★ LIX考察

 時大蛇の能力を大幅に削ることができる呪文LIX 。先にネタをばらしてしまうと、この呪文はローマ数字を使ったリドルである。しかしその効能に関しては謎だらけだ。ゲーム本文ではほぼ描写記述は無いに等しい。パラグラフジャンプを行うと、大蛇が超弱体化する展開が待っているだけである。

 本文中から判るのは以下の点である。
  ・呪文をかけられた時大蛇は、特に外部からのダメージを受ける様子はないが、とにかく弱体化する。
   動きが遅くなり、羽ばたくものの宙に浮くことすら困難な様子が伺える。

 決して、炎や稲妻による攻撃呪文ではない。どちらかというと毒や呪いの効果かと思えるような描写である。だがこの時大蛇、七匹のうちでも最も強く恐ろしいと評され、時神クロナーダの加護を受ける存在である。このような敵に絶大な効果を表す毒や呪いなど存在するのだろうか。仮に超強力な毒や呪いがあったとしよう、だがそのようなものが誰にでも扱えるはずがない。主人公は一介のアナランド人ではあるが、国を代表するほどの魔術の使い手、あるいは神の加護を受けている戦士である。この者ならば、あるいは使いこなせるかもしれない。だが、ソーサリー!を読むと、この術を行使しようとしたのがアナランドの英雄だけではないことが判る。沼ゴブリンたちである。彼らはLIX の巻物の解読ができなかったがために、時大蛇には勝てなかったのであるが、巻物を持っていたフェネストラは、彼らに巻物を与えている。大蛇たちを相手に一戦構えようとしている魔女がそのための強力な武器をただただ無駄にするために人に与えるわけがない。LIX そのものは沼ゴブリンでも――そう、かれらのシャーマンクラスなら――使いこなせるかも知れないと、フェネストラをして思わせる難易度の呪文なのである。

 以前カーカバードの魔法について考察した身としては、LIX も同様の範疇に収まることを望みたい。つまり、LIX もまた、カーカバード~アナランド辺りの風土や歴史、迷信に基づき、その延長線上にある魔法であるべきということだ。そこで、この呪文の正体を考察するに当たり、以下のルールが課されることになる。

  ・アナランド、およびカーカバードに存在する呪文の中に、似た効力を持つものが存在する。
  ・LIX というアナランド式(アルファベット三文字、かつ二文字目が母音)を思わせる名称から、この呪文も
   アナランド方式に乗っ取り、三文字から効果を表す意味を見出すことできる。

 先ずはこの呪文が効果を発揮する相手である時大蛇を調べてみよう。これほどの相手、生半可な術は通用しないと考えて問題あるまい。LIX とは、この蛇が持つ特性を無効化、あるいは相性がいい系統の呪文と考えることができるからだ。
 時大蛇は、マンパンの大魔法使いがヒドラの首から産み出した魔法生物である。不死の一種だろう。そこに時神の祝福が加わっている。時間が相手では、ほぼ全ての要素が太刀打ちできない。万物は変化するものであり、時間の影響下にあるからだ。時間に対抗できるのは、時間だけである。LIX とは、時間に関係する呪文ではないだろうか?

 次に効果を考えてみよう。LIX が時間に関する呪文だと仮定すると、考えられるのは4つしかない。つまり「加速」「減速」「停止」「逆行」という、時間経過の状態だ。時大蛇自体は自分を「加速」する、あるいは敵対する者の時間を減速させる能力を持っていると考えることができる。時大蛇に殺される際の描写では、主人公から離れた流血までもが減速しているように読める。一方、LIX 後の記述を見ると奴の能力は「自分を加速」ではないかと思える。
 このことから、LIX には時間に関する呪文という可能性の他に、敵の能力を反射する呪文という見方もあるということが判る。

 では、これらの可能性と同じような魔法が存在するかどうかを見てみよう。先ずは先程新たに見つかった「魔法反射」からだ。アナランドにはMAG という魔法封じの術があるが、これは反射ではない。KIN による鏡像の実体化は複写系ではあるが反射とは言えない。それにKIN は生命体を複製する魔法であって、魔法そのものを直接反射する術ではない。
 大魔法使いの影武者をはじめとして、主人公との魔法合戦において様々な術を繰り出す魔法使いは多いが、やはり反射系は無い。カーカバード周辺には反射魔法は無いと思っていいだろう。
 では、本命である時間系の魔法を見てみよう。まず思いつくのは、あのZED である。だがこの大魔法が対象とするのは術者を含めた世界全体である。大蛇の能力とはかなり違うのではないか。他に時間を操る魔法はないかと探してみると、カーカバードにはもう1人時間を操る者がいることに気づく。シャムタンティのガザ・ムーンである。彼女は泥棒相手に「老化の術」をかけているのだ。はたして泥棒は、カントパーニの郊外で木から降りれぬあわれな老人となっている。彼は木に登っている間に、降りることができないまでに老化したものと思われる。
 自分は、この老化という現象こそが、LIX の効能ではないかと考えるものである。老化というか、時間加速による劣化、風化である。

