★ 銀の鍵の冒険ふたたび

 シャンカー鉱山のゴブリンの首にかかっている銀の鍵。この鍵に合う錠は、はるかマンパン砦の拷問部屋の扉についている。両者をつなぐのはオーガの存在であり、以前この鍵が如何に旅をしたかについて考えたことがあったが、正直無理があったように思う。なので、再度考えてみた次第であります。

 先ず問題になるのはシャンカーとマンパンの間の距離である。純粋に距離としてもそうだが、マンパンの勢力的に考えても、シャンカーは遠すぎる。両者の間にはジャバジ河とカレーの護りがある。アナランドの勇者がたどった行程を考えても、マンパンの勢力下にシャンカー鉱山が入っているとは考えにくい。七大蛇や鳥男たちの活動はシャンカーを超えて南下し、アナランドまで達しているが、地上制圧はなされていないのだ。ソーサリー!本編での冒険が、その状況になる事を恐れての冠奪還の旅なのだから、マンパンの勢力範囲に関しては間違いあるまい。

 ところでシャンカー鉱山はゴブリンを中心に、オーガを交えて作業が進んでいる。最寄りの人間集落であるクリスタタンティとは関わりがないように見える。クリスタタンティに住むのは農業を営む人々であり、ゴブリンと関わりがあるような描写は一切されていない。そもそもシャンカーのゴブリンたちは一体何者なのだろうか。Ios版ではここに新解釈が加えられているようだが、『ソーサリー!』本編ではそこまでの掘り下げはなされていない。今のところ周りの集落(クリスタタンティ、首狩り族の村など)とは摩擦が無いようだが、明らかに意図的な活動を行っているのは間違いがない。ゴブリンたちが自らの意思で鉱山開発をしているというのは疑わしい。宝石の研磨機などは、明らかにゴブリンが調達できるものではないだろう。背後に黒幕がいるはずだ。そもそもゴブリンを鉱山で働かせるなんて、誰か高圧的な命令者が居ない限り難しいだろう。鉱山に入るオーガは明らかに一労働力であるし、管理役らしいゴブリンにしても中間管理職だと思われる。謎にされた部分は多いが、シャムタンティの中で何か陰謀が進んでいるのは間違いがない。シャンカー産の鉱物や宝石が近くの集落で出回っている描写もないのだ。

 ここで銀の鍵に話を戻そう。この鍵を使ってマンパン砦にある扉を開けると、なんとモーニングスターが扉を開けた者の頭へと襲い掛かってくるのだ。この部屋の主、拷問頭ナガマンテによるトラップである。拷問部屋の扉に鍵がかかっている以上、このトラップは銀の鍵を持つ者へ向けられた悪意だと思われる。ナガマンテの恨みの対象になる人物。銀の鍵を渡される人物。それはどう考えても、マンパン砦内を歩き回る者でしかありえない。でないと扉の罠が意味をなさない。この人物が、シャンカーとマンパンを繋いでいるわけだ。

 さて冒頭で申したとおり、現在は銀の鍵はシャンカーの管理役ゴブリンの首にかかっているわけだが、ではこのゴブリンがその人物であろうか? マンパン砦の建設前に、大魔法使いがオークやトロールと共にゴブリンを使役していたことが『タイタン』に書かれている。だが、『ソーサリー!』本編で変異実験に使われているマンパン砦のゴブリンたちを見るに、同時期にシャンカーまでゴブリンが派遣されるとは考えにくい。それに、アナランドから冠を盗む計画と前後してシャンカーでの採掘作業をマンパンが進めたとすると、二つの計画は食い違いすぎている。シャンカー鉱山はアナランドに近すぎる。どう考えても、シャンカーを起点にしてアナランドを攻撃する方が理に適っているはずだ。そもそも先に述べた通り、シャンカーをマンパン直轄地と考えるのには無理がある。


 考えられるシナリオはこうである。

 大魔法使いに仕える者の誰か――戦争屋の一人かもしれない――が砦の中で、ナガマンテの不興を買った。銀の鍵を渡された彼は命の危険を感じ、任務にかこつけて砦を脱出した。彼は混沌極まるカーカバードを越えてアナランドへと向かった。ラドルストーン側はマンパンに近く、すぐに追手がかかる可能性を感じたのだろう。おそらく冠を盗む計画があることは知らなかったに違いない。

 さて、比較的安全と思える場所まで逃げてきた彼はどうしたか。何かしら生活のために仕事をしなければならない。彼は戦争屋なわけだから、謀略ならお手のものである。彼はシャムタンティに住む知られざる魔法使いに取り入り、あるいは彼自身が黒幕となってゴブリンたちを使い、鉱山開発にのりだした。例の銀の鍵はゴブリンの長を手懐けるのに役立った。彼の狙いがアナランドなのか、あるいはシャムタンティに点在する集落なのかは分からないが、いずれにせよ良きことではあるまい。

(5/1/18)

★ 死人還りの術?

 前々から不思議に思っていたが、大魔法使いが駆使する死人還りの術は特異である。ゲーム中、隠者シャドラクが語るところによると、七匹の大蛇は切りとったヒドラの首から蘇った存在なのだ。しかし……これは単純なリアニメイト呪術ではない。

 第一に、それぞれ神のギフトを得ている。
 第二に、翼が追加されている。
 第三に、睡眠が必要と思われる。
 第四に、食事が必要と思われる。

 第一に関しては、魔法使いの術以外の要因であることは明らかにされている。神だ。 第二に関してだが、ヒドラ時代には翼は無かっただろう。シャドラクの話からは、ヒドラがそのような特徴を持っていたとは読み取れない。『タイタン』での挿絵でも普通のヒドラに見えるし、『モンスター事典』のヒドラの項にも翼のある種に関しては一切かかれていない。つまり、大蛇たちの翼は蘇った時に備わったと考えられる。

 第三と第四に関しては、アナランドからの警告の手紙に記された内容から伺える大蛇たちの特徴である。しかしアナランドの者が、大蛇たちが死人還りの術で生み出されたと知っていたかどうか不明なので、普通の生き物として考えての警告の可能性は捨てきれない。

 いずれにせよ、やはりこれは単なる死人還りではない。全く別の生き物に再構成されるといったほうがしっくりくる。

(5/6/18)

★ 破戒坊主疑惑 

 クラタ族に襲われ、廃墟と化したスロフの神殿。この地下室には、スロフの神官であるシャラが捉えられている。救出された本人の弁によると、クラタ族によって襲われた際に鎖につながれて放置されたという。ところでこの神殿の主であるスロフだが、神殿内で禁を破った他信徒に対してものすごくアクティブな神罰を課してこられるお方である。その勢いたるや、神殿の崩壊もかまわんとばかりに天井から石材を落としたりしてくるのである。ものすごいサイキックだ。……なぜ、その力を自らの忠実なる僕であるシャラの救出に使わなかったのか。

 シャラは鎖に繋がれ、いずれ餓死する運命であったろう。さらには彼自身も気づいていなかったが黄死病に犯されている。どう転んでも、死は確実である。そんなシャラを地下に抱きながら、女神は何もしなかった。つまり……シャラ自身がスロフにとって価値が無い存在であると考えることができるだろう。

 実は、シャラも盗賊の一人であり神殿の宝を狙っていたと考えることもできそうだ。彼奴目、主人公にはとっさにウソをついたのだ。……だが、彼がスロフの怒りを鎮める方法を知っていたことは見逃せない。やはりただの盗賊がそんなことを知っているとは考えにくい。となるとシャラは確かに神官なのだが、スロフから見放されていると見るのが自然な気がする。

(5/27/18)

メニューへ戻る

次へ進む

前へ戻る