コレトゥスを見つけ出さない限り、まずひっかかってしまうと思われるマンパンの罠、それがうめきの橋だ。この幻影の橋は誰かが渡っている最中に消え失せてしまい、哀れな犠牲者を谷底へと落とす。砦にたどり着く直前に配された難関となっているが……本当のところ、どれほどの意味を持っているのかは不明だ。マンパンが目下恐れている敵はシンの鳥人たちである。当然彼らは翼を持っているので、うめきの橋は何の意味もなさない。この橋は鳥人対策としては全く役に立っていないのだ。
このあたりの土地を見てみると、女サテュロスの村が見つかる。彼女らはマンパンを恐れてはいるものの、強い縄張り意識を持っている。完全にマンパンに屈しているようには見えない。『ソーサリー!』本編には登場しないものの、『タイタン』にはザメンの地にオークの切断族なる連中がいると書かれている。名前からして荒々しそうなやつらだ。砦に彼らの姿が見えない以上、大魔法使いに与していないに違いない。彼らもまた、翼はもっていないだろう。
マンパンが未だ、ザメンの地を支配下には置いていないということであれば、うめきの橋はある程度は砦の守りとして機能していると言える。そして、今回アナランドからの刺客が徒歩でやってきた。まさに「備えあれば憂いなし」というわけだ。
第四巻に登場するアンティーロセットは、翼ある古代生物だということだが……正直、正体不明の存在だ。こいつが何者かというと、ZEDを唱えた際に遥か昔へ飛ばされることでお目見えすることができる生き物である。旧訳では「始祖鳥」とされており、一方新訳では浅羽訳であるにも関わらず、カタカナ化だった。原文は Anteelocet だが始祖鳥は Archaeopteryx なので、旧訳では独断で始祖鳥としたものと思われる。
Anteelocet でググってみると、Titannica の該当ページがヒットする。他には何も見当たらないので、これはどうやら完全にタイタン世界オリジナルの存在らしい。早速 Titannica を開いたところ、空飛ぶ爬虫類と書いてあった。関連項目に「恐竜」「プテラノドン」「プテロダクティルス」があるので、翼竜の一種であることは疑いがない。
技量6、体力は6~7、攻撃回数は1と明記されている。だが『モンスター事典』及び『超モンスター事典』には記載が認められないようだ。出典は『諸王の冠』だけのようだが、Titannica に何の根拠もなくステータスが載っているものだろうか? 考えられるのは、今のところ未訳となっている『Return to the Pit』にその情報が収められている可能性だが……こればかりは原書を持っていないのでどうしょうもない。今後の翻訳に期待するとしよう。
ところで、AFF2用にパンプアップされて技量6なら、ZEDで大きく体力を失っていてもアナランド人があの場で即座に捕食されてしまうということはなさそうだ。さあ、君は恐竜時代のサバイバルを生き延びることができるだろうか? これで『ソーサリー!外伝』が一冊作れそうな感じである。例えば、南下してアナランドが興るであろう地へ戻り、かの魔法大国の礎となる記録を残すとか、あるいは歴史上何物も成しえなかったカーカバード統一を目指すなんてのも悪くはない。
【追記】
『Return to the Pit』こと『真・モンスター事典』にアンティーロセット載っておりました! やはり翼竜とのことであります。
スナタ森の中心部に多い茂り、動物を絞め殺すという恐るべき植物。樹皮エキスを塗りたくれば藪は君を植物と勘違いし、解放してくれるだろう。『モンスター事典』を読む限り、獲物は人間に限らないようだ。この辺りには森に生息する動物も寄り付かないに違いない。
だが、くびり藪と遭遇する地点へ向かう選択肢を見ると、普通に道が続いているようにしか読めないことに気づく。しかも「消えかけた道」などの描写もない。アナランダーには違いが判らない程度に、この道はしっかりとついているようだ。こんなところを何本も立派な道が通っているとは考えにくいので、おそらくは獣道であろう。だが、そうだとしてもおかしい……一体どんな動物がくびり藪が茂る場所へ向かう道を頻繁に使っているというのだろうか。
スナタ森に生息する生き物といえば、先ずスナタ猫、それから野生の熊だ。熊は本当にただの熊なので、くびり藪に捕まったら体液を搾り取られて死ぬ他あるまい。スナタ猫はどうだ? 奴らは透明化する能力を持っているが、植物が視覚に頼っているはずもない。猫の能力は存在を消すのではなく、あくまで姿を消すだけだ。くびり藪から逃れられるとは思えない。では、この道の主は何者なのか?
『モンスター事典』の中にそれらしい生き物を見つけることができる。火狐である。第三巻では森に至る前に登場するのだが、事典にははっきりと「スナタ森の火狐」との表記がある。この狐には知っての通り発火能力があるので、たとえくびり藪に絡みつかれてもこれを焼き切ることができるだろう。件の道は火狐の獣道だとすれば辻褄は合うかもしれない……。藪は焼かれても、やがて再び蔽い茂るというわけだ。