☆★ クアガに口づけを


on Courga's face you kiss across

 これは創元訳最大の問題点といわれる、クアガ神殿碑文の英語原文の一部である。何が問題かというと、この「across」を「あちらこちら」と訳してしまったため、クアガの試練に関する重大なヒントが消えてしまい、結果運任せにならざるをえない状態になってしまっていたのだ。第二巻の難易度が高いといわれる理由の一つでもある。

 実はこの「across」だが、「a cross」と分割して読むことで「十字」というヒントが浮かんでくるというギミックなのだ。創土訳では「十字」と訳すことで理不尽ではなくなっているが、リドルとしては簡単になってしまった感は否めない。こういう言語ギミックの翻訳は難しいよね。

 キリスト教文化の十字切りがヒントなので、西洋人にしかなじみがないなどという意見もちらほら聞くこのリドルだが、実はそんなことはない。このリドルに関するヒントは以下の通りだ。

 1 〈旅人の宿り〉亭にて、水夫から「クアガの頬にキスをして死んだ」者の話が聞ける。
 2 カレー第七貴人である盲目の物乞いから「クアガと話をするには、左目に導かれろ」との助言。
 3 クアガ神殿の碑文。

 クアガの試練に際し、最初に口づけを行える選択肢は7つ。額、右目、左目、鼻、右頬、左頬、唇だ。ヒント1から、右と左の頬は外される。この時点で、残る5つはすでに十字の形に並んでいる。ヒント2を思い出すことができたなら、最初にキスをすべきは左目となる。ここから十字の形にキスをするルートは「左目⇒右目⇒額⇒唇」「左目⇒右目⇒唇⇒額」の2つだが、碑文には唇は最後とある。答えは1つしかない。プレーヤーの宗教的習慣に頼る要素無く、このリドルを解くことは可能ということだ。

 余談になるが創元版ではイラストで碑文の内容を読ませる形を採っている。(本家英語版も同じように、碑文はイラストに描かれるのみで、本文中には登場しない)つまり、イラストに手を加えることにより、英語原文を知ることができなくなっている。訳もあって、完全に手掛かりが消えてしまっている。先のヒントから「十字」を除いてしまうと、これは解くことができないのがわかるだろう。

 イラスト内の英文の日本語化自体は、『ソーサリー!』が翻訳物であることを感じさせずに敷居を低くするいいアイデアだと個人的には思う。裏目に出てしまったのは残念だ。(創土版ではイラストには手を加えず、英語原文を残しつつ本文中に碑文を文面化する手法を採っている。)。

(7/19/12)

【追記】
 失敗時の死を暗示する後半が創元版では訳されていないのも、イラスト内でのスペースの都合だと思われる。

(7/25/12)

【追追記】
 イラストにおける碑文はこんな感じ。「ACROSS」か「A CROSS」なのかは判別しにくいが、たぶん「ACROSS」ではないかと思える文字間隔だ。意図的なひっかけなのは間違いあるまい。

(5/12/23)

★ とあるブラックロータスデッキ

 第一ターン! 先攻なのでドローは無し。
 手札から0マナアーティファクト「黒蓮」をセット! ×7!
 君とジャンが踏み散らかすので、全てサクって21マナ!
 手札が無いので、ターンエンド。21点マナバーン! 死亡確認!

(7/21/12)

【追記】
 当時(『THE SHAMUTANTI HILLS』の初版は1983年)はまだマナバーンのルールがあったはず。M:tGの登場が1993年なのはこの際言わないでくだされ。

(7/26/12)

★ 生きていた蛮人アンヴァー

 カレーのカーニバルで頭蓋骨割りのカグーに、かなりの高確率で叩きのめされるであろうアンヴァーであるが、どうやら彼の消息が掴めたようだ。彼は無事生きてあのリングを降り、今は遠き地で名を売っている様子である。

 知らせは異世界アマリリアから届いた。日本語には翻訳されていないFFシリーズ第54巻『Legend of Zagor』。我らが蛮人どのは、ここで主役の一人に抜擢されているのだ。めでたい!

 異世界アマリリアに関してだが、これはなんとタイタン世界と行き来が可能な別次元だという。『Legend of Zagor』以外でも、数編のFF小説の舞台になっているようだ。いずれも翻訳はされていない。かの火吹山の名高きザゴールがアマリリアにて転生復活し、その野望を阻止するストーリーらしい。
 主人公は全部で4人いて、Braxus the Warrior、Stubble the Dwarf、Sallazar the Wizardの三人の名と並び、燦然と輝くAnvar the barbarianの文字! スペルもバッチリだ。

 さあ、その雄姿を見ようではないか!

 我らが蛮人どの以外の三人は、それぞれ戦士、ドワーフ、魔法使い。となると消去法で、アンヴァーは右下の御仁であろう。
 ……んー…  やっぱ別人?(汗

(7/21/12)

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