 では検証に入ろう。時大蛇に起こる変化は、老化によるものと考えられるかどうか。弱弱しく羽ばたきながらも地面へと降下してくる蛇の様子は、たしかに老化による現象と捉えることができると思う。時大蛇には「加速」と「減速」の力しかないと思われるので、「逆行」による効果打消しは不可能だったのではないだろうか。そもそも時神の加護を受けている大蛇に、老化の術が効くのかどうかについてだが、自分は充分効くだろうと考える。これは「タイタン」の記述によるものだが、かつて不死だった神々すら、中立の神ローガンが異世界から時間を連れてきて以来、死の運命から逃れられることはできなくなったのだ。大魔法使いが産み出した怪物である大蛇が、神々ですら逃れられない運命を否定できるとは思えない。
 では、LIX をアナランド方式に当てはめてみよう。LIFE …LIMIT あたりが候補だろうか。X はMAX などが浮かぶ。LIMIT/LIFE - MAX で、寿命限界とこじつけてみたところで、この呪文に関する考察を終わろうと思う。

(8/9/12)

【追記】
『超・モンスター事典』の七匹の大蛇、時の蛇の項を見ると、LIXについての新情報がある。本来はZEDに対抗するための呪文だと言うのだ。スローベン共同体で書かれたそれは「古い詠唱」だと明記されているではないか。
 これは何気に重要な情報だ。ZEDがアナランドでもスローベンでもなく、かつてマンパンで生み出された魔法であることは第四巻のジャンのセリフから判明していた。クロナーダの魔法を使う司祭がマンパンで産みだしたZEDをミニマイトが盗み、スローベンにもたらしたのだ。そのスローベンで対抗呪文LIXが作られたという事は、スローベンの魔術師たちがZEDに危険性を見出していたということだろう。スローベンのネクロマンサーがZEDで失われたということも関係しているかもしれない。そして、LIXが「古い詠唱」だというのなら、これらの出来事は古い時代に起きたということだ。

 LIXが「時間経過の異常」に対抗する呪文となると、LIXのアルファベット由来考察も別のものになるはず。
 例えば Lag(ラグ:遅延、時間の隔たり) - fIX みたいな。

(10/12/20)

★ ニブダム解体新書

 このサイトで長らく一撃君と呼ばれていたニブダム、先日手に入れたAFF2用の『ソーサリー・キャンペーン』シナリオによれば、マンパンの科学交配実験で産み出された生物の生き残りだという。変異ゴブリンとはまた違う系統のこの生き物、人間と鬼のハーフとドワーフのかけあわせだというが……。本文中の描写と、イラストからみるニブダムの特徴はまず無毛、背は低いがそれなりにがっちりしている、耳はエルフのように尖り、下顎からは牙が飛び出している。といったところだろうか。

 ニブダムにおける各血統の混ざり具合だが、ここでは簡単にドワーフが50%、人間と鬼が25%づつと定義しておこう。背が低く、がっちりしている体格はあきらかにドワーフのものである。彼が無毛であることは特記に値する。タイタン世界においてもドワーフはもちろん、人間も無毛ではない。この特徴は、鬼が持っていたということである。25%しかない鬼に由来する要素がここまではっきりと出るということは、鬼がよっぽど無毛だったに違いない。タイタン世界でいう鬼とはオーガのことである。
 実はタイタンの鬼は、「同じ鬼は2人といない」とまで言われるほどの混沌っぷりを誇る。実際に『ソーサリー!』に登場する3人の鬼を見てみよう。シャンカー鉱山の鬼、頭蓋骨割りのカグー、そしてマンパンの拷問頭ナガマンテだ。3人のイラストを見比べてみればわかる。何の予備知識がない人には、この3人が同一種族だとは思えないほど個体差が はげしい。ニブダムの祖父/祖母となった鬼もまた、独自の性質を持っていたはずだ。極・無毛であってもおかしくはない。

  

件の鬼三匹

 ニブダムが人間とドワーフからかけはなれた点、耳と牙、顔つきに関しても鬼由来の特徴であると考えることができるだろう。つまり、彼の祖先となったのは「全身超無毛、耳は尖り顔はひしゃげ、下顎から牙が伸びている」鬼であったのだ。
 ちなみに彼の体力点が2と極めて低いのは、人間の血であろう。「モンスター事典」を見ると、平均的な鬼の体力点は10、ドワーフにおいても7である。これらの数値と交配した結果が2なのだ。よほどひ弱な人間を選んだものと見える。あるいは、マンパンの交配技術には決定的な欠陥があったのかもしれない。そう考えると、この異常な数値も納得できなくはない。事実ニブダムを最後に、交配実験は行われていないのだ。

(8/9/12)

★ 人馬族

 バクランドに登場する人馬。原文におけるモンスター名では Horseman だが、本文中ではケンタウルス(英語読みでセントール)の表現も混じるのでややこしいことこの上ない。しかも『モンスター事典』には Centaurs が載っているのだが、技術点体力点共に隔たりがあるときたもんだ。いったいこいつらは同種なのか、それとも似ているだけの別種族なのか……


Horseman 技術点 8   体力点 8   ※登場する3体の、それぞれの最高値
Centaurs 技術点 10  体力点 10

 明らかに違う。『モンスター事典』には人馬ならぬ人蟻ゾロアやら人獅子フェリノールやらが載っていることから、タイタン世界においてはケンタウルス型のモンスターは様々なバリエーションがあることがわかる。バクランドの人馬も、そういったケンタウロスの亜種なのかもしれない。

 ところが、AFF2の『ソーサリー・キャンペーン』では、モンスター名が Centaurs になっているではないか。おいおい。気になるステータスは技術点が8で体力点が7である。こうして人馬の謎は再び振り出しに戻ったのであった。
 バクランド産のケンタウロスは他の地域のそれと比べて少々弱いということなのかもしれない。きっとバクランドという、厳しい自然環境のなせる業なのだろう。バクランドは何でもありだから気軽にいろいろ言えていいな。

(8/10/12)

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