいけるかわかったものじゃない。

武者泊は、0か100か、しかも100にありつけるのは

ほんの一握り、博打に負けると悲惨だ。

しかし中泊はその可能性が低く、

時には名礁への切符を渡される可能性さえある。


えひめ渡船


小地の滝2番
今日は3ヶ月ぶりに竿を持つ、肩慣らしだ。

渡った磯は小地島の滝2番。

隣の隣はビョウブの裏、隣は滝1番

今日のところは滝2番だ。

足元からドンブカ、すぐそばには天下の大三角

公になった実績こそ聞かないが、

50cmクラスの尾長なら確実にいるはず。
また去年の暮れ、自分たちが1番でボーズだった

翌日にはここ2番で、

60cmの石鯛と90cmのマダイがしとめられている。

足元の深棚をカゴの太仕掛で攻めたのか、、、。

前回の1番での教訓を最大限生かしつつスタートした。

寒波の影響もあり、深い棚に答えはありそうだ。

1本半のタナを探るがエサが残る。

2本半まで落としたらエサをとられはじめた。

5Bのガンダマ、ハリスは長めにとり、

食えばすぐ勝負に出られる体制で挑む。


M先生とバリ君


ウツボと格闘中
早々にバリ君の卸したてのファイアブラッドが突っ込む。

しかし、バリ君の釣り座の前には根が張り出している。

しばらく粘るも、ロッドが跳ね返った。

そしてM先生の竿も曲がるが何やら様子がおかしい。

次に僕、今日は厳しいかなぁ、少し休憩しようかなぁ、

と思た矢先、ウキがすごいスピードで海中へと消えた。

と同時に竿先が突っ込んだ、一瞬でパツン!

とヨリモドシの結び目をやられた。何たる不覚・・・。

本命か外道かさえもわからなかった。
そして再び強烈なアタリ。

リールがトラブって勝手にレバーがオフに。

扇風機のような大回転、2本半のタナ、

あ〜ダメだと思ったら、魚は沖に出てくれた。

ちょっと様子が変だな、と思ったが、

やっぱりサンノジだった。しかし太い、、、。


M先生と僕のサンノジ


お手上げ
バリ君「僕がかけたのもサンノジかウツボ」と落胆、

その後アタリらしいアタリは途絶え、

M先生とどんどんウキ下を深めていくも、

クーラーに入るような魚を見ることはできなかった。

両サイドの客もまったく竿が曲がらず、幕を閉じた。

「カードが3枚(3日)あって良かった」とバリ君が呟く。

(エサ)ボイル3枚

(仕掛)
制覇2号、道糸2.5号、ウキ3B〜5B、
ハリス2.5〜1.7、アワセ尾長6号、クロマルチ4号

(教訓)
昼寝せずに頑張った方が良い。

行きのエサ屋で師匠にバッタリ会った。
日振島に自分の名の付く磯を持つほど通い詰めている。
最初に渡ったのは日振島横島の無名磯でアタリなし。「神戸」へ磯換え後の3時間で
口太グレ45cm×2枚、37cm1枚、石鯛40cm1枚、どうにもとめられないバラシ2発。
このグレのタタキがウマかった。さらに、3時間前に絞めた日振のアジ、
夏に釣って冷凍しておいた四万十川の鮎を差し入れてもらった。
愛媛の魚はとにかくウマい・・・。

  
とじる?