★ 物知り大蛇

 マンパンの密偵たる七匹の大蛇。カーカバードを恐怖に染めながら飛び交う彼らだが、「蛇の指輪」を突き付けることで情報を吐かせることができる。いずれもマンパン砦を攻略するのに有用な情報(一部例外あり)で、これらの知識なしに第四巻のクリアは難しい。七匹それぞれが一つずつ、様々な秘密を握っているわけだが、ちょっと注目していただきたい奴がいる。


大魔法使い様は本来の姿はしておられぬ。 (第三巻 パラグラフ89)

 なんと、この蛇は大魔導の秘密を知っている! 大魔導が好き好んで秘密を洩らすとは思えないので、こいつは大蛇たちに力を与えた七柱の神々がらみの案件だと思えてならない。件の秘密を知っているのは時大蛇だ。謎めいた時の神クロナーダと、大魔導の秘密の間にどんな接点があるのだろうか……

 大魔導は本来の姿を捨て、ファレン・ワイドの中に隠れている。その実態は冥府の魔王だ。この変遷は転生術の類ではないかと自分は考えているのだが、ここに「時」の関与があるのであれば、クロナーダが秘密を知っていて当然ということになる。クロナーダの力として知られているのは、時大蛇に与えられた時間の加速/減速の能力だ。デーモンへの転生から、新たな力と身体を安定させるのに時間がかかるのであれば、これを早めるためにクロナーダの力を必要としていたということはあるかもしれない。なにしろ気の抜けぬマンパンの地だ。転生後の隙はなるべく短縮する必要があったにちがいない。こうして大魔導最大の秘密は時の神の知るところとなり、大蛇へともたらされた……のだとしたら、クロナーダの立場としては、決して大魔導の味方というわけではないのだろう。本当に大魔導に与しているのであれば、万が一にも秘密が洩れるような状況を作ることはあるまい。時は誰にでも平等ということであろうか。

(1/7/24)

【追記】
 こうも考えられるかもしれない。人間からデーモン、しかも冥府の魔王への転生ともなれば、これは輪廻の拒絶に他ならないだろう。デーモンとなって冥府に留まることで、大魔導は死を否定しているのではないだろうか。死は時がタイタン世界にもたらした最大の事象である。時の登場により、神々ですら不死ではなくなったのだ。己を拒んだ大魔導に対し、クロナーダは秘密を暴くことで報いたというほうが、個人的には面白く思える。
 ……タイタン世界に輪廻という概念があれば、の話だが。

(1/7/24)

★ マンパン正門の警備体制について

 先に見た七匹の秘密であるが、月大蛇も場合はこうだ。「マンパン砦の入口は、4人の衛兵によって守られている」
 実際砦に侵入する際には、4人の衛兵をやり過ごして滑り込むような形が正解になっている。早すぎれば衛兵と鉢合わせし、遅すぎれば隠れているところを見つかってしまう。ところがうまいこと4人をやり過ごして砦に侵入すると、詰所と思われる部屋にはさらに2人の衛兵がいるのである。2人の会話を盗み聴きすると、こんなことを言っているのがわかる。


(前略)とにかく、門を確認しに行ってくる。ハヤンギの若造の言う通りだ。俺も叩くような音を聞いた」 (第四巻 パラグラフ330)

 門を叩いたのは我らがアナランダーだ。そうやって4人を砦の外へ誘きだしたのだ。ハヤンギなる者が、4人の内の1人であることは間違いあるまい。正門と第一のスローベンドアの間には部屋は3つしかない。1つはこの詰所、そして黒エルフらがいる部屋と、あとはトイレだけだ。ハヤンギを若造と呼んでいるこの発言者は彼よりも上位にいると思われるが、4人の中には含まれていない。この詰所には6人の衛兵がいたとしか思えない。大蛇の情報は間違っていたのだろうか? だが、実際に正門をすり抜けるには衛兵を4人と判断する必要がある……攻略的には間違っていないのだ。それに、大蛇が握る秘密が間違っているなんてことはあり得ない。あってはならない。
 そこでちょくと考えてみたのだが……詰所に残っていた2人には、別の任務があるとすれば辻褄が合う。そう、この部屋には第一のスローベンドアの鍵があるのだ。詰所には確かに衛兵は6人いた。4人は正門の警備要員で、2人はスローベンドアの鍵の番人。これなら何の矛盾もない。よろしい、OK。

(1/7/24)

★ マンパンの食事事情について

 またしても大蛇の秘密の話になってしまうが、お次は火炎大蛇の場合を見てみよう。こいつの持つ秘密はこうだ……「スログの出す食料は口にするな」
 スログというのは、マンパン砦で衛兵たちの食事を作っているホブゴブリンのおかみさんだ。彼女の厨房を訪ねると、確かに食事を勧められる。悪名高い象団子もここで堪能できるわけだが、他にも汁気たっぷりのマグソコガネのピクルスなんかもある。『ソーサリー・キャンペーン』になると、トカゲの眼球のパテ、香辛料で味付けしたマッシュルームが加わる。
 大蛇から引き出す情報である以上、それなりに致命的な料理の数々であるということだろう。しかしながら、『ソーサリー!』本編では変異現象団子によって即死する可能性があるというレベルだった。他の大蛇たちの情報はデッドエンド回避につながるものだっただけに、少々拍子抜けではある。実際のところ象団子で死ななかったとしても、この厨房に来た時点で実はクリアは不可能――デッドエンドブロックにはまっているのだが、やはり微妙に感じる。
 第三のスローベンドアで焼け死ぬしかない運命ではあるが、たとえ火炎地獄に飛び込まなかったとしても、毒にあたって死んでしまう定めだったと、こう考えよう。スログの料理はすべてアナランド人の死につながっているべきだ。大蛇の情報の価値を守るにはこうするしかないのだ。

 ところで、マンパンの者どもは彼女の料理を食べて精をつけている。つまり、人間にのみ効く毒が含まれているのではないだろうか。砦の衛兵たちが人間とは異なる別種族であることが判明した今、ここに不具合はあるまい。人間と思わしき数少ない者についてだが、例えばヴァリーニャなんかは召使を持っているわけで、カルトゥーム隊長やかつて羽振りの良かった頃のジャヴィンヌにも専属の料理人がついていたに違いない。商人のナイロックは自分で食料を仕入れてくることもできるだろう。囚人用の食事を作る者もいるはずだ……もちろん人間の囚人をしばらく生かしておく必要があることもあるだろう。実際、監獄塔に捕らわれたアナランド人にも食事は提供される。

 こうして考えてみると、ニブダムが持ってきた肉汁を食った我らがアナランダーは、実に危険な橋を渡っていたと言える。たまたま人間用の食事を作っているところからニブダムが調達してきたというわけだ……今思ったのだが、ここで象団子食わされるのも面白かったかもしれない。これならば、爬虫類恐怖症とかの変異も生きてくるわけだし……

(1/7/24)

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