平成20年4月28日(朝釣り)
中泊 ノコギリ先端

(旧暦3月23日、小潮、干潮6時)

3年前の冬、初めての中泊、コデ島のヤグラにいた。

遙か遠くに見たノコギリは、東京に住んでいる自分にとって、
雲の上の存在だった。

いつか行きたい、とさえも思わなかった。
まるで自分とは関係のないようにも思えた。
しかし、その存在は僕の心の中で日ごとに膨らんでいった。

そして初めてノコギリを間近に見た時
「オレの上で釣りをするのは勝手だが、
オレは別には釣人のために存在する訳ではない。」

初めてみたノコギリ(平成17年の大晦日)

蒼穹の空と海にあるノコギリ(陸側より)
ぼくとM先生にそう語りかけてきたのをおぼえている。

このスーパーステージは、ぼくにとって羨望の地であり、
なんとしても陥落したい「城」なのである。

ノコギリ、コケといった中泊沖磯群の難易度は超S級、
相当の経験と腕と情熱がなければ太刀打ちできないと思う。

まっとうな人間の来る場所ではない。
「上がったら釣れる」そこらの一級磯とはちょっと違う気がする。

観光気分で来るにはいいが、本気でここで釣ろうと思うと、
ちょっと話は違ってくると思う。
これまでノコギリのオカドウと上がってきたが、
いずれも潮に翻弄されて終わっている。

その中にあってもこのノコギリのハナという釣り場は、
飛びぬけてドSだった。

あの化物みたいな尾長は、
この難攻不落な城に潜んでいるのか。

もし足を滑らせたらどうなる、
そんなことは考えずに夢中で先端への
切り立った険しい道のりを歩んだ。

ノコギリ先端への道のり・・・

スーパーステージ、ノコギリのハナ!
ふと思う、
中泊の荒磯群のもっとも沖にありその先端は太平洋を望む。

気分爽快、天下をとった気分だ。
こんな罪な磯があっていいのか・・・。

下げ潮が本命潮だが、今日は逆潮だ。
しかし、このノコギリ、コケの攻略はこの逆潮がキーワード。

小潮の逆潮、尾長の潮のようだ。
ゴンゴン流れる本命潮は「今時の尾長の潮」ではない。

上げ潮にもかかわらず下げの方向に潮が流れている。
足元のサラシが沖で下げの方向に流れる潮と交わり、
潮目ができている。
ねらい目はそこであろう。
あまり磯際の浅ダナをストイックに粘るのは
中泊の釣り方ではないようだ。

インキョにわたった客が、
「磯際1m以内の2ヒロ以内でがんばったんだけどなぁ」
とぼやいていたが、

釣る人は、潮目などの、竿1本半とか2本のタナで、
釣っているみたいだ。

癖のある潮だ。
大潮だとかなり大変だろう。

引き潮(緑)、満ち潮(赤)

足元
一緒にわたった客も、同じような釣りをしている。
足元にボイルをいれ、タナを探っていく。

なにも言わずとも、コマセのタイミングがコラボレートする。
そして釣り座は少し違うが、同じ潮目に仕掛けが入っていく。

仕掛けが交差しても絡まることはない。
朝から無駄な会話はなく、時折「変な潮だね」
「潮がかわったね」「エサが取られ始めたね」と。

まぁ、こんな時に一人で中泊にきてノコギリに渡っている
のだから、フツーの人ではないのはよくわかるが・・・。

一人で朝から晩まで磯にいると独り言が多くなってくる、
なので、こういう似たような客と同礁するのはかなり楽しい。
沖ではエサはとられるが針がかりしない。
どうやら口太がいるようだ。

針のサイズを落とせばかかるだろうがここは我慢。
潮がすこし同礁者の方に流れ始めたので、
その足元を1本半のタナでねらっていく。

仕掛けを止めて待つことしばし、ウキが消しこんだ。
竿が突き刺さるが、尾長のアタリではなさそう。

しかし竿はグイグイと曲がる、
同礁者が「本命か?」というが、これは違う、スピードがない。
大型のカンダイだった。

カンダイ

竿を曲げる同礁者
昼ごろになり、本格的な逆潮になりはじめた。

潮があて気味にノコギリの先端を回り込み、
魚のタナが深いため、僕の釣り座からでは釣りづらい。

と、同礁者が竿を曲げた。尾長ではなさそうだ。
浮いてきたのは45cmくらいの口太だった。

この頃から足元に同じくらいのサイズの口太が見え始めた。
同礁者は配合餌をいれ、それを狙いはじめるが、後が続かず。
僕は午前中は向かい風が強かったため入れなかった、
上げ潮のポイントへ場所移動。

配合餌を入れ、向かい風のあて気味に先端に向かう潮を狙う。
しかし、潮を攻めきれず、エサ取られず。
結果、またノコギリに弄ばれてしまった。

船中、釣った人で口太が1,2匹、あとは大型マダイ。
つい一昨日前まではグレの顔をみることはなかったようだ。

ノコギリからは見えなかったが、コケやインキョの方では、
ちらほらと口太の中に大型の尾長が見え始めたようだ。

次の釣り座、北側

ノコギリ
船頭いわく、もう少し、あと数日でグレたちのスイッチが入ると。
釣れはしなかったが、ここに立てたことだけで満足だった。

(エサ)ボイル2枚、生1枚
(仕掛)制覇2号、道糸、ハリス2.5号、ウキ3B〜5B、
  アワセ尾長6号/オキアミグレ8号

(渡船)ながはま渡船

(教訓)日ごろから体力づくり重要(後日全身筋肉痛)

ノコギリ先端(南側から)

ノコギリ(コケの二階から)

ノコギリ(北側から)

ノコギリ(沖正面から)
とじる